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地球温暖化対策:全世界の電力をサハラ砂漠で一括発電できないのか?

再生可能エネルギーの最も有利な面は、「大規模インフラを構築せずに電力を得られる点」です。家庭や近隣の遊休農地で太陽光パネルの設置をした方が、火力発電や原子力発電のようなインフラ負荷もメンテナンスの負荷も最小に済ませることができますね。ただ、この場合、ソーラーインフラ費用の全世帯総額を考えると非効率ともいえます。
では、思い切って世界最大のアフリカ・サハラ砂漠に世界電力をカバーできる太陽光発電所を設営してみます。


地図(出典より転写)の上に描かれた3つの赤い正方形。これが左から全世界の電力、EU25カ国の電力、ドイツのエネルギー使用量を太陽光パネルで賄おうとした場合に必要とする面積を表しています。

出典:TECHNICAL UNIVERSITY OF BRAUNSCHWEIG Faculty for Physics and Geological Sciencesの「Eco-balance of a Solar Electricity Transmission from North Africa to Europe」2005年


発表当時から15年近くが経っており、人口も70億人を突破し、アジア圏を中心に消費電力量も大幅増なので、この正方形は多少大きくする必要がありますが、広い砂漠からみるとカバーできそうに思えますね。

ただ、これは発電に絞った話です。あなたの家の明かりを灯すまでのことを考えてみます。

まず、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーはその特性上、単体での安定供給は非常に困難です。安定供給に向け、何らかの形で蓄電設備が必要になります。…蓄電池にためるのがいいのか、位置エネルギーとして貯めるのがいいのか、水素として貯めるのがいいのか…何が主流になるかで各分野がしのぎを削っています。【チャンス1:蓄電】

なんらか蓄電の方法が確立したとします。次の課題は供給です。サハラ砂漠で作った電気を地球の裏側に回そうと思えば、送電中のエネルギーロスがすごいことになります。なので、日本で山中から街中などへの送電線では、一般に15万〜50万V(500kV)程度で送電されているらしいですので、同等の配線を始めましょう…送電線で、 電気抵抗が少なく電には最適な素材と言えば銅。けれど銅は重く、また引っ張り強度が低いという欠点があるので、鋼心アルミより線(ACSR)と呼ばれる送配電用電線を使います。それにしてもその供給システムに必要な素材の掘削・精錬・設営に伴う環境負荷はエネルギー危機以前に、深刻な環境問題を起こすことになります。本末転倒ですね。【チャンス2:送電】

それでもなんらか送電の仕組みが確立したとします。今度はメンテナンスです。サハラ砂漠の太陽光パネルだけじゃありません。途中に数千万台にも及ぶパワーコンディショナーと変圧設備、それらを統合した大型変圧設備、そして送電設備に蓄電設備、すべてのメンテナンスです。何万人の雇用が必要でしょうね。それに太陽光発電設備は熱に弱く、風力発電設備は砂に弱いので労働環境としても最悪です。【チャンス3:リモートメンテナンス】

だからといって、リモートメンテナンスだけでおこなうことはできません、送電設備や蓄電設備のメンテナンスには物理的な交換が必要です。なので、【チャンス2:送電】や【チャンス3:リモートメンテナンス】よりも【チャンス1:蓄電】が重要となってきます。

【チャンス1:蓄電】の蓄電された物質を日本などへ運搬し、電力エネルギーへ再展開するという方式・・・・この考え方はエネルギー変換ビジネスという視点に広がります。事実、騒音(音エネルギー)を光エネルギーに変換し、駅構内の人の歩く音で停電時にでも非常灯を照らす技術や、車の往来の振動(運動)エネルギーを電気エネルギーに変えて交通量情報を送信する技術も開発されています。この変換技術が確立されていくにつれ、送電・メンテナンスが激減していくことに継ります。【チャンス4:環境発電】


【チャンス1:蓄電】と【チャンス4:環境発電】の分野は今後大きく成長することが見込まれ、それらの技術を用いた社会環境が整備されていくことが地球温暖化対策にも継ります。


覚えていますか?高校時代に習った”エネルギー保存の法則”。あの当時は物質単体のエネルギー保存の法則を習いました。地球温暖化は、地球規模のエネルギー保存の法則で考えれば最終的には熱エネルギー傾斜しているということ。環境破壊も温暖化もそのエネルギー交換の効率の悪さ(浪費・漏洩)が根本的原因ともいえます。

いま二酸化炭素排出量取引が拡大化しています。本質的に見れば二酸化炭素ではなくエネルギー効率化を問題視すべき。企業の環境に取り組む姿勢もこのエネルギー効率で語り、ESG投資されるべきでしょうね。

こういったエネルギー関連の技術に投資しようとする企業や、技術を採用する企業の取り組みを紹介するのも今後のマーケティングテーマとなります。

参考:
https://tinyurl.com/yaok2vt9
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime/44/2/44_2_185/_article/-char/ja/


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