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4話_覗き見る

5人が両腕を広げ、仰ぎ見る。
何の楽器がわからない。水の中にぼわーっと溜まるくぐもった音のタール。
私は耳を塞ぎながら、全身を委ねる。
耳の気圧の違和感が、私を不快にさせる。

「それ、面白いからそのままやってみて。何覗いてるのかなーって」
私は舞台の真ん中で突っ立っていた。この音の中で、人に晒されていた。
自分から、瞬時に離れては引っ張り戻す。
一人でいたら、人混みに紛れていたら、こんなに自分から離れることを感じないですむのになあ。。。

私は、どうもきわが好きなのだ。
吐き気がするプレッシャー、恥晒し、気づくとそこに身を置いている。
確信犯なのだ、しっかりとそう仕向けて、まんまとその座を射止めている。

「んー、さっきみんなのぼわーっというのを見てたら、覗いてみたくなって、、、」
いつも人に説明する時、こんな伝わらない言い方をしている。
もう少し自分の感覚を言葉にできたらと思うのだが、
言葉にした途端、その感覚は何か雑味がついてしまう。

片手を目にあてて覗き見る。
それは、私の中を、そして5色の役の人たち、見ている観客もみんな、
それぞれ自分自身を覗き込む。

その暗闇に広がるものは何ですかー。
音のタール、足首に絡まる時間の重さ。
走って走って通り抜ける。
あなたはあなたの中にダイブする。

いつもひとり、私はいらない子だ。
そう思われたし、思ってもいた。
思い込んで、ひとりを仕向けていた。
そこから足掻くやり方が、
私をきわに立たせ、繋ぎ止めようとした。
それ、とっくに飽きている。




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