【エッセイ】仙台から芥川賞作家が!
仙台出身・在住の作家、佐藤厚志さんが第168回芥川賞を受賞した。
地元在住の作家が芥川賞受賞となると、本好きとしては、嬉しいもの。夕方、ニュース速報が出たときは、飛び上がって喜んでいた。関係者の方の喜びは格別だったであろう。
報道で、佐藤さんが私と同世代で、仙台在住と共通点があることや、受賞作の『荒地の家族』は東日本大震災がテーマと知り、読みたくなった。
早速、受賞数日後に、佐藤さんの勤務先の書店に行った。もちろん本を買うためである。
書店は、仙台駅前のテナントやオフィスが入ったビルの1階にある。
ビルのエントランスには、受賞を知らせるポスターが貼られ、店内には華やかなコチョウランの周りにコーナーが作られるなど、フロア全体が祝福ムードだった。
佐藤さんのコーナーには、著書の他に、彼が選書した本が並ぶ棚もあった。作家であり書店員だということを実感する。
しばしの間コーナーを見ていると、通りすがりの人たちがチラチラと見ていく気配がする。歩き方がゆっくりになり、目線を感じる。地元での関心の高さを体感した。
受賞作『荒地の家族』は予約待ちの表示があった。
予約して帰ろうとしたら、佐藤さんのイラストと新刊『荒地の家族』と書かれた栞を見つけた。
スタッフが作ったものだろうか。似顔絵も特徴をつかんでいて、温かい気持ちになる。
「ご自由にお取り下さい」と書かれていたのでいただいてきた。
レジで『荒地の家族』を予約する。「少々お待ちください」と言いながら予約申込書を準備する書店員さん。佐藤さんも普段はこうして店頭でレジ対応したり、本を並べたりしているのだろう。
もしかしたら、知らないうちに接客を受けていたことがあったかもしれない。そう思うと、親近感がわき上がり、今回の受賞への嬉しさが増してくる。
予約手続の後に、対応してくれた女性書店員さんに「受賞おめでとうございます、とお伝え下さい」と思わず言ってしまった。「ありがとうございます。伝えておきます」と笑顔で答えてくれた。
先日、無事に『荒れ地の家族』が届いたので、じっくり読もうと思う。
普段書いているローカルブログの中で、東北に関係する本の紹介記事も書いてみたい。