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【わたしの本棚】働き方に悩む人、やりたいことがある人の道しるべとなる1冊~『「私らしく」働くこと 自分らしく生きる「仕事のカタチ」のつくり方』

 経験を積み重ねたことや、ライフステージの変化により自分の「働き方」について悩んだり、何かを「やりたい」と思ったことは、多くの方が経験されているのではないでしょうか。

    日々の仕事のあれこれ細かいことに悶々としたり、「働くこと」や「活動をすること」には面白さを感じる一方で、悩むこともあると思います。
もしかしたら、今その真っただ中にいる方もいるかもしれません。

 わたしもその一人です。会社員とライター活動の2つの顔を持って早6年目。様々な経験をさせていただいたり、好きなことで社会とつながることができたりと充実した毎日ではありますが、働き方や仕事について悩むこともあります。

 そのような時に出会ったのが『「私らしく」働くこと  自分らしく生きる「仕事のカタチ」のつくり方』という本でした。著者は、編集者・ライターの一田憲子さん。2015年に初版が発行されています。

8人の女性たちの「働き方」や「仕事観」に触れる


 本書は、一田さんが30~60代(2015年当時)の女性7名にインタビューした働き方についてのお話、最終章では一田さん自身についても書かれています。

 取材を受けた女性たちは、経営者、個人事業主、会社員、複数の仕事をする人など仕事上での立場は様々。職種も生地専門店オーナー、書店のコンシェルジュ、出張料理人、不動産会社店長など多岐にわたります。一田さん含め8名それぞれの「働き方」や「仕事観」に触れることができます。

特に印象的だったストーリーは…

 わたしが特に印象に残ったのは、生地専門店「CHECK&STRIPE」オーナーの在田佳代子さんのお話でした。なぜなら、一番最初の見出しに“仕事には「しっかりしてる」「テキパキしてる」は必要ない”と書かれていたから。

 プロフィールによると在田さんが立ち上げた「CHECK&STRIPE」は、地元の神戸や芦屋にとどまらず、東京にも直営店を構え、本書でも「手づくり好きの間では知らない人がいない生地専門店」と書かれています。

 そのような大きな会社のオーナーというとテキパキとした人を想像していたので、意外な言葉に驚きました。写真で見る在田さんも優しい笑顔の穏やかな印象。

 同時に興味をそそられました。
 それはわたし自身がテキパキと動きたいのに、いざ仕事でイベント準備をするときにどう動いたらよいのか戸惑ってしまったり、忙しい時にどこか抜けてしまったりという悩みがあったからです。
他の人の動きを見る、メモをするなど心がけているものの、うまくできないことも多く、どうすれば「テキパキ」と「しっかり」できるのかと悩んでいました。

 一田さんによるインタビューを読み進めると、在田さんはベクトルを自分ではなく周囲に向けながら、自身の特性を生かしていることがわかりました。

 例えば、「まわりから求められていることに応える」。「生地のサンプルが欲しい」という客の声に応えて見本帳を作り、通信販売を始めました。そこからホームページ制作に詳しい人に教えてもらいながら、ネットショップを立ち上げたそう。当時は、インターネットやホームページ制作が一般的ではなかった頃。求められていることに応えるための努力に驚かされました。

 そして「まわりの力を活かす」こと。見本帳を作るときは得意な友人の力を借りる、販売商品の生地で素敵なバッグを手作りしてくれた人に、ディスプレイ用のバッグをお願いするなど、まわりの人の得意なことを見抜いてお願いする。「プライドがないから素直にそう言える」と言います。

 テキパキ・しっかりしないことを気にするのではなくて、大切なのは自分を手放して周りをみることだと気がつきました。

のほほ~んとしている方がいい。しっかりしていなくていい。プライドはない方がいい……。自分を手放したとき、「できること」は倍増する。

「私らしく」働くことより

 結びに、一田さんが「在田さんに教えてもらった」という「法則」の一文を読みながら、大きく頷きました。そしてクヨクヨした気持ちが抜け、「明日からまた仕事をがんばろう」とやる気になりました。

道しるべとなる一冊

   8人の仕事についてのストーリーを垣間見れる本書では、「何だか自分と重なる」「こんな形で働きたい」など、読んだ方それぞれに合ったヒントに出会えると思います。

  わたしも、他の人に仕事について掘り下げて聞く機会がなかなかないので、8人の話を聞くという貴重な体験ができました。そして悩みの解決策を見い出せたという収穫もありました。

 今、仕事や働き方に悩んでいる人や何かをはじめてみたい人はぜひ、読んでみて下さい!きっと道しるべとなることでしょう。




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