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巨人はなぜ3割打者不在で勝てるのか。他球団の主力選手と比較して分析してみた。

こんにちは、すずです。

現在セリーグ首位を快走する原巨人。先発不足、主力の絶不調、怪我人続出と実は万全とは言えないチーム状況です。

それでも貯金を増やし続ける巨人の強さがどこにあるのか分析していきたいと思います。

セリーグ打率上位10

まずは現在のセリーグの打率争いから見てみましょう。

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巨人の選手が出てくるのはなんと17位。そもそも規定打席を到達している選手が丸、坂本、岡本の3人しかいません。良くも悪くもレギュラーの固定をしていない/出来ていないということですね。

チーム別の人数を見てみると、トップ20では1位巨人が1人、2位のDeNAが4人、3位阪神が4人、4位中日が3人、5位広島が4人、6位ヤクルトが4人。

続いて次の表はチームの得失点が分かる順位表。

個人成績があの状態でも巨人はリーグダントツの283得点(201失点もリーグ1位)

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この決定力の差はどこで生まれているのか。もう少し分析していこうと思います。

ちょっと野球を普段見ている人からすると違和感のある表現になるんですが、誰でもわかりやすくするようにここからは打率の表記を3割ちょうどなら(0).300から30.00%と表記して表を作成します。これなら普段野球を見ない人でもなんとなく確率がピンとくると思います。

各チームの打点上位5人の打点数/打率/得点圏打率、そして得点圏打率から打率を引いた数字をまとめました。

得点圏から打率を引くと、チャンスの時に打率がどのくらい上がった/下がったかが分かります。

まずは巨人と広島

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巨人は中島が+9.2%、坂本が+8.7%と5人全員が通常の打率より得点圏打率の方が数字が良く、平均値は+6.44%に。野球の打率は.300±.050位。つまり25%~35%くらいで主力選手の打率が並びます。その中で平均して+6.44%というのはとても高い数字です。

広島は松山が+12.5%と圧倒的にチャンスに強いです。今季覚醒のプリンス堂林はチャンスだと-3%。5人の平均は+3.36%でした。

次はDeNAと中日。

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どちらのチームも平均するとチャンス時は打率がマイナスに。

DeNAの4番佐野もチャンスでない方が打てているようです。

中日は打率3割を超えていて1,3番を打つベテランの大島がなんと-12%。得点圏にランナーがいると打率は2割を下回ります。

最後は阪神とヤクルト。

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阪神は巨人より高い7.16%に。特にサンズが得点圏だと+21%と異次元の勝負強さ。もう1人の助っ人ボーアもチャンスでは+6.5%。リードオフマンの近本も+9.9%と高い数字です。

ヤクルトは昨年新人王の村上が打率34.1%(.341)と覚醒。かつチャンスではさらに率を上げて+4.9%の39%に。

不調で抹消もあった山田哲はなんと+12.4%。チャンスの場面では村上に匹敵する率を残しています。

ここまでを一旦まとめます。

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実は巨人より阪神の方が得点効率がいい結果になりました。

実はここまで記事を書いていて、僕の仮説とは違う結果になっています。

僕の仮説では、リーグトップの得点数のほとんどが打点上位5人に集中していて、打率は低いながら得点が多い=打率の低い主力は得点圏での安打が多い。でした。この結果を見ると、中日とヤクルトはちょっと倍の違いがありますが、巨人より数字のいい阪神との違いが説明出来ません。

阪神との得点差の25点はどこから来るのか。また貯金14の巨人と貯金1の阪神の差はどこにあるのか。この記事の後半はそこを重点的に分析します。

先ほどの打点トップ5をトップ10にしてみます。

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巨人が平均+4.8%に対し阪神は+4.7%と巨人が逆転。得点力の秘密はここな気がします。亀井さん+24%って...。得点圏だと打率5割超えるんですね。

では打点トップ6~10位のみで数字を分けてみます。

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阪神の打点6-10位は打率も得点圏打率も低いですね。得点圏の方が+2.3%なので、「阪神」というチーム全体で見るとチャンスに強い打線なのが分かります。

ただ打点下位のメンバーは平均打率.233とかなり下がるのに対し、巨人は打点下位のメンバーも平均打率.276と打点上位のメンバーと比べてもほぼ同じ結果に。

これだけでは決定的な数字にはなりませんが、一つの要素として、巨人は1~8番までの打率が一定(穴がない)で、平均するとほぼ全員が得点圏打率3割(30%)なことが分かります。

対して阪神は主力の得点圏打率は巨人を上回るも、下位打線や控えの打率と得点圏打率は大きく下がるため得点効率の良い打順と悪い打順がはっきりしている。

という結果になりました。言い換えると、チャンスの場面で誰に回っても一定の確率で得点される巨人と、サンズや中谷だとほぼ得点が決まるが、糸井、木浪、福留のようにチャンスで打率2割前後の打者だとほぼ得点できないということです。

なんとなく巨人の方が得点できるのは分かったんですが、さらに裏付けるためには出塁率や誰の得点が多いかなどを見た方がいい気何します。

次は、打率に対しての出塁率を見ていきます。

これは打席数上位10人で見てみます。

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基本的に打率に四死球で出塁した率が加算されるため出塁率は打率より高くなります。打席数上位10人の平均打率は巨人の方が2%=2分ほど高いです。

しかし出塁率で見るとその差は0.8%=8厘に縮まり、打率に対する出塁率の増加率は阪神の方が高い数字になりました。

そう考えると、主力=打席が多く回ってくる≒出場機会の多い選手が1試合あたりで塁に出る確率は安打か四球かを関係なくすると巨人と阪神はそれほど大きな差にはなっていません。

先ほどの打点上位10人の比較で分かった結果も合わせて考えると、同じくらいの出塁率の2チームがあり、巨人は1~10人誰でも同じくらいの率で得点され、阪神は1~5は期待できるが6~10は期待薄。この差が得点の決定力の差になっていると言えます。

先ほどの表を作成していてもう2つあることに気付きました。

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この表は、得点の多い順ではなく、打席の多い順です。

野球は得失点効率のゲームですから、打席の多い人が多く出塁し得点されるのが理想です。つまり打席数上位1~3位がそのまま得点順位1~3位になっている巨人は理想的な得点ができていると言えます。

対する阪神は打席数2位のボーアが得点順位で7位。確かに打率は低いですが、出塁率で見ると岡本と大差ありません。これが2割台とかなら分かるんですが、一定出塁しているボーアが得点できていない。

打席が多く回っている人がしっかりと得点されている。

これが一つ目の巨人と阪神の差の部分です。

もう一つは気付けましたか?

阪神の打席数上位10人の得点順位を見てみると、1,7,2,5,4,3,6,8,15,11です。

巨人は1,2,3,12,9,6,4,9,7,16です。

巨人は得点トップ10の中で5位と上位の数字が抜けています。

巨人の得点5位は18得点で増田大です。

他の抜けている順位は、同率7位で15得点の重信、同率9位で12得点の陽です。

増田大は基本的にはスタメン出場がない中で盗塁数は阪神近本に次ぐリーグ2位の12盗塁。18得点はリーグ30位の数字でダントツで少ない29打席。増田大の次に打席が少ないのはDeNA神里の84打席。約3倍の差があります。

いかに増田が代走特化で起用されているかが分かる数字です。

阪神は1~8まで打席数の多い選手が得点上位に入っています。増田大、重信、陽が誰の代走で得点していることが多いかは調べきれていませんが、坂本,丸,岡本には基本的には代走は使わず、それ以外の選手に対しては徹底して得点の可能性を上げるために代走起用をしています。

もちろん阪神にも植田や江越のように代走出場する選手はいますが、その選手がしっかりと得点できているか、仮に打席が回ってきた時に出塁できるか、得点圏打率はどうか。そう考えると増田大はリーグ屈指の数字を記録しています。(調べたところパリーグの選手を含めてもダントツの数字)

今年はソフトバンク周東が代走特化から外野の一角を担うようになりました。そのため増田大に近い起用の選手はかなり少なくなったのですが、代走の多いロッテ和田は10得点とまだ「代走選手の一番手」です。

これらの得点効率の高さが巨人に3割打者がいなくても得点リーグトップの数字になっているのかなと思います。

改めて順位表です。

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これは記事を作る前から分かっていたのですが、得点以上に失点の少なさは圧倒的です。2位のDeNAと比べても30失点差とかなり失点を抑えられています。

この記事では得点力についての記事でしたが、次は失点について調べてみようと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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