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英語試験アウトプットの技術5 「make」 Part II

みなさんこんにちは。通訳翻訳者兼予備校講師のすったけ先生こと鈴木健士です。これまで英検準1級以上を含む様々な英語資格試験で何人ものスコアアップをお手伝いしてきたエッセンスをお裾分けしたいと思います。今回は切れる英語表現のシリーズの第5回目です。4回目までを学習してからお読みいただくと更に理解が深まると思います。ここで「〜できる」という頻出表現をスムーズにアウトプットできるようにしておくと、後のレッスンで登場する「enable」を使った文も使いこなせるようになります。必ずマスターしておきましょう!そうすると四技能試験のスピーキングやライティングでもきちんと点数が取れるベースになっていきます!

簡単に登場人物の紹介をしておきます。すったけ先生以外は架空の人物です。

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すったけ先生(自称言語サービスプロバイダー)
海苔の養殖を営む漁師の家系。イギリス留学後にサッカーのワールドカップや愛知万博などの国際イベントで通訳翻訳に従事。アポロ17号宇宙飛行士、ハーバード博士講演の通訳などを務める。訳書と著書合わせて22冊を出版。実用英語の世界で培った経験や技術を予備校で学生に還元するために日々奮闘中。

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こうき(高校3年生)
国際教養系の大学への進学を目指している。テニス三昧の勉強がおろそかになっている。おっちょこちょいだが潜在能力は高い。

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あらた(高校3年生)
頭脳明晰で東大に現役合格できる学力の持ち主だが、ハーバード大学に進学したいという野望がある。時々自信過剰になってしまうことがあるのが玉にきず。

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ゆり(大学2年生)
英語に磨きをかけて国際的な舞台で活躍したいという夢を持っている。海外の大学院に進学して国際機関で働くのが目標。

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みき(外資系企業のOL)
英語は得意科目だったが、外国人や帰国子女の同僚が流暢に英語を話すのを目の当たりにしてコンプレックスを持つようになる。目標は海外でもMBA取得。

さあ授業の始まりです!文字を隠してイラストを見ただけで英語が出てくるようになるまで練習しましょう!

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次の日本語の内容を英語で言ってみよう。
「花子のおかげで私は宿題を終わらせることができた」

先生   :「花子のおかげで私は宿題を終わらせることができた」っていう内容を英語で言ってみよう。
こうき :あ、これは楽勝。「~できた」っていう内容だから簡単じゃん。
先生  :じゃあ言ってみて。
こうき :「Thanks to Hanako, I could finish my homework.」で完璧だと思う。
あらた :こうきは絶対そう言うと思ってたんだよね。
こうき :え?ダメ出しするところあるの?これは自信あったのに。
先生  :何でも「できた」を「could」にしてしまうのは、日本人学習者に多く見られるミスなんだ。
ゆり  :うちもそれで合ってるって思ってた。
先生  :実は「できた」を「could」で表現できることはすごく少ないんだ。次の2つの文を見てみよう。

「私は20年前とても速く泳ぐことができた。」
〇I could swim very fast twenty years ago.
「私は昨日その試験に合格することができた」
×I could pass the exam yesterday.

先生 :上の文を「I could swim very fast twenty years ago.」って言うのは問題ない。
ゆり :確かに。
先生 :でも下の文を「I could pass the exam yesterday.」って言うのは間違いなんだ。どうしてだと思う?
こうき :最初の文は20年前だからめっちゃ昔の話で、次の文は昨日だから結構最近の話だからとか?
あらた :全然関係ないわ。ふざけんなよ。「20年前にとても速く泳ぐことができた」っていうのは「20年前いつだって早く泳ぐ能力があった」っていう意味じゃん。
先生 :そういう「過去に能力があった」っていう内容は「twenty years ago」みたいな過去の副詞をくっつけて「could」で表せるんだよ。
みき    :だから「20年前にとても速く泳ぐことができた」は「I could swim very fast twenty years ago.」っていう英語にできるってことや。

私は20年前とても速く泳ぐことができた。
I could swim very fast twenty years ago.

ここまでのまとめ
過去に備わっていた能力について述べる場合「could V」で言える。(ただし過去を表す副詞的な語句と一緒に使う)

あらた :でも「試験に合格することができた」っていうのは「合格する能力があった」ってことじゃない。「頑張って1回だけ合格できた」ってことでしょ。
こうき :確かに。
先生     :そういう「頑張って1回だけできた」っていう内容は「could」じゃ表せないんだよ。このミスがスピーキングでもライティングでもめちゃくちゃ信じられないくらい多いから、みんなは絶対にやらないように気をつけよう!
こうき :「宿題を終わらせることができた」っていうのも「頑張って1回できた」っていう内容。だから、「could」は使えないってことか。
ゆり  :じゃあどうやって「花子のおかげで私は宿題を終わらせることができた」って言えばいいんだろう?
先生 :「頑張って1回できたこと」、「やったー、できたー!って叫びたくなるようなこと」っていうのは、「could V」じゃなくて「was/were able to V」とか「managed to V」を使って表現するんだよ。
こうき:確かにめんどくさい宿題終わったら「やった!」ってなるもんね。
みき :だから「花子のおかげで私は宿題を終わらせることができた」っていうのは、「Thanks to Hanako, I was able to finish my homework.」って言えるってことやな。
あらた:もちろん「Thanks to Hanako, I managed to finish my homework.」っていう言い方もできる。
こうき:なるほどね。

「花子のおかげで私は宿題を終わらせることができた。」
Thanks to Hanako, I was able to [managed to] finish my homework. 

ここまでのまとめ
頑張って1回できたことは「could」ではなく「was/were able to V」や「managed to V」で表す。

先生 :それじゃあ「花子のおかげで私は宿題を終わらせることができた」っていう内容を「Thanks to」を使わずに「Hanako」を主語にして英語で表現してみようか。
こうき:うーん、俺には全然わかんないや。
先生  :それじゃあLesson 4の復習をしてみようか。「花子のおかげで私にとって宿題を終わらせるのは簡単だった」っていう内容を英語で言うとどうなる?

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ゆり :「Hanako made it easy for me to finish the homework.」になるんだった。

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「花子のおかげで私にとって宿題を終わらせるのは簡単だった」
Hanako made it easy for me to finish my homework. 

先生 :じゃあこれをもとにして「花子のおかげで私は宿題を終わらせることができた」っていうのを英語にすると?
みき  :わかった!「簡単だった」っていう内容やから今の文は「easy」を使ってるんやん?
こうき:うん。
みき :「できた」っていう内容やったら「easy」の代わりに「possible」を使えばええだけの話やん。「easy」も「possible」もどっちも形容詞だから同じ感じで使えるってことやな。
あらた :だから「花子のおかげで私は宿題を終わらせることができた」っていう内容は「Hanako made it possible for me to finish my homework.」になるってことね。
先生  :お見事。中学で習う「It is possible for me to finish my homework」の「is」を取って「it possible for me to finish my homework」って感じする。それを「make」の後ろに置いてあげればいいんだ。「make it possible for〜to V」という形が口をついて出ておくようにしておこう。

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「花子のおかげで私にとって宿題を終わらせるのは簡単だった」
Hanako made it easy for me to finish my homework. 
「花子のおかげで私は宿題を終わらせることができた」
Hanako made it possible for me to finish my homework.

こうき :さっきの「easy」を「possible」にするだけだから簡単だね。
先生     :じゃあ「花子のせいで私は宿題を終わらせることができなかった」だったら、どうすればいいかわかるかな

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ゆり  :「できなかった」だからさっきの「possible」を「impossible」にするだけ。だから「Hanako made it impossible for me to finish my homework.」になる。

「花子のおかげで私は宿題を終わらせることができた」
Hanako made it possible for me to finish my homework.
「花子のおかげで私は宿題を終わらせることができなかった」
Hanako made it impossible for me to finish my homework.

先生  :その調子で頑張ろう。それじゃあ次の日本語を英語で言ってみよう。couldは使わないようにしてな。くっどいようだけど。
こうき :先生、クッドジョブ!
みく  :「could」がトラウマになりそうや💦

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Practice! 
1.   彼女のおかげで私はその数学の問題が解けた。
2.彼のせいで私は宿題に集中できなかった。
3.   君のおかげで私たちはプロジェクトで成功できた。

解答
1. She made it possible for me to solve the math problem.
2. He made it impossible for me to concentrate [focus] on my homework.
3. You made it possible for us to succeed in the project.


ここまでのまとめ
「Sのおかげで~はVできる/できない」という内容は、「S makes it possible/impossible for~to V」で表せる。

先生 :それじゃあ「この本のおかげで私は宿題を終わらせることができた」っていう日本語を英語にしてみよう。
こうき:あ、これ何かわかった気がするぞ。
みき :ほんまか。
こうき:「花子さん」も「本さん」も英語だと同じように主語にできる。
先生 :その通り。
こうき:だから、スタートは「Mr. Book made」ってことだよね。
あらた:まあレッスンも5回目だからそのくらいは余裕でできないとな。
先生   :「花子のおかげで私は宿題を終わらせることができた」っていう内容を英語で言うとどうなるんだったっけ?

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あらた :「Hanako made it possible for me to finish my homework.」になるんだった。

「花子のおかげで私は宿題を終わらせることができた」
Hanako made it possible for me to finish my homework.

先生  :そうだね。大分スムーズに口をついて出てくるようになってきたね。それじゃあ、「この本のおかげで私は宿題を終わらせることができた」っていう内容を英語で言うとどうなる?

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こうき :「花子ちゃん」の代わりに「本さん」を入れるだけ。だから「Mr. Book made it possible for me to finish my homework.」になるってことだ。
先生  :その通り。スムーズに言えるようになったのはすごくいいことだけど、スピーキングの試験で勢い余って面接官に「Mr. Book」って言わないように気を付けような。
みく  :いきなり「Mr. Book」言われたら、こいつ誰やねんってなるからな😅
こうき :確かに😀

「花子のおかげで私は宿題を終わらせることができた」
Hanako made it possible for me to finish my homework.
「この本のおかげで私は宿題を終わらせることができた」
This book made it possible for me to finish my homework.

先生  :それじゃあ仕上げに次の文の内容を「make」を使って英語で言ってみよう。

Practice! 
1.  君からもらったアドバイスのおかげで私はその数学の問題が解けた。 
2. その騒音のせいで私は宿題に集中できなかった。
3.    彼らが手伝ってくれたおかげで、私たちはそのプロジェクトで成功できた。


解答
1. Your advice made it possible for me to solve the math problem.
2. The noise made it impossible for me to concentrate [focus] on my homework. 
 3. Their help made it possible for us to succeed in the project.

レッスンのまとめ
「Sのおかげで~はVできる/できない」という内容は、「S makes it possible/impossible for~to V」で表せる。Sには無生物も使える。

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最後までお読みいただきましてありがとうございました。次回Lesson 6ではついに資格試験で抜群の威力を発揮する「あの言葉」を扱っていきます!

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