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#212 悪い管理職は100mを5秒で走らせる

社会人生活が長くなるほど感じることがあります。
それは、

管理職って、管理することが仕事なんだなぁ と。

何を当たり前のことを!と感じる方が多いかと思うのですが、意外とこれが出来ている人は少ない。

そして、
管理がうまくハマってない職場ってもの凄い不幸なことなんです。管理する側も、される側も。


■帰れない若手社員

顔を紅潮させ眉間にしわを寄せて仕事をしている若手社員がいます。まもなく終電になってしまいます。

聞けばやるべき仕事が全く終わらないという。もうずっとこんな状況。終わりが見えない、と。
パッと見た感じ、このままではメンタルがやられてしまうようにも見えます。

この手の問題の多くは、彼の技量というよりも彼にその仕事を任せた管理職側にほとんどの責任があると思っています。
要は出来ないことが悪いのではなく、出来ないことをやらせようとしている方が悪い。

100mを5秒で走れと命令する上司がいて、それが出来ずにメンタルやられるほど悩んでしまっている若手がいるとしたら、そりゃ命令した上司の方が悪いに決まってる。

そういう上司ほど「なぜ出来ていないんだ!」と叱咤する。ストレッチした目標とは、それを乗り越えさせることで自己肯定感を高められる範囲で設定するもの。

怒る上司ほどこれが理解できていない。


■管理職は管理に徹するべき

正しく管理されていない組織ほど不幸なものはない。

もしあなたの職場が殺伐としているのなら、それは現場うんぬんよりもそんな組織を作り上げた管理側に問題がある。


人を疑うな、仕組みを疑え。
という言葉があるけれど、多くの問題は人を改善するよりも仕組みを改善することでうまくいく。

片付けの出来ない幼い子供に対して、「なぜ出来ないんだ!」とただ声を荒げるだけの親がいるけど、これは絵に描いたように人を疑っている状況。

出来る親は、片づけられる量を規定し、大きな箱を用意し、子供がストレスなく持っていける高さを意識し、それが楽しくできるように誘導する。要は仕組みを疑って、改善に努めている。


職場でも全く同じことが言える。
いい職場環境とは、仕組みを疑って適切な対処ができる管理職がいる環境、と言っても過言ではない。
もしあなたが仕事で悩んでいて、職場が仕組みより人を疑うような風土だったら、それはもう脱出した方が賢明かもしれない。


■出来ない、の多くは任命責任

出来ていないとその人を責めたくなる。
けれど少し冷静になって、その状況を作り出している「管理」は本当に正しいだろうか考えてみると、その多くは任命責任にあることが分かる。

要はやらせた側に問題があるのだ。

管理職の視点からするとこれはとても不都合な真実であり、それからとても難しい問題でもある。

それだけ人と組織をマネージすることは難しい。だからこそ、管理職は管理に徹するべきではないかと思う。
コンプラやハラスメントの矢面に立たされている昨今では尚のことそう言えるだろう。


では一方で、
現場側は鼻でもほじくりながら正しい管理を待てばいいかというとそんなことは無い。
「100mを5秒で走れ!!」という無理難題が降りかかってきたときに
ダメな社員は、上司の悪口を言って課題から目をそらす。

進化しない社員は、顔を紅潮させて死ぬまでダッシュを繰り返す。

出来る社員は、5秒で走るための自転車をどこかから探してくる。あるいは100mを30mに変更してはどうかと関係各所に説明を始める。

法律さえ守れば、仕事に前提条件はない。
自らの力で乗り越えるアイデアをはじき出したやつが評価され、多くの給料を貰うことが出来る。

そして、
そういう人が将来管理する側に回ることができる。


現場の課題は管理する側にその多くの責任があるけれど、
現場は現場で成し遂げるための努力・研鑽を放棄してはならない。

この両輪がうまく噛み合った時、初めて現場は正しく回り出す。


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