見出し画像

#211 ヒデのセミナー

先日、サッカー元日本代表の中田英寿氏のセミナーにオンライン参加できるということでライブ視聴してみました。


ヒデといえば、
日曜深夜に海外サッカーを視聴し、翌日睡魔と戦いながら学校や職場に向かうあの習慣を日本人に定着させた張本人。今でも三笘選手や久保選手の試合で夜更かしする人が多発していますが、あれはヒデのセリエA挑戦から始まったんですよね。懐かしい。


そんな我らがヒデ。
ドイツワールドカップ後に引退してから何をしてるんでしたっけ?と詳しく語れないほどその全容は謎に包まれています。

若くして日本を飛び出し、世界を転々としていた反動で逆に日本のこと全く知らないと感じ、日本全国を巡る「旅人」を名乗っていたようですが・・・。

現在は日本酒の流通拡大を目的とした実業家になっているみたいですね。全国の現場を実際に見て回って、そこ(日本酒)に辿り着いた。そんな感じのようです。

そんなヒデが
「現場主義の大切さ」みたいなタイトルのセミナーに、ゲストスピーカーとして登壇していたので話を聞いてみました。



■何を語ったのか

詳しい内容を書くことはできませんが、
ひとつとても印象に残った件(くだり)があったのでそれを書き記しておこうかな、と。

それはいかにもヒデらしい、そんなやり取りでした。


パネラーであり質問者でもあった女性がこんな質問をしました。

「海外の文化に入り込むことは難しい。特に食文化はその最たるものであり、日本酒を世界に広めようとしている中田さんはどんなことを意識していらっしゃいますか?」

この女性の方はデザイナー兼プランナーで、海外向けに国産家電やシステムキッチンを手掛けている方でした。
海外に受け入れられる日本製の在り方、みたいなものを模索する中で海外の”現場”を良く知るヒデにそんな質問をしたんだと思います。


(オンライン参加含め)その会場にいる誰もが、現地でならではの何か、例えばイタリア人ってこうだからとか、イングランドの文化って意外とこうだからみたいな、そんな”ならではの体験談”を予測したのですが、ヒデは少し思案してからこう言いました。

「流通じゃないすか」



■超ロジカル主義

ヒデは続けてこんな話をしました。

「今って、銀座とかの高級和食店も普通にワインが飲めるって知ってますか?あれ何でか知ってます?」

質問者をはじめ、みんなポカンとしたところでこう続けます。

「儲かるんですよ。ワインの流通って本当にしっかりしていて、仕入の価格とかも安定しているんで、ワインを売ると安定的に儲かるんですよ。だからみんな取り扱うんです。

でも日本酒にはそれがない。だから世界に売ろうとしても様々なハードルがある。それはコスト的にも物理的にも。海外で日本のものを広めたかったらやはり流通をちゃんとするべきです」


もうね。元も子もないんですよ。それ言っちゃ(笑)。
でもこれが現実。笑っちゃうぐらい正論。ヒデは日本の食文化を海外に受け入れさせるためにはまずは物理的なロジックだと、そう言ったんです。

エモーショナルな回答を期待していた会場はちょっと唖然としたんですけど、もしかしたら「この人何言ってんだろ」と思った人もいたかもしれませんけども、個人的には最高でしたね。

やはり中田英寿だ、と。


そのあと会場の雰囲気は何のその。
日本酒の流通のための品質管理の話とかトレサビの仕組みとして目を付けているDX技術の話とか、そんなんを脈絡もなく言いたい放題言ってセミナーを〆ていました(笑)。



■サッカーも単なる一つ

大前提として、自分が興味あることしかしない。彼はそう言い切っていました。
それが10代20代のころはボールを蹴る行為で、それが今は違う、と。

そしてそのボールを蹴る行為自体も、誰かのためにとか、誰かに合わせるとかではなく、自分自身のポリシーの中でやっていて、それが今でもしっかりと軸としてあるんだな、と。そんな印象を改めて受けました。


正直、技術的な話自体は目新しさは無かったのですが、特筆すべきはその語り口調で、セミナー向けというよりは、思っていることを自分のペースで語っているという感じ。

それはかつてのピッチ上での立ち振る舞いと何ら変わりはなく、ユニフォームこそ身に纏ってはいませんでしたが、セリエAダイジェストで見たヒデそのものでしたね。

久しぶりに彼のプレースタイルを目の当たりにして、とても懐かしかったです。




本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?