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週末の秋の夜に読みたくなる本
【本を選んだきっかけ】
週末の仕事帰りに、本屋さんに寄った。この日、担当していた仕事が無事に終わり、「明日は休みだし、ゆっくり本でも読みたいな」とゆったりした気持ちで店内を巡っていた。その時、平積みにされていた表紙の絵に惹かれ、手に取った本がある。
その本こそが『満月珈琲店の星詠み』であった。カフェ好きな私は、「珈琲店」というキーワードが気になり、読んでみることにした。
【あらすじ】
満月珈琲店は、座席3つほどのトレーラーカフェ。満月の夜にだけ、気まぐれに現れる。店員は猫で、お客さんに注文を取らず、メニューは店員おまかせという“かなり”変わった店である。
そこには、ヒット作が出せなくなった元人気シナリオライターや、自分の過ちを許せずにいるディレクター、これからの仕事の方向に悩む美容師など、人生の壁にぶつかっている人々が客として導かれていく。
三毛猫のマスターは、西洋占星術で彼らの星の動きを読み解いていき、それぞれ答えを出し、希望を見出していく。
一見、3章から成る短編小説のように見えるが、登場人物たちと、猫たちは「ある出来事」で繋がっている。
【感想】
印象深かったのは、店員のペルシャ猫が、客にかけた言葉だ。
「(前略)だけど、試練は壁ではなく扉なの」「そう。試練を乗り越えたら、新たな扉は開いて、素晴らしい景色を見せてくれる。」
今まで、自分の中で大きな問題にぶつかると、そこで終わりだと諦めてしまうことも多かったし、楽な方へ逃げがちだったと思う。
けれども、試練を乗り越えたその向こうに、新しい世界が広がっていると思えば励みになる。「壁」ではなく「扉」ととらえることで、同じ状況でも希望が湧いてくる。この言葉を心にとどめておきたいと思った。
【まとめ】
優しさと温かさに溢れた作品だった。巻頭のイラストも物語に彩を添えている。そっと背中を押してくれるような一冊だった。