雨の記憶 page2
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半月ほど経った雨の日、彼女はまたきた。
今日は、普段いるマスターが用があるというのでお店を任されている。
ところで、なぜ、いつも一人なのかと不思議に思うかもしれない。
うちは、普段からお客が少ない個人経営なので、いてもあと一人、雨の日はマスターと俺1人でも回せる。
この喫茶店に来て彼女は普段、読書の時もあれば、スマホをいじっていたり、居眠りしていたり、自由に過ごしてもらえている。
今日は参考書を広げている。
どうやら試験勉強のようだ。
ただ、二人用の小さなテーブルでは窮屈そうで、気づけば「あの、どうせお客さん来ませんし、あそこ使っちゃってもいいですよ」と2つテーブルがくっついている席を指差し勧めていた。
彼女は「ありがとうございます」とそのテーブルに移動した。
内心、役に立てて少し嬉しかった。
ちなみに、案内した時に見た教科書で、同じ学年ということがわかった。
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