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「千年女優」リバイバルにて初鑑賞の巻(717字)

千年女優。
監督・今敏と音楽・平沢進によるタッグアニメーション映画作品にして、第5回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を「千と千尋の神隠し」と同時受賞した経歴をもつ。

にも関わらず、私は通ってこなかった作品であった。しかし時に「観る人を選ぶ」とか、「何故かもう一度観たくなる」とかいう感想を耳にするその作品性は、ラーメンズのようなある種の異端を好む私にはうってつけかもしれないと思った。

映画館での鑑賞後、結論、とても好きだった。

自分の生まれる前の作品にも関わらず何故か感じる作画の懐かしさ。目まぐるしく移り変わる場面場面の時代背景。女優の姿を以てして文字通り千年を駆ける千代子。
息を切らして走るアニメーションが如何にも2000年代前半の日本アニメの美しさと臨場感を映しているように思った。年々極まる高グラフィック化も素晴らしく誇らしいが、あの時代にしかないものがあるのも確かだ。

そして、終わり方が良かった。
何処までも一途で純粋な片恋を描いたロマンス、ではなかった。
自尊、自己愛、自己陶酔。
本当の純愛は、己に向かっていた。
「あの人を追いかけている私が好き」
きっと自身でも自覚していながら目を逸らし続けた千代子の本質が最後のセリフに顕れていた。

音楽もとてもよかった。
劇中歌はもちろんのこと、エンディングで流れる大音量のロタティオンが胸を打つ。ああ、いいものを見たなぁという余韻を与えてくれた。
他にも平沢進の楽曲を聴いてみたくなった。
今度アルバムを買ってみるつもり。

初めての作品を観るというのは、こういう新しい喜びの連続なのでとても文化的で満たされる。映画にしろ演劇にしろコントにしろ、初見の作品にも積極的に触れていきたいなぁと思った。

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