とある元高校生の読書&執筆垢

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  • お題『雨』2023.5.7

    • 27本

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雨の記憶 page5 section 2−1

 7月中旬になった。  あれからも何度か深川さんは店に来た。  相変わらず、大した話はできてないが、ちょくちょく注文をもらって、届けては少し勉強を教え、マスターも気を使ってなのか頻繁に休憩をくれるようになり、少し距離が縮まったと思っていた。  それが1週間ほど、日程で言うとテスト最終日の前日まで続いた。  そんな日々を過ごして、ある晩に家で疑問が頭に浮かんだ。  それまで浮かばなかったのも不思議なくらいだが、なぜ深川さんは雨の日にしか店に来ないのか。  何か雨の日じゃなきゃい

    • 雨の記憶 page4

       翌日も雨だった。  もう最近は暑くなってきて、梅雨明けが近づいてきた。  俺は基本週4でシフトに入っていて、この頃は出勤日のほとんどが雨で、店に行く時は地獄だった。  でも、店に入ってしまえば、除湿され涼しい空間に癒され、何より雨の日は彼女が来るのでなんやかんや楽しみだった。  マスターも「雨の中ご苦労様、これ私からのまかない。今日もよろしくね」とアイス珈琲をくれて少し一息ついてからバイトを始める。  そして今日も彼女はきた。  今日も参考書を持ってきたようだが、さすがにこ

      • 雨の記憶 page3

        page3  彼女が来店して30分くらい経った。  今日も他にお客さんが来る気配はなく、彼女と俺、二人だけの空間はしばらく変わりそうにない。  落ち着いた空間を背に、彼女が頼んだ当店のオリジナルブレンド抽出し、デザートの甘さ控えめなショコラケーキを用意する。  そして珈琲が出来上がる間は、カウンターから彼女を眺める。  もちろん、さりげなくだが。  小さなクラシックが流れる中、彼女のペンはスラスラ動いている。  教科は、、化学か。苦手なやつだ。  数分して、珈琲が出来上がり彼

        • 雨の記憶 page2

          page2  半月ほど経った雨の日、彼女はまたきた。  今日は、普段いるマスターが用があるというのでお店を任されている。  ところで、なぜ、いつも一人なのかと不思議に思うかもしれない。  うちは、普段からお客が少ない個人経営なので、いてもあと一人、雨の日はマスターと俺1人でも回せる。  この喫茶店に来て彼女は普段、読書の時もあれば、スマホをいじっていたり、居眠りしていたり、自由に過ごしてもらえている。  今日は参考書を広げている。  どうやら試験勉強のようだ。  ただ、二人用

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        • お題『雨』2023.5.7
          27本

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          雨の記憶

           雨、それは大体「憂鬱」「気分が落ちる」「面倒臭い」などと言われあまりよくは言われない。  俺もある時までは同じだった。  その考えが変わったのは、高校2年の梅雨時期、喫茶店でアルバイトを始めて1年になろうとしている時だった。 1page  俺の喫茶店、雨の日はお客さんがほとんどいない。  その中で、つい最近、雨の日だけ来てくれる女の子がいる。  見た感じ高校生だが、うちの制服ではない。  見た目は、まぁ物静かな感じ、背は女子にしては高めな感じはする。  顔はすごく綺麗だな