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体の声を聞きながら。懐かしい再会の日。

5月15日。月曜日。

昨日の夜、結局お腹を下してしまってヘロヘロ疲れた体で眠りについたため、今朝は目が覚めた瞬間からなんとなく体が重い。それでも今日は週明け、子どもたちは学校があるので朝はしっかり起きなければならない。むしろ、今日は先週月曜日から延期になっていた次男の遠足の予備日なので、少し早めに起きてお弁当を作るというイレギュラーなイベントまである。

重い体を引きずるように起こして、子どもたちより一足先にリビングに向かいカーテンを開けると、なんとまたしても雨だった。先週に引き続き雨。数日前から天気予報を見ていて危ないなと思っていたけど、やはり雨。これはまたしても遠足は延期だろう。でも遠足が延期になろうと、今日は次男の学年は給食が用意されないので、お弁当は作らなければならない。先週に引き続き、遠足で訪れる動物園ではなく、雨の校舎の中で食べられるお弁当を作る作業。体調もイマイチなのに、なんとも気が乗らない。誰のせいでもないのだけど、面倒くさい。

心の中でブツブツ言いながら、次男に罪はないので、次男の好物を弁当箱に詰めていく。途中子どもたちが起きてきて、次男はまたしても雨での遠足延期を残念がる。そんな次男を慰めつつ、お弁当を作る傍らで朝ご飯の用意もした。お弁当を携えた次男と長男と、兄弟揃っていつも通り登校していった。

無事お弁当を作るという今日一番のノルマを終えたら、とりあえず少し体を休めようとソファに横になった。ふと自分の体に意識を向けると、胃腸の疲れた様子を感じる。荒れて、疲れて、負傷中の胃腸さん。私の胃腸は自分の体の中にある臓器であり、私を構成している一部であるのだけど、一方で捉え方によっては、私の意識(頭)とは別に一つの人格を持っている存在のような感覚もあって、だからこのときの私は、疲れた胃と腸に「お疲れ様です」とでも声をかけたくなった。実際に、まだずんぐり重いお腹に手を当てて、心の中で「お疲れ様です。今日は胃腸をゆっくり休ませましょうね」と声をかける。

今日は午前中に、私が昔主宰していたコミュニティーの卒業生さん何人かとzoomでオンライン同窓会をする予定があった。30人近くいるコミュニティの卒業生さんとはここ数年ご無沙汰している。その中で、たまたまインスタで繋がっていた卒業生さんの一人がひょんなきっかけから「久々にみんなで顔を合わせたいですねー」と声をかけてくれて、とりあえず連絡のつく範囲で適当にオンラインで集まってみよう、とゆるく決まったのだった。

まだ少しお腹に負傷感は残っていて体にしんどさはあるので、予定通り参加するか、無理をせず欠席するかと一瞬迷ったけれど、頭と心は元気だし、やっぱりこの久々にみんなと会えるタイミングを逃したくない気がして、参加することに決めた。こういうとき、オンラインでの会合だと、移動せず自宅にいるまま快適な状態で参加できるのがありがたい。

時間になってzoom会議室に入ると、久々に顔を合わせた面々に一気に懐かしさがこみ上げてきて自然と楽しくなる。私を含めて5人のメンバー(一人は小さいお子さんがいるので耳だけ参加だった)で、順番に近況報告をしたり、あとはその流れでそれぞれ思いついたことを語り合ったりした。

何年ぶりかに顔を合わせた人もいたけれど、そんな長い間会っていなかったような感覚はなく、気まずさや恥ずかしさもなく、本当に昨日まで普通に会話をしていたような感覚で、みんなも同じようなことを口していた。そういう感覚を持てる関係であることが嬉しかった。それは、コミュニティ時代に、何ヶ月にも渡り、一緒に学んだり、自分のマインドやハートを整えていく過程を共有するというとても濃厚な体験を一緒にしてきたからだと思う。

私が当初女性向けのコミュニティーを開いたのは、私自身が子育てしていく中で、子どもたちがまだ2歳と5歳くらいの小さかった頃に育児ノイローゼになってしまった経験があり、その状況を脱け出すためにいろんなことを学んだりその学んだことを実践して自分が心地よく過ごせる生活を取り戻していった過程を、今度は同じように子育てでしんどい思いをしているお母さんたちに伝えて、お役に立てたり参考にしてもらえたらいいな、という思いからだった。

そして今日、顔を合わせない間にお子さんを出産されていた卒業生さんがいて(お子さん出産のニュースだけは聞いていた)、みんなから「おめでとうー!」と祝福の言葉が飛び交う中、改めて今の子育て中の様子などを報告してくれたのだけど、その中で、「かなこさんやコミュニティの他のメンバーさんが伝えてきてくれた知識や体験談があったから、それを参考に今自分は快適に子育てができている」というようなことを言ってくれて、それが、とにかく、本当に嬉しかった。

数年間、自分の持つすべての力を投入して運営してきたコミュニティが実際に一人のお母さんの役に立てたということが、本当に嬉しかった。あの頃、コミュニテイをやってよかったなあ、と改めて思った。いや、そもそも、こうやって何年ぶりかに顔を合わせて、気兼ねなく近況報告をし合える仲間ができていること自体が、あのコミュニティをやってよかったなぁと思わせてくれる。

一時間半ほどみんなでおしゃべりをして、今回平日の午前中だと仕事があって泣く泣く不参加という人もいたという話を聞いて、また別の日に夜の部もやろうということになり、その日程を決めてから解散になった。会の間は楽しくて、お腹の負傷具合など微塵も感じなかったし、すっかり忘れていた。久々にみんなと顔を合わせられてよかった。やっぱり参加してよかった。次の夜の部は誰と会えるのか楽しみ。

会が終わったらお昼の時間に近かったけれど、負傷したお腹はまだ到底何かを食べれそうな状態ではなかったので(今食べ物を入れて私たちを働かせないで、という胃腸たち)、そのまま何も食べず、会が終わったら張り詰めていた糸が切れたのか少し疲れを感じたので、子どもたちが学校から帰ってくるまでの間に少し仮眠をとることにした。寝室に入って布団を敷いて、横になるだけでも実際に眠ってもどちらでもよかったのだけど、いつの間にか一時間ほど寝ていた。

ちょうど目を覚ました頃に、在宅勤務中の夫が「大丈夫?」と様子を伺いに声をかけてくれつつ、眼科の予約をしているということで外出していった。仮眠をとる前は若干しんどさが増してきていたのだけど、寝たらだいぶスッキリした。それでもまだお腹のどよんと重い感じは残るので、食事をしようとは思わなかった。多分今日は(胃腸が)一日食事をとるモードにはならないだろう。

私が目を覚まして10分もしないうちに、ちょうど次男が先に帰ってきた。すると、次男がランドセルを下ろしているくらいのタイミングで、玄関先のインターホンがピンポーンと鳴った。何事かと覗き穴を見てみると、マンションの下の階に住んでいる次男の同級生のHくんだった。ドアを開けると、「今日遊べる?」と声をかけてきた。

Hくんの家とは幼稚園の頃から付き合いがあり、ときどき互いの家を行き来して遊んでいるのだけど、今年新学期に入ってからは互いの家がバタバタしてなかなか遊ぶ機会を作れていなかった。どうやらお母さんにも了承をもらって、直接遊びに誘いに来てくれたらしい。

Hくんの誘いに、玄関先で「ママ、今日行っていい?」と目を輝かせて聞いてくる次男。Hくんも玄関先で待っているし、私は焦って午後の予定を頭の中で反芻しつつ、特に予定はないので遊ぶのをオッケーした。一時間後にHくんの家のほうに行くことになり、Hくんは一度家に帰り、私は玄関のドアを閉めた。ドアを閉めたあとになって、「あ、そういえば私具合悪いんじゃん…!さっきまでしんどくて仮眠までしていたのに…」と気づく。Hくんの誘いが咄嗟のことすぎて焦ってしまって、そこに次男の期待も伝わってきて、つい自分の体調のことを忘れて了承してしまった。

一瞬断ろうかとも考えたけれど、一度了承してしまったし、行き先も同じマンションの下の階だからすごく近いし、親の私は何をするでもなく子どもたちを座って見守っているくらいだから、なんとか大丈夫だろう…と多少しんどさを感じながらも、そのまま決行することにした。ここ数週間次男もずっとHくんと遊びたいと言い続けていて、いい加減一度この遊ぶ約束を終わらせてしまいたい気持ちもかなり大きかった。

約束の時間の頃にちょうど帰ってきた長男も一緒に、三人で下の階のHくんの家へと降りる。Hくんが玄関で出迎えてくれて、私は手土産のお菓子をHくんのママに手渡しつつ部屋にお邪魔する。子どもたちはずっとやりたかったNintendo Switchのポケモンゲームの対戦を楽しそうにやっている。Hくんは下にあと二人兄弟がいて、うちの子も入れて子どもが五人も集まるとなかなかのわちゃわちゃ感だ。

Hくんママとは子どもたちの幼稚園時代からかれこれ五年ほどの付き合いなので、気兼ねなく話ができて、子どもたちを見守りつつHくんママと近況報告や情報交換のお喋りをする時間は楽しい(今日みたいにお腹がしんどくなければより楽しめるのだけど…)。子どもたちの遊びがキリのいいところまで待っているうちに結局二時間ほどおうちに滞在させてもらい、そろそろお互い夕飯時だからと五時半くらいに引き上げた。

帰宅したら、今度は息つく暇もなく夕飯の準備をしなければならない。メインのおかずは冷凍のチキンソテーを解凍することにして、付け合わせに簡単なサラダやらスープを用意した。

私はといえば、やはりまだまだ胃腸が負傷中のどんよりした重みがあって、到底食事はできそうになかった。頭の中では「◯◯が食べたいなぁ」なんて考えはするのだけど、身体はまだまだ食べ物を完全拒否、というか、到底傷ついていて受け入れる体制にない、という感じ。そのときに、頭と体ってやっぱり別物なんだなあと思ったし、やっぱり頭には頭の、体には体の「声」があるのだなあ、とも思った。(さらに言えば、人には心にも別の「声」があると思う)

それで言えば、昨夜冷たいアイスコーヒーを二杯連続で飲んでお腹を壊す原因を作ってしまったのは、「アイスコーヒーが飲みたい!」という私の頭と心の声の赴くままに行動してしまった結果で、そのときに体の声も聞いていたら、「そんなに一気に冷たい飲み物を飲んだらしんどいよぉー」という胃腸の声を無視したからかもしれない。目の前に欲するもの(昨日は美味しそうなコーヒー)があると、つい自分の中の一部の声を無視してしまうとき、あるよね…と反省モードな夜なのだった。

一日振り返れば、お腹を負傷しながらもなんだかんだで午前、午後と予定があって、なかなか盛りだくさんの一日だった。疲れた体のためにも夜は早く寝ることにした。胃腸さん、今日はお疲れ様でした、ありがとう。

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