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愛されクレイジー都市、新潟。

新潟県の唯一無二の魅力は何なのか。地域に関わる取り組みや事業を進めていく中で、常に考えてきました。
僕にとっての新潟県は育ててもらった場所。僕自身が新潟のために動く一番の理由としての魅力は、結局そこだと思っています。自分が生まれ育った場所だからこそ特別な存在であるのです。
そんな新潟について、今回は掘り下げて考え、まとめてみたいと思います。

新潟県は全長250kmととんでもない長さ。(直線にすると九州と同じ距離に!)明治時代には人口が全国1位で、縄文土器も発掘されるほど人の営みがあった場所。そして世界トップクラスの豪雪都市です。

そんな新潟県・・・特に僕の生まれ育った新潟県長岡市は、現代の暮らしに当てはめて考えるととんでもない、“クレイジーな都市”とも言える魅力が詰まった街でもあるのです。

愛されクレイジーその① 世界1位!?豪雪都市長岡市民の知恵と精神

豪雪都市、人口規模や歴史的背景から考えるとおそらく世界1位の豪雪都市なのでは!?そのクレイジーな白い世界に愛される魅力がたくさんあります。

“クレイジーな暮らし”の中には、雪国で育まれてきた保存食や発酵食・酒造り・雪のエネルギーを利活用した雪室など、現代に受け継がれ「日本の文化」とも言われているものが多くあります。

その他にも、家の軒先をみんなが歩道として使えるようにした雁木の町・戊辰戦争時に新政府軍に対して和平を求めて最後まで戦った長岡藩・目の前の贅沢よりも未来に目を向け、飢え苦しむ市民を説得して全国初の国漢学校を作った米百俵の精神など、雪国の暮らしからみんなで助けて合って支え合う「長岡市民のモットーや考え方」として根付いているものもあります。

冬の自宅(玄関先)です

自然との共存から産まれた様々な知恵。
その中に豊かな暮らしや、みんなで助け合う精神でつなぐあたたかな暮らしがあったと言えます。

愛されクレイジーその② 新潟の食料事情

新潟県には、その土地でしか味わえない伝統野菜やその土地でほとんど消費されてしまう食材も多く存在します。その代表的な作物が『なす』です。
『なす』といえば、一般的に長なすをイメージする方が多いと思いますが、新潟には“巾着なす”という名の丸なすがあったり、身がしっかりとして甘みが強く生食で楽しむ“十全茄子”や“梨茄子”(通称“漬け茄子”)があったり、長なすを肥大させたような“やきなす”や、緑色や白色のなすなど・・・新潟県内、さらにはその各地域でしか流通していない『なす』がたくさんあります。

ちなみに、なすに関しては作付け面積が全国1位で、出回っているご当地茄子の品種数も1位。新潟はなす王国なのですが、それをほとんどの人が知らないという現状、これだけの品種をなぜ誇っているのか茄子の品種によって食べ分けるレパートリーがやたら多い。独特の茄子愛が強い県民性がここにはあります。

枝豆に関しても、産地として全国的に有名な山形県を超え、作付け面積は全国1位。一方で出荷量は全国7位という不思議なデータが出ています。
その理由がクレイジー。新潟県内で作られた美味しい枝豆は新潟県内で消費されている・・・つまり、新潟県人が枝豆を食べまくっているということなのです。

現に、新潟の枝豆といえば、食卓にザルで出されるもの。お盆など、みんなが集まる時には山盛りの枝豆がどーんと出てきます。枝豆が旬の時期は。とにかくいつでも枝豆が出てきて、とにかくよく食べて、シーズンが終わるとピタッと食べなくなるもの。
居酒屋で通年提供されるような、定番メニューとしての枝豆は、新潟ではシーズン以外ではほとんど見かけません。枝豆の本当の美味しさをよく知っているので、冷凍品や国外品のものを扱うことは滅多にないのです。
枝豆を食べ慣れていることに加え、愛が深すぎて『世界枝豆早食い選手権』なんていうクレイジーな国際大会なんかも開かれるほど。どれだけ愛されてるねん!って思います。

毎年申し込みが増える人気大会。今年度はが過去最高だったそう!

美味しいものほど県内で消費してしまう。その味わいは新潟に行かないと楽しめない。そんな、なんとも贅沢で美食な街が新潟であり、その食の楽しみ方はある意味で経済効果よりも美味しさを突き詰めてきた、新潟のクレイジーな部分だと思います。

愛されクレイジーその③雪と新潟

明治時代は全国1位の人口だった新潟県。当然その時代も日本屈指の豪雪地帯でしたが、除雪車も車もなかったはず。そんな土地になぜこれだけの人が集まっていたのか・・・ちょっとクレイジーだと思いませんか?

江戸時代、長岡藩は北前船の寄港地であったり、三国街道や北國街道があったりと、人々が行き交う場所でした。その時代の新潟は「越後のくいだおれ」とも呼ばれ、美味しいものが楽しめる場所として有名であったそうです。その理由を紐解くには、「雪」がキーワードになると考えます。

雪×保存

電気もなかった時代、食材を保存する技術の主は氷でした。冬場の寒さを利用して氷を作ることで、通年食材を冷やしておけるようにしていたそうです。
新潟の場合はそれが「雪」によって賄われていたそうです。雪を保存・活用することで食材を長期に渡り保管する技術があり、年間通して新鮮な食材を楽しむことができました。
美食的な美味しさに加え、雪によって発達した保存食文化から、様々な美味しいものをたらふく食べられることを指すのではないかと思っています。

雪×発酵

新潟の気温は寒くてもマイナス3ー5度。実は雪が積もると首都圏とさほど変わらない気温になります。その環境こそが、発酵に最適な環境なのです。

雪が降ることで、ほこりなど空気中の余計なものも一緒に落としてくれます。それにより雑菌などが入りづらい綺麗な環境が生まれ、発酵食品や日本酒作りがしやすくなります。特に日本酒については、冬の厳しい環境があるからこそじっくりと発酵が進み、新潟ならではの『辛口淡麗』の味わいが生まれるということも。
そして逆に夏には日本トップクラスの暑さや湿度になる新潟では、冬場に仕込んだ食品の発酵が一気に進むようになります。
まさに新潟は発酵や醸造に適した都市で、雪はその味わいを作るのに不可欠な存在なのです。

雪×工芸

雪を資源としたものはまだまだあります。
その一つが、雪と紫外線の効果を利用した『雪晒し』という技術です。雪晒しとは、天気が良い日に、降り積もった雪の上に塩漬けした野菜や和紙、織物などを晒すこと。食材のアクが抜けたり、なんとも美しい色合いが出てきたりするのです。

他にも、身動きの取り辛い冬には仕事が少なくなることから、内職のような仕事として発達したものづくりの技術。カトラリー、調理器具、織物、ニットなど、現代で世界的に注目を集める技術が新潟にはあります。

津南の農家さん・はらんなかさん。
雪を利用して美味しいにんじんを育てていらっしゃいます。

それらの発達の裏には、忍耐力、我慢強さといった新潟県民らしい底力があり、それを自慢せずに脈々と受け継いだきたからこそ、誰にも知られずに磨き上げた“クレイジーで豊かな暮らし”があったのではないかと思っています。

クレイジーな暮らしの先に愛がある都市、新潟

愛されるクレイジー都市・新潟編、いかがだったでしょうか?
知れば知るほど面白く、この土地でしか楽しめない、知ることができない魅力が
まだまだたくさんあるのが新潟です。
これはすべて、新潟に暮らす僕らにとっては日常の、当たり前だった新潟の暮らし。

しかし、その日常にこそ、広く知られることのなかった本当の魅力があるのではないかと僕は思っています。さらに、そういった日常には環境負担が少なく無理のない暮らしや、サスティナブルな魅力、これからの時代を生き抜くヒントがあると思っています。

僕たちは、そんな当たり前すぎて知られていない魅力を発掘し、『ここにしかない地域の魅力』として発信していきます。

鈴木 将

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