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【東北ゆかりの本】40才過ぎて新たな道へ~盛岡の書店「BOOKNERD」店主の言葉

本との出会い

一度社会に出て、喜びも苦しみも経験した末に、「これだ」というものに出会う(または気がつく)、そんな経験はないだろうか?

実は私もそのひとりで、社会に出てある程度経ってから「やりたいこと」に出会った。(正確には、気がついた)
それも35才を過ぎてからだ。

インターネットや雑誌では、アラフォー世代で新しい挑戦を始めた人のインタビューを目にすることはある。
しかし、私の周り(狭い世界)ではアラフォーから新しいことを始めたという人は見かけることがなかったので、現実味がないと思っていた。

この本は、40才を過ぎてから、岩手県盛岡市で「BOOK NERD(ブックナード)」をオープンした、店主の半生を書いたものだ。

生まれが岩手で縁があったため、お店のことは知っていたが、県外にいるのでなかなか行くことができずにいた。

なので、この本の発売を知り、「40代で新たな人生を踏み出した作者に会ってみたい」「出版不況と言われる中、人口30万人ほどの地方都市で、どのような思いで本屋さんを作ったのかが知りたい」という気持ちが強くなった。

その願いが叶い、先日盛岡に行ったとき、作者・早坂さんから本を買うことができた。

この様子は、こちらから。

感想

「他の人の人生を、こんなにも覗き見してもいいのかな…」という後ろめたさを感じつつ、短い時間で読みきってしまった。
それほどリアルに作者の心情が伝わってきたし、次はどのような行動に出るのかが終始興味深かった。

物語は、早坂さんの子どもの頃から始まる。幼少期から高校卒業までの話は、本との出会いから関わりがメインだ。本屋さんになる原点が、随所にちりばめられていた。

そして、進学、就職、起業など、本屋開店から、現在までの紆余曲折が、自らの言葉で書かれている。

決してハッピーなことばかりではない、エピソード。出会いがあれば、別れもある。
どんな感情も包み隠さないストレートな文章だった。
その当時の感情や思いと向き合い発信することは、想像をはるかに越えるような葛藤があったのだろうと思わせられた。

それを思うと、心が苦しくなった。けど同時に、自分の選択への強い「覚悟」を感じた。

また、作者が新たな道に踏み出すまで、多くの出会いや別れが積み重ねられていることがわかった。


おわりに

読後に感じたのは、「私は、誰かに背中を押してもらいたかったんだ」ということへの気付きだった。
特に40代で新たな人生に踏み出した先輩の経験を聞いてみたかったのだ。

「新しい挑戦」というと明るいイメージで見てしまうところがあった。
けれど、明るさの中に、表には見えない困難や、別れなど暗い部分もある。そこをリアルに書いているところが印象に残った。

覚悟を決めつつ、その時々の感情と向き合いながら、一歩踏み出してみようと思えた。

今日の本

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『ぼくにはこれしかなかった』
早坂大輔著
木楽社





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