短歌 新作８首 『カーディガンズを聴いていたくて』
離れれば会いたくなって、顔を合わせれば気持ちはすれ違って。
感情は浮き沈みする。まるで１曲の音楽が生み出す抑揚のように。
そうして二人で調律しながらセッションは続く。
そんな気分を、８つの短歌で書いてみました。
第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。
カーディガンズを聴いていたくて
さよならは言わないでおく。初めからピースがひとつ足りないパズル
君のことを物陰だらけの路地裏で見つけ出すには暗い月あかり
遠慮して誰も取らずにひとつだけ残ったチョコレートみたいな「ごめん」
俺たちが共に暮らした街の灯が千年後まで消えないように
自分では見えない臓器の手触りを君の指先で確かめてほしい
もう一回しようと言われて断ったカーディガンズを聴いていたくて
君の手が離れたときの温度差を今も指先が覚えているよ
俺と知り合ったこと後悔してますか？ 遠くに見えた打上花火
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