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【子育てルポ】子供を「他人」として見ること

これは考えようによってはやや無責任に思えるかもしれないけれど、
ある程度の手ごたえを感じていたりもする、子育てに関する一つの考え方。
それは、

子供を他人、つまり一人の人として見るということ。


きっかけはこの本であった。

表紙の色に対して白字は視認性が悪すぎるだろう。というのが第一印象だったけど、まぁそれは置いておいて、この本のテーマはズバリ「箱」。

ここでいう「箱」とは、自己 欺瞞 ぎまん

自己欺瞞とは、自分の考えが絶対に正しいという強い思い。それゆえの他人への強要。

これはビジネス本で、特にチームビルディングを円滑に進めたい人にとってこの自己欺瞞ってのはなかなかに危険だよねーという内容なのだが、

僕がこの本を読んでいて真っ先に思ったことは、この考えは子育てにこそ効くという事であった。


改めて。
自己欺瞞とは自分の考えが絶対に正しいという強い思い。それゆえの他人への強要

まさに子に対する親の態度そのままではないか。




■他人として見ること

子供というのは親が思っている以上に凄い。


松下幸之助は自己成長における大切な要素に「素直な心」というのを掲げている。四の五の言わずに現実を直視できるか。
その重要性を説いた金言であるのだが、思い返すとこの”素直な心”で行動している模範はいつだって子供たちであった。

反抗期やあまのじゃくな時期もあるが、子供というのは、多くのことを知ってごちゃごちゃ言う大人なんかより本質的によっぽど素直である。

この素直な心をなるべくへし折らないように、むしろ気持ちよく肯定してあげるように仕向けていけば、子供というのは基本的に勝手に育つ

好奇心やフットワークも軽い。記憶力も良いし、とりあえず真似してやってみるだけですぐ出来てしまう器用さもある。(そうやって立って歩くことも言葉をしゃべることも覚えてきた)


では、
そんな素直な心をへし折ってしまう行為とはなんだろうか。

他でもない。親の、自分の考えが絶対に正しいという強い思い。それゆえの強要である。


親の側から見ると、決して悪気がないというのも事実だと思う。それどころか善意だと思っている節すらある。

だからこそややこしいんだけど、自分自身も経験があるのでよくわかる。それが親心というものだったりする。


そんな親心をグッとこらえる方法。それが、子供を一人の人として見るという行為かなと思う。

どんなに自分の考えが正しいと思っていても、いくら何でも赤の他人には言わないよね、ということが実はたくさんある。

敢えて言わないことは少し無責任というか、不親切にも思えるが、実はそのぐらいの距離感がちょうど良かったりもする。

その距離感を、我が子にも当て嵌めてみるのである。




■自分をもっと可愛がること

我が子に対して、
もちろん道徳やルールはしっかり教える。困っていれば(赤の他人と違い)全面的にフォローする。金銭面、あるいは精神面の援助は手を抜かない。

しかし、
そこから先は行き過ぎない。なぜなら自己欺瞞だから。と、自分自身に言い聞かせる。

そうは言ってもなかなか出来る事ではない。特に子に対する愛が深ければ深いほど。
ではどうすればいいか。それは実は意外と単純で、自分自身をもっと可愛がることではなんじゃないかと、そんな風に思う。


冒頭に述べたように法や道徳はきっちりと教えつつも、それ以外は関与しない。というか、そんな時間があったら自分自身の好きなことに当てる。
子供に対していささか偏重し過ぎていた自分の脳みそを思い切って自分自身に使ってみる。

自分もやりたいことたくさんあるから。「他人」にかまってる暇は無いから、と。


お父さんはお前のためを思って。
お母さんはあなたのために自分を犠牲にして。

よくよく考えればこんな言葉は自己欺瞞そのものじゃないか。
であれば、
自分の時間を自分のために使えばいい。ほとんどはそれで解決してしまうのである。



■良いこと

この考え方を有して、実践してみたところ子育てに対して心理的な余裕が増えた以外に、思わぬ副産物があった。

それは、
素直に、本当に素直に、心の底から我が子を尊敬できるようになったということ。

普段であれば見逃していたような些細なこと。あるいは身内だからという理由で取り立てて持ち上げなかったようなこと。もしくは照れくさくて面と向かって言えなかったようなこと。

そんな機会に接した時、素直に「凄いなぁ」「素晴らしいなぁ」と言えるようになった。我が子に対して。褒めるのではない。尊敬するのである。


そして改めて、子供というのは親が思っている以上に凄い。素直な心もある。そんなことに心底気付かされるのである。

折に触れて発する感嘆は本心だからこそ子供たちに伝わる。これは彼女たちの深層心理に深くしみ込んで、もの凄い価値を示した。




■最後に

”逢えない時間が愛を育てる”とは恋愛ソングの常套句だが、この考えは真理だなと思う。
ここでいう愛とは、なにも恋愛に限った話ではない。家族愛も夫婦愛も含まれる。

干渉しすぎず、ある程度の距離感をもった方が上手くいく。
そのコツは、我が子ですら他人と思うこと。一人の人間として接すること


自分の考えが絶対に正しいという強い思い。それゆえの他人への強要は言い換えれば、相手のことを信用していない行動とも言える。

子供は未熟でまだまだ危うい。これは間違いなく事実。
しかし一方で、彼ら彼女らには大人が思っている以上の才能に溢れている。これもまた事実だと思う。



さぁ自分の「箱」から脱出できるだろうか。

大人側が一つ殻を打ち破ることでそれが垣間見え、我が子が伸びていくのであればやってみない手はないと思う。





本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。

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