ライカのMCメーター購入と露出の悩み
1年半ほど使ってきたライカ M3。デザインやフィーリングには大満足な一方で、露出計がないことがストレスになるシーンが増えてきました。
M3では最初はスマホのアプリ、それからセコニックのツインメイトを買って撮っていました。精度的な不足はなかったのですが、やはり単体露出計をわざわざ持ち歩くのがどうにも面倒。これを解決する方法はないかとここ最近思案を重ねていました。
そこで考えた対策は主に3つです。
フィルムライカユーザー以外には少しマニアックな話になってしまいますが、このどの選択肢にもメリット、デメリットがあります。
1のVCメーターはサイズと精度が強み。価格はやや高いものの、アクセサリーシューに乗るし測定も間違いないようです。実際に使っている友人にもそう聞きました。
2のライカメーターはデザインが最高です。それに、後述しますがライカ純正の露出計なのでシャッターダイヤルと露出計が連動します。また、こちらもアクセサリーシューに乗る。古いものなので精度が出ていなかったり、OHを前提にしなくてはいけない点が弱みになります。
3の体感露出は会得していれば最良の選択になります。露出測定のための荷物が増えないわけですからね。自分の経験から言えばネガの場合は体感でも結構いけちゃいます。補助的にスマホアプリで日向と日陰を測り、あとはその場所場所で微調整をするとたいてい撮れてます。
こう書いておきながら実践出来ないのはどうしても不安だからです。すみません。たぶん大丈夫とは思いながらも何かしらの目安が欲しい。これは自分のメンタル的な問題...いや、技術か...
ライカのMCメーターを買ってみた
上の3つの可能性からまず今回試してみたのがライカのMCメーターです。見た目はご覧の通りで、アナログ感が満載です。左側の針が適正露出となる絞り値を示します。
(購入時の動画も撮りました。こちら です。)
セレン(太陽電池)を動力にしているので電池もいりません。その代わり、セレン自体が劣化するとここをまるっと交換する必要があります。
製造はドイツ・ニュルンベルクのメトラワット(読み方は合っているか微妙です)。フォントの古臭さがたまりませんね。
それではいよいよ、このメーターをM3に乗せてみます。
グレート。ただただグレートなマリアージュ。何もないM3もいいけどこっちはこっちで良い。これはテンション上がります。
実際に使っていくうえでの悩み
さて、あとはこれが使えれば露出計問題は解決です。テスト撮影はすでに終えているのですが、いったんこのメーターの使い方だけ説明させてください。ロマンなんで。
先ほども載せたこの画像。注目はシャッターダイヤル部です。ここでボディとメーターのダイヤルが連動して動くようになっています。
上がメーターのダイヤルで、下がボディのダイヤルです。さらにもう少し寄りますね。
ボディと露出計のSSをどちらもBにしてはめ込むと、ボディ側ダイヤルの切り欠きにメーターの爪がかかります。
この状態で露出計のダイヤルを回せばボディのシャッタースピードも変わるという仕組み。すごいこと考えるなぁ。
通常であればここまできたらあとは使うだけ。なんですが、僕のM3の事情はもう少し複雑です。というのも...
これがMCメーターのSSダイヤルで...
こっちがボディのSSダイヤル。そうです。SSの刻みが一致しないのです。
シャッタースピードには大陸系列と倍数系列というのがあり、大陸系列はわりと古いシステムです。時代的には初期型のライカM3なんかにこれが採用されています。
僕が手に入れたMCメーターは新しい倍数系列の個体で、この刻みがボディとは微妙に合いません。
図にするとこんな感じ。少しずつズレているのがわかるはずです。
今回はこれを知ったうえで購入しました。背景として、MCメーターの動作品自体が少なく、大陸系列のメーターはさらに少ない。オークションやインスタで画像を探した感覚では、大陸系列はだいたい10〜15個に1つくらいの割合かなと思いました。これを探すのは結構大変そうだなと。
そんなわけでSS系列の違う組み合わせになったわけです。つまりはメーターの精度もボディとの連動もざっくりということですね。これ自分で書きながら「使う意味ある...?」って気分になってきましたし、精度重視の方は読んでいて胃がキーッとなっているかもしれません。
とはいえ僕の場合はモノクロネガがメインですし、現像とスキャンも自宅でするので後調整の幅はありそう。そんな判断でMCメーターの導入となりました。
(ちなみにMCメーターよりさらに古いメーターMは大陸系列ですが動作品がもっと少なくなるので探すのをあきらめました)
メーターの通り撮ってみた
さぁでは実際の撮影結果はどうなったのか?ライカメーターの指示通りの露出で撮影してきたのでネガを共有しますね。
こちらです。Lomoの400をD-76で公式のレシピ通りに現像しました。意外にも露出は安定しているように見えます。何コマかオーバーっぽいのもありますが、露出計付きのマニュアルカメラでもこれくらいにはなりますよね。半世紀前のメーターとボディと思えば上出来ではないでしょうか。
さらに、すでにスキャンを終えた別のネガもあるのでそちらのデータものせておきます。
こうして見ても概ね良さそう。スキャン時に露出の調整をしていますが、どれも救済というレベルではありませんでした。十分いつもの現像の範囲。
最後のカットの上1/4の位置に線が入っているのは現像液が足りないことによるムラです。これは完全に僕の人為的ミス...油断は禁物ですね...
ざっくりでもネガなら使える。でもちょっと気持ち悪い
というわけでそろそろ終わります。感想は「ネガなら十分実用。でもSSがわからないのが気持ち悪い」です。もちろん後半は自分の環境に起因します。
結果を見ても安定して使っていけそうだけど、SSがわからないと写真に影響してしまう。だけどそんな撮影を日常的にするかい?今はこんな自問自答をしています。
このまま使っていくか、さらに古いメーターを探すか。それとも露出勘を鍛えるか。悩みが解決したと思ったら、さらに先に続く道を提示された気分です。これからどうなることやら。
ライカメーターを検討している方の参考になれば幸いです。
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