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短歌 新作9首 『一筋の光』

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目まぐるしい情報。
賑やかな喧騒。
他者の存在を感じて安心したり、名前も知らない無数の他者に押し潰されそうになったりもする。
けれど抱き合っていれば、人も、街も、言葉も、未来も、すべてに目をつぶって眠りにつけた。

そんな気分を、9つの短歌で書いてみました。

第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。

『一筋の光』 鈴掛真

前髪が伸びて視界を覆ってもまだ成長をやめない身体

タイムライン音無く過ぎて誰からも必要とされてないような気がする

エコバッグに収まるほどの荷物しか無かった君の元を去る日は

虹が出たツイートを読む伊勢丹の空が見えない地下1階で

嗅ぎ覚えある香水に振り返るあなたじゃないと知りつつ、ゆっくり

ノイズキャンセリングイヤホン外したら俺は独りじゃないって思う

きれいには生きられなくて洗っても真っ白に戻らない襟ぐり

どんな地図アプリにもまだ載ってない最短距離で君に会いたい

一筋の光も差し込まない闇を生み出す強さで抱きしめたいよ

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