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【迫真エッセイ】転職と苦悩の話⑧

昇進試験に失敗し、優れたハードを世の中に解き放つ”モノづくり”より、ソリューションビジネスというワードにより敏感になっていた僕であったが、以前となんら変化しない部分と、大きく変化した部分とが混在している日々を過ごしていた。


■変わらない日々

新しい商品開発は、僕の試験結果なんて全く関係なく(当たり前!)淡々とその後も続いていた。僕は最高記録をたたき出した商品の後継モデル開発を他の方に任せ、別軸の新モデルの挑戦に臨んでいた。

それもまた大きな挑戦だった。

前商品で共に開発したプロジェクトメンバーは自分を入れた3名のみ。それ以外は新しいメンバーがアサインされた。みんな希望に満ち溢れ、活き活きとして顔つきが良い。前商品の開発スタート時とは雲泥の差だ(笑)。

しかし、

そんなメンバーの活力とは裏腹に僕のテンションは信じられないほど低かった。結果から言うとこの新しいプロジェクトも何とか成功した。シェアは更に伸びることとなった。

以前の自分なら天狗の鼻が天井を突き抜けていただろう。しかし全くそうならなかった。重度の脱力感と眠気。特に眠気はひどくて出社して30分で眠くて眠くて帰りたくなっていた。当時、もしリモートワークがあったら本当に朝から晩まで寝ていたかもしれない。

今思えば・・・これがいわゆる燃え尽き症候群というやつだったかもしれない。とにかく(やることはきっちりやるのだが)全く気合が入らない。。。青ざめた顔をして問題を告げに来る若手くんの報告を聞きながら、僕は「なんだそんなことか。」と思いながら眠気と戦っていた。

 

■変わった日々

燃え尽き症候群にどっぷりとつかっていたそんな時、ひとつだけ刺激的な出来事があった。賞レースだ。

規模は全社単位。つまり自部門はもちろんのこと、僕のことを面接で落とした面接官たちが所属する他部門も含まれる。そこで、新規事業のアイデアコンテストが行われたのだ。

日々の読書を通じてソリューションビジネスとは何かをおぼろげながら掴んでいた(多分)僕は、このコンテストに自分なりのアイデアを盛り込んで企画書を作ってみた。

これが当たった。結果は優秀賞。つまり全社で第2位だった。

当時外食産業を襲っていた重労働問題。人手不足と固定費カットが横行して「ワンオペ」などという言葉が出回り始めたころだった。僕はその課題に目を付け、新しい技術要素を組み合わせてとある提案をした。つまりソリューションビジネスのコンサルチック(今思っても本当に”チック”レベル(笑))なことをしてみたのだ。


面接官は僕のことを「オワコンハード設計天狗野郎」だと判断し、ふるいから落とした。悔しいけど心当たりもあった。

そんなやつが、ソリューションビジネス提案の賞レース(全社規模)で勝ったのだ!!
後日 本社に招かれ、社長をはじめ幹部がズラリと並ぶ経営会議内でCTOから直々に賞状を頂いた。これは嬉しかった。ポッキリと折れていた僕のモチベーションを少しでも上向きにするのには十分だった。


退屈な日々と、刺激的な日をきっかけに僕の考えは大きく変化していく。これからはソリューションビジネスだ!

僕の心に、「転職」の文字が浮かび上がった瞬間だった。

 

 

 

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続く。いよいよ新天地へ。

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