短歌 新作７首 『好きだった』
まるでスイッチを切るように、余韻も持たず忽然と恋は終わる。
あのときああしていれば、あの日あんなことを言わなければ、いくつ数えても後悔は尽きない。
どうすれば上手くいったのだろうと途方に暮れるけれど、たったひとつだけ言える、確かなこと。
そんな気分を、７つの短歌で書いてみました。
第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。
『好きだった』 鈴掛真
どしゃ降りの雨が上がって雲間から光が差す間に恋が終わった
傷つけて傷つけられて滴った二人の血潮で記された道
もう二度と会わないつもりだったのに「またね」は言わないはずだったのに
僕のいない君の明日ができるだけ良い一日じゃありませんように
口下手で別れ話もつまずいてばかりの君だけど好きだった
シングルのシーツを買った。しばらくは誰とも住む予定が無いから
大切に思えば思うほど指をすり抜けていく 愛って何だ
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