【ショートエッセイ】#雨の日をたのしく
私は、雨の日があまり好きではなかった。
楽しみにしていたイベントが中止になったり、やろうとしていたことができなかったり、傘をさしたり畳んだりする時に濡れたり…雨っていいことないなって思っていた。
だが、ここ数年「雨もいいなあ」と。雨ならではの良さを感じるようになってきたのだ。
先週、山登りに行った時、あいにくの小雨だった。初めはガッカリしていたものの、時折、新緑に降りそそぐ雨を見て、心の中のモヤモヤや、嫌なことが流れていくような澄んだ気持ちになった。
雨の中にいると、晴れた日にはない落ち着きがある。じっくりと自然のうつろいを味わいながら過ごす時間は、至福の時だった。
これからの時期の楽しみは、通勤ルートの紫陽花。雨の中でしっとりと咲く姿が映える。
子供の頃から知らず知らずのうちに、「雨=嫌なもの」という思い込みがあったのだと思う。
楽しみにしていた予定がつぶれるなど、自分の力では「思い通りにならない」ことが嫌だったのだ。今思えば、「なんと自分勝手な…」と恥ずかしくなる。
少し視点を変えるだけで、嫌だと思っていたことが、良いことに変わる。と、雨に教わった気がしている。