見出し画像

I先生のこと

I先生のこと ― 例題の効用 ―
 
I先生はNHKの高校講座・数学の講師を何年も担当され、高校の教科書も何冊も執筆された方です。福岡の予備校でI先生から聞いた話です。
 
夏休みのある日、ある生徒さんがI先生に相談に来たそうです。
その生徒さんは先生に、「私は数学が不得意です。数学が得意になる方法を教えてください。」
 
それに対して先生は、「私のいうことを実行するならば教えてあげる。」と答えたそうです。
 
その生徒さんは実行すると答えたので先生は、「教科書の例題を問題と解答を10回写せ!」と言ったそうです。
 
何か月か経って合格発表があり、その生徒さんが先生を訪ねて来ました。
生徒さんは九州大学の法学部に合格したそうです。
そして、「これは先生に教えて頂いたことを実行した証拠の品です。」と言って、10本のボールペンを持参したそうです。
先生はそのボールペンを見て、実行してみてどうだったか聞いたそうです。
生徒さんは、「初めは1文字ずつ見ていましたが、そのうち1行になり、7回目以降は何も見なくても解答を書けるようになりました。」と答えたそうです。
生徒さんの言葉を聞いて先生はニンマリされたそうです。
 
このエピソードからは例題の効用が2つ読み取れます。
1つ目の効用は、例題はその分野の大切な問題と考え方、解き方が詰まっていること。
2つ目の効用は、同じ問題と解答を何度もやることで自然にその問題と解法を身に付けることができるようになることです。
 
このエピソードからもわかるように、教科書の例題は学ぶべきことがたくさんあります。
皆さんももう一度教科書の例題を読んでみてはいかがですか。
きっと何か大切なものが見つかりますよ。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?