鈴掛真の短歌

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記事

短歌 新作7首 『君という夜空』

たとえ今がどんなに満たされていても、昔の恋をふと思い出すときがある。

元気にしているかな、幸せに暮らしていてほしいと願ったり、幸せじゃなければいいのにと少し呪ってみたり。

そして今に立ち返ったとき、どれだけ美しかった過去よりも、たとえば今夜の輝く星のほうが美しいと感じていたい、と思う。

そんな気分を、7つの短歌で書いてみました。

第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気

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短歌 新作5首 『無に帰する』

角川「短歌」2019年10月号掲載作品『無に帰する』。
先日公開した 『凍てついた泉の中で』と同時期に執筆した、呼応するような作品です。

どちらも第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。

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短歌 新作7首 『凍てついた泉の中で』

自分ではない他人と上手くやっていくのは、いくら歳を重ねても難しい。
家族、友人、同僚、そして恋人。
近づくほどに壁が生まれ、労わるほどに白々しくなる。
いっそ壊してみたらどうなるんだろうか。
そんなことを考えていると、少しだけ胸を昂ぶらせている自分が、ひどく怖かった。

そんな気分を、7つの短歌で書いてみました。

発売中の角川「短歌」2019年10月号に掲載されている新作5首『無に帰する』と同時

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短歌 新作7首 『他者という名の世界』

東京にはこんなにたくさんの人がいるのに、ときどき自分は独りなんじゃないかと思う。
友達だって少ない方じゃないし、故郷に帰ればちゃんと家族はいてくれるのに、ほんとうはみんな僕のことなんかどうでもいいと思ってるんじゃないかって、たまに考える。

考え始めると止まらないので、そんなことないそんなことないって、飲みの席で不自然に大笑いしながら、友達の肩を強めに叩いてみたりする。
それで、ああ大丈夫だ、って

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短歌 新作7首 『シャツを羽織れば』

夏が終わりますね。
海や花火大会をどんなに楽しんでも、いいえ、大いに楽しめば楽しむほど、夏の終わりに吹く風は、やけに涼しく、切なく感じるものです。

けれど、決してビーチや観光地に赴かずとも、楽しみは部屋の中にも無数に転がっています。
例えば、テーブルの上に。例えば、クローゼットの中に。

それは、他人が見ればありふれたこと、そして昨日までの自分ですら何とも思わなかったことかもしれません。

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短歌 新作7首 『安いピアス』

ひとりでいるのと、ふたりでいるのでは、いちばんに何が違うかと考える。
話し相手がいること?
孤独じゃないこと?

通信機器があれば、遠くの誰かとおしゃべりできる。
家々がひしめき合う都会では、他者の存在が近すぎるから、孤独になる方が難しい。
他者の存在がわずらわしくなって、たまには孤独にもなってみたいと思う。

けれど、ふたりでしかできないことがある。
それは例えば、季節の移ろいの美しい様に気づい

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短歌 新作7首 『ダイアログ』

同じ国に生まれた僕らは、同じ言語で対話する。
それなのに、気持ちはいつもすれ違ってばかり。
心配してほしいときに限って「大丈夫」と強がってみたり、「どうしてあんなこと言っちゃったんだろう」と自分の言葉を悔いてみたり。
本当に伝えたいことは、いつも声にできなかったりする。

それでも僕らは、対話をあきらめない。
すれ違いや間違いを何度も繰り返し、振り返りながら、長い年月をかけて、心を通わせる。

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短歌 新作7首 『雨ざらし、のち月あかり』

長い日々を共に過ごしていれば、楽しい時間ばかりじゃなくなることもある。
相手の嫌なところが見えてきたり、つまらないことで何度も衝突したり。

その度に、軌道を定め直して、また歩幅を合わせ無言で踏み出す。
あるとき、ふと後ろを振り返れば、いつのまにか随分と長い道のりを共に歩んできたのだと気がつく。

誰かと暮らすっていうのは、そういうことなんじゃないかと思う。

そんな気分を、7つの短歌で書いてみま

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年賀状は印刷に頼らない男。'20

新年の挨拶は今や、「今年もよろしく!」とSNSに一言だけ投稿すれば済んでしまうから、わざわざ手間とお金をかけて年賀状を用意する人は少なくなってきました。

仲が良くても住所は知らない友達っているし、年賀状を送りたいがために住所を聞くってのも、学生の頃はクラスメートを相手によくやったけど、大人同士になると気味悪がられそうだし。

それでも僕は、仕事で関わりのある人を中心に、毎年数十枚の年賀状を用意し

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短歌 夏の新作8首 『冬のすいか』

令和初めての夏も、終盤に差し掛かりましたね。

変わらないことで得られる安心感。
変わらないことで募るマンネリズム。
それでも今日という日を生きられることに感謝して、明日という日がやって来るのを待っている。

そんな日々感じているモヤモヤを、8つの短歌で表現してみました。
タイトルは『冬のすいか』。
夏だけど。

僕が所属している短歌結社「短歌人」の同人誌では毎年8月に、若い会員が腕を競い合う20

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