#01 ゼミラジ📻　インクルーシブデザインに魅せられたゼミ生

こんにちは！すずかんゼミ広報部の大河原です。

すずかんゼミとは、慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパスを拠点とした卒近代におけるソーシャルプロデューサーの養成を目指すゼミです。ゼミ生一人一人が多様なプロジェクトを遂行しながらPBLを行い、日々学び合っています。すずかんゼミnoteでは日々の活動をお届けしています！

＝＝＝＝＝＝

『話しかけるのはちょっと怖い・・・。でも先輩のことを知りたい！』という新規生からの要望を受け、この度、ゼミ内ラジオ『ゼミラジ』をON AIR！

今回は初回放送の様子をレポートいたします！

場所はDiscordで開催！DiscordはZOOMよりも出入りがしやすく、入れ替わり立ち替わりで多くのゼミ生がラジオ感覚で参加していました。

さて、記念すべき第１回は、

聞き手👂　  慶應義塾大学 環境情報学部 3年  高山泰歌　

話し手🗣　  慶應義塾大学 環境情報学部 4年  柿島夏海　　

リスナー📮   すずかんゼミ生　

でお送りします！

日本最大級のスタートアップイベント、Slush TokyoのCOOを務めた経験もある夏海さん。どのような学生生活を歩んできたのでしょうか。

＝＝＝＝＝＝＝

泰　さて、みなさん来てくれてありがとうございます！記念すべき第１回は、新規生から話を聞きたい！と特に要望が多かった、なっちゃんに来てもらいました。よろしくお願いします！

夏　はい！よろしくお願いします。緊張する笑

泰　みなさんも楽しみに来てくれたはずです！では、早速質問していきたいと思います。まずなっちゃんといえば、インクルーシブデザインの印象が強いのだけど、それはどんなきっかけで興味を持ったの？

夏　脳性麻痺という障害を持っている友達の存在が原点にはあります。高校生になってから彼女と出かけたり遊んだりする中で、彼女の日々の選択や意思決定が「これ"なら"使える。ここ"なら"一度行ったことがあるから行ける」みたいに、ほとんどが消去法や妥協の選択になっていることに気づいて。
高校生で幼かった私は最初、それは主体性のない彼女のせいだと思ってしまったんだけど、よく考えてみればそれは、社会の側に選択肢がないこと、多くのものがメインストリームとなるような一般のひとを対象にデザインされたものやシステムが多いことが原因だと気づき始めたんだよね。

その後、当時まだ日本では認知度が低かったインクルーシブデザインを提唱・実践していた、デザイナーのジュリア・カセムさんの娘さん（彼女自身も障害を抱えながらもアーティスト・デザイナーとして活躍している）にお会いして、彼女の控室まで駆けつけて自分の幼馴染のエピソードを相談してみたら、『インクルーシブデザイン』っていうデザインプロセスを教えてくれたの。その場で『インクルーシブデザインという発想』という本をもらって、『見よう見まねでいいから、あなたの幼馴染も、あなたも使えるものを作ってみたらいいよ』と言われたのが大きいきっかけかな。

「インクルーシブデザイン」という発想 排除しないプロセスのデザイン

それで、見よう見まねで地元の高齢者施設で30人くらい集めてワークショップをやってみたりしたんだよね。

最初に作ったのは、握力が弱くても最後まで使い切れる日焼け止めの容器や、肩があがらなかったり普通のお洋服だと着替えるのが少し難しいお兄ちゃんと弟がどうしたらお揃いの服を着れるか、おさがりができるか。というテーマでインクルーシブデザインのプロセスに当てはめてプロトタイプをたくさん作ってたかな。

泰　なるほどなるほど。高校生の時の出会いがきっかけなんだね。そこで、なんでSFCに入るの？

夏　もう1回ジュリアさんに会いに行った時に、当時SFCにいたインクルーシブデザインの研究をしている水野先生を紹介してもらって。彼のもとなら学べると思うよ！って言ってもらって、SFCをググったのがきっかけ。それでAO入試もインクルーシブデザインをテーマにして受けた。

泰　そういうことだったのか。SFCに入ってからは何を学んでいたの？

夏　最初は建築系のゼミで、 SBC（※Student-Built-Campasの略。SFC施設内にある、滞在型教育研究施設。）の設計に携わったりしてた。その後、建築から一旦離れて、プロダクトデザインとしてのインクルーシブデザインの実践ができるゼミや、ユーザーの生活に入り込んでインサイトを見つける手法のエスノグラフィ（参与観察）を学べるゼミに入ったりした。

泰　いろんなゼミを渡り歩いていたんだね。そしてどうやってSlushのCOOにまでなるの？

夏　Slush（※フィンランド発のスタートアップカンファレンス。）の第1回の時は参加者として友達に誘われて学生チケットを買って遊びに行って。代表のAnttiとは、Facebookを交換したくらいだった。

でもそのあと、2回目が始まる時に連絡が来て、デザイナーが足りないから手伝ってほしい！って頼まれて関わり始めたのね。

　

その後、電話が来て「今暇？」って聞かれて、羽田空港集合ね、とだけ言われて 笑　行った先は北海道だったんだけど、日本の有名な起業家や投資家などが大勢集まる大規模なカンファレンスに連れてかれて。そこで日本の起業家界隈の現状を突きつけられたような気がした。

その後北海道から戻ってきた時に、もう1週間暇？って聞かれて、次はサンフランシスコに連れて行かれた 笑　それでノリでシリコンバレーに行ったんだけど。

彼の友人の起業家やエンジェル投資家にたくさん出会って、日本の村社会的な起業家界隈と世界の比較を否が応でもせざるを得なくて。その後、Anttiに「日本で挑戦したいことや伝えたいメッセージってわかる？」と言われて腑に落ちたんだよね。自分に投資してくれているんだな、というのと同時に、現状を自分の目と足で確かめられる経験をさせてもらっていることも感じて。

そのあと、本格的にAnttiと次のSlush Tokyoに向けて毎日一緒に行動しながら着々と6000人規模のスタートアップイベントを作りあげる準備をしていった。学校外の時間は全部slushに費やしていたかも。

私にとって2回目のslushが終わったあと、私は半年ゼミに属さず、ずっと憧れていたAalto大学のDesign Factory に本格的に留学するために準備して、奨学金も無事にいただけることになって、slushや日本でのデザインの勉強から一旦離れることが決まっていたんだけど、出発の１ヶ月前くらいに、Anttiから「僕はSlush Tokyoを辞めようと思っていて、なつみとHにSlushを任せたいと思っている」と言われて。正直びっくりしたんだけど、これまで費やしてきた時間はそういうことだったのかなとも思って、悩んだなあ。

大学での学びや学問は無くならないけど、この会社を引き継いだり、組織運営する経験ってもう二度とできないかもって思ったのね。それで覚悟を決めて、会社を引き継ぐことにして、共同代表のHと一緒に一から20人弱のチームを作って世界中から6000人のスタートアップや投資家を集める準備をAnttiの力無しで挑戦することにしたんだよね。

泰　いやあ、すごい話だな。Slushはやってみてどうだった？

夏　実際、2月に東京ビックサイトで行った5回目のSlush Tokyoは無事赤字になることなく、6000人の参加者やパートナーさんのおかげで大成功に終わって、とりあえずやりきったって思った。

でも、自分は旗を降ってリーダーをやるタイプではなかったから、リーダーとして組織を成長させるっていう体験は本当にしんどかった。マジで苦しかった。自分はリーダーの器ではないかもしれないって、どんどん不安になっていったんだよね。

泰　それがCOOを辞めた理由でもある？

夏　本来、組織において一番成長し続けなくてはいけないのは組織のリーダーであるはずで、そうじゃないとチームのみんなも成長しないはずなのに、当時の私は「自分の成長」と「他人の成長」を分けて考えてしまっていたんだよね。それでチームみんなの成長を一時期すごく考えすぎていた時に、自分の成長曲線は横ばいに停滞している感覚に陥ってすごく不安になってしまって。Slushのイベントが終わったタイミングで今の私は「求められること」や「できること」ありきになってしまっているから、一旦修行するため（自分の成長として筋肉痛な日々を送るため）にSlushをやめますって言い切ってやめた。

私が実現したい社会（全ての人が消去法ではない意思決定ができる社会）を、ビジネスの世界で最前線で挑戦している経営者は誰だろう？と思ってしばらく模索して、ご縁があって今の会社に入ったんだよね

泰　なるほど、ここで今働いている会社（ExaWizards）につながるんだ。そこでは具体的に何をやっているの？

夏　関わっているのは主に介護やフィンテックの分野。

実際にエクサは、超高齢化社会が抱える課題をAIで解決するというビジョンの基、介護や医療領域をメインに色々なプロダクトやサービスデザインをしていて、私はその中でも「AI×UX」をテーマにAI活用に伴って単なる効率化や技術導入だけでなく、ユーザーの感情が置き去りにされないように、その現場ごとにあった体験価値をデザインの力で創造していくことに注力するデザインチームで修行させてもらってる！

SFCの研究の延長として、アカデミアの世界でインクルーシブデザインを研究する道ももちろんあるけれど、一旦はその思想に基づいて、自分がプレイヤーとしてものづくりをした時に、できるだけそれが早く社会の中に浸透して行ったり、必要としている人の日常に届けることを挑戦してみたかったんだよね。

もちろん、全ての仕事がインクルーシブデザインに直結しているわけではないけど、将来自分がまたその領域に戻って（フォーカスして）ものづくりをしたい時に、必ず活きるって確信できる素晴らしい修行環境なのでとっても楽しい！

泰　すごい！高校生の時にやりたかったことが職業になっているのって、本当に鳥肌立つなあ。

ということで、なっちゃんの人生を総ざらいする1時間になりました。みなさんどうでしたか？感想あれば聞きたいのですが。

ゼミ生　「フットワークが軽い」ってよく聞くけど、シリコンバレーの話とか聞いて、夏海は人並みじゃないって改めて思った。めっちゃ刺激になった。ありがとう！

夏　こちらこそ、みなさん話聞いてもらってありがとうございました！ぜひみんなの話も聞きたいです！

泰　ということで、第１回はこれにて終了になります！みなさんありがとうございましたー！

＝＝＝＝＝＝

授業中にはなかなか聞けない、気になる先輩のお話をじっくり聞くことができ、多くのゼミ生の刺激になりました！皆さんのコミュニティでも、一人一人の話を腰を据えて聞く機会を設けてみてはいかがでしょうか？新たな一面を知ることができるはずです！

引き続き、すずかんゼミではゼミ生の活動を発信していきます！

【お知らせ】
2021年1月13日(水) 18:00〜19:30にすずかんゼミ説明会を開催します！春学期の新規生志望、高校生、教育関係の方、メディアの方、ゼミに関心がある方ならどなたでもご参加いただけます。

すずかんゼミの考え方から具体的な年間スケジュールまで、丸っと90分ですずかんゼミを知ることができる機会です。もちろん、鈴木寛先生もご登壇予定！お申し込みはこちらから！

📮ゼミの最新情報はこちらから📮

すずかんゼミ Twitter 　すずかんゼミ Facebook