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Teslaの23年実績は好調ながら、足元&翌年は厳しい予測…

1/24にTeslaが23/4Qの決算発表を行い、23年全般の業績が明らかになりました。
車両販売台数や売上高は昨対で高い実績でしたが、内情は外部環境に依存した部分が大きく、2024年の業績には公式も鈍化予測を表明しています。
一方でエネルギー貯蔵に関しては純粋に好調で、収益構造や成長性を鑑みるとエネルギー会社の色合いが強くなってきました。

https://digitalassets.tesla.com/tesla-contents/image/upload/IR/TSLA-Q4-2023-Update.pdf

1;Teslaの決算報告

 1/24に発表されたTeslaの決算は売上拡大/納入台数の記録更新等の一方、IRA等の外部環境に依存する部分も散見されて順風満帆な結果ではなかった
 値下げでの車両台数確保に加え、コスト削減余地の縮小やAI/ソフトウェアの利益が立ち上がり途上であることが影響しており、2024年についても成長は鈍化するとしている

2;Teslaの認識

 現在は[次の成長の狭間にある]と警告、次世代/新型EVへのリソース投下で一時的に半場尾の伸びが鈍化するとしている。
 現在計画する新型EV-PF(25,000ドルの小型EV)の準備期間にあるため2024年の車両販売の伸びは[著しく低くなる可能性がある]とし、株主向けレターでは[テキサスのギガファクトリーで次世代自動車の投入に取り組む中で、車両台数の伸びは23年実績を大幅に下回る可能性がある]ともしている
  2023年の売上/納入台数(180万台)は拡大したが、良好な外部環境に対して値下げ/プロモでの訴求力向上が資した。Tesla的には23年の大半は製品ラインアップの値下げに費やし、高金利/インフレで買い控える消費者に向けた販売テコ入れに注力した1年だった。
 本年に関しては規制クレジット(IRA補助)を除くと自動車粗利益率は低いし、純利益も昨年割れ。
 また、自動車セグメント粗利益率は17.2%(クレジット除く)で過去最低の3Qの16.3%からは若干回復したが、昨年の大幅値下げ開始以降初の上昇となるが、コスト削減は限界値に達しつつあるとの認識も示している。
 会社アナウンスでは[既存車両のコスト削減は自然な限界に達しつつあるが、AI/ソフトウェア/フリートベースの利益が加速すると予想する]とする

3;FY23-決算内容

(売上高)
251.7億ドル(YoY;3%増加,アナリスト予想を若干下回っての着地)
(営業利益)
20.6億ドル(YoY;47%減)
(純利益)
79億ドル(YoY;15%増加)…調整後は39億ドル(YoY;27%減)
(コストアップ要因)
 営業利益の減少は[研究開発費][サーバートラック増産][FSDソフトの収益減]などが要因として大きい。4Qで研究開発に11億ドル(YoY35%増)を費やし、主にAI開発に投下された
(売上アップ要因)
売上アップに資する要因は原材料費や政府施策などの外部要因によるものが多くなっており、結構アンコントラブルな部分が拡大。具体的には[原材料市況の安定化/低位推移][IRAによる政府クレジット][車両納入数の増加][車両製造コストの低下]

4;エネルギー関連セグメント

-Solarセグメント-
 太陽光発電装置導入量は223MWでYoY;36%の減少となり、嘗て業界をけん引したと事業の強さは後退した。Teslaの公式説明では金利上昇に伴う業者の事業拡大余地低下を要因とするが、米国全体では成長基調が継続
 太陽光発電業界団体;SEIA推計によると、米国は2023年に33GWの太陽光発電容量が追加される予想…
 4半期単独では41MWの導入でYoY;59%減。公式に説明はしていないが、自社直販から代理店販売への比重写しが背景にあるともみられる

-Strageセグメント-
 エネルギーの生成/貯蔵に関しては絶好調で2023年のエネルギー貯蔵量は14,724MWhとなりYoY;125%。Power-wallバッテリー/Megapackによるエネルギー貯蔵量が担保している
 商用/家庭用バッテリーは再エネシフトという大きい流れの中で引き続き重要/必要不可欠な役割を果たしている。送電網と絡んでの送電スマート化に資するだけでなく、停電バックアップとして災害対策にもなっている

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