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考案!DXのエネルギースケールを表す新指標 ー SuスケールとP波S波

某企業経営幹部:
・・・・しかしなあ、室長。これが我が社のDXか?これでいいのか??
室長:
え? いや、まあ・・・その・・・。 な、なにかご懸念でも・・?


世の中、多方面でデジタル化が進行中・・・

コロナショックを受け、世の中の仕組みや流れ、そして方法そのものが大きく変化。その変化の根幹となっているのがデジタル化であり、デジタルトランスフォーメーション(DX)化といえます。


●背景

貴社のデジタルトランスフォーメーションへの取り組み、順調ですか?
この問いに対するあなたの答えが、 はい順調です! だとしましょう。それって経営者の方に尋ねて同じく”順調”との回答を得られますか? 互いに同じ言葉で語れるほどの社内合意形成はできてますか??

社内でDXは進んでいるのだけれど・・・これでいいのか?この程度で満足していいのか?など漠然とした不安感を持たれている経営者の方が多いです。世の中のDX案件を俯瞰してみると、なんちゃってDXの多いこと多いこと・・・みなさんも薄々感じられているのではないでしょうか?

DXは単なるIT化やデジタル化ではありません。
トランスフォーメーションは革命という意味。そう、革命をおこすポテンシャルを持っているデジタル化こそが本来のDXと呼べるものです。

もっとも、それぞれの企業が追求するDXは多種多様。
同じ企業においても、その肩書や視座によって追求するDXは多種多様となります。

そうです、
DXには革命の影響度合いを表すエネルギースケール(単純に言えば”ものさし”)が必要なのです。そのDXのスケール感を評定する尺度がはっきりとしないからこそ、現場ではDXやってる感満載でも、経営層からみると生煮えな印象を持ち、社内的なベクトルが一体化しない、社内合意形成が醸成できていない、大胆な予算投下する意気込みを感じない・・のではないでしょうか。

コミュニケーションで大切なのは、レベル感をあわせること、そうプロトコル(尺度)をあわせることが重要です。そのような背景から、DXのスケール感を評定する新たな指標を準備しました。



●DXのエネルギースケール感を評定する新指標

次の2つを新指標として紹介します。

指標1:Suスケール

当該DXが影響を及ぼす(であろう)レベルにわけて以下のように定義します。

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Suスケール レベル0 (Su-0): なんちゃってDX
現在ある作業の単なるIT化・デジタル化。現状の業務フローに全く変化を与えない。作業効率にはいい影響を与えるものの、新たな効果は生まないスケール規模。いわゆるデジタイゼーション(Digitization)でありDXとは到底呼べない。全社員へPC配布、オンライン会議対応などがこれに当たる。

Suスケール レベル1 (Su-1): 部署限定のDX
限られた部署や本部内において作業効率と作業効果によい影響がでる施策。影響を受ける側にとっては大きなインパクトを持つためDXと呼称したがる傾向が強い。他部署からは無関心・他人事にされている場合が多く、DXと呼ぶごとに失笑を買っているに気づくことが必要なスケール。局所的なデジタライゼーション(Digitalization)。

Suスケール レベル2 (Su-2): 全社的なDX
それぞれの部署での影響の大小はあるものの、全社レベルでよい影響がでる施策。経営環境を大きく変化させ、企業発展の起爆剤となりえるインパクトを持つスケール。

Suスケール レベル3 (Su-3): ステークホルダーまで影響を与えるDX
その影響が自社にとどまらず、顧客・取引先・提携先などにもよい影響が広がる施策。企業ブランドの刷新にも大きく貢献。ビジネスモデルを変革し、新たな利益や価値を生みだす機会を創出するデジタライゼーション(Digitalization)を具現化するスケール。

Suスケール レベル4 (Su-4): 業界全体を変えるDX
自社に留まらず、業界全体にまでその影響を与える施策。ブロックチェーンを使ったサプライチェーンの再構築など。ブロックチェーン貿易プラットフォーム「トレードレンズ(TradeLens)」が好例。

Suスケール レベル5 (Su-5): 経済に影響を与えるDX
複数の業界全体のスタンダードとなり、国内外の経済界にも大きく影響を与えるるポテンシャルを持つ施策。このスケール規模では全く新たな職種が生まれる可能性大。上記「トレードレンズ(TradeLens)」は海運業のみならず損害保険業・陸運業も巻き込むことが予想され、近い将来にこのSu-5スケールになると予想できる。

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地震でいうマグニチュード(地震の発生エネルギー)をベースにすれば容易に理解しやすいかと。

地震のマグニチュードは、日本の地震学者和達清夫の最大震度と震央までの距離を書き込んだ地図に着想を得て、アメリカの地震学者チャールズ・リヒターが考案しています。Magnitudeは 大きいこと, 巨大さ, 大きさ, 大小, 重大, 重要さ を意味しています。

ではDXのスケールを示すこの「Su」は、何かって?
英語名称でStrengh(強さ)でいいかと当初思っていたのですが、世に生まれでた初めての言葉、ここは遊び心もいれて日本語の すごい、すげー、すばらしい! って意味の「す:Su」にしてみました。考案者特権です、お許しあれw

*蛇足: 竜巻のスケール感(F0-F5)は、1971年にシカゴ大学の藤田哲也博士によって提唱されたFujita scale。現在では詳細なトルネードの被害調査を反映して考案されました。いまでは風速と被害想定がより実際と近くなるよう変更が加えられた改良藤田スケール(Enhanced Fujita scale; 通称:EFスケール)が使われています。


指標2:P波S波

地震で使われているP波S波は概念的に便利なものなので転用してみます。DXへの転用するにおいて次のように再定義します。

P波 (P-wave)
Primary wave(第一波)の略。DXでいうP波は、そのDXが無事リリースされ、本番稼働したタイミング(=IT的成功・デジタル的成功)を意味します。向かうべき改革への第一歩を意味します。


S波 (S-wave)
Secondary wave(第二波)の略。目論んだ形通りにそのDXが影響するステークホルダーを巻き込みビジネス上必須の地位を築けたタイミング(=ビジネス的成功)を意味します。


施行するDXの種類やタイプによっては、P波・S波発生までの時間軸がそれぞれ異なります。低位のSuスケール(Su-0,1,2)では、P波発生までの期間も短く、P波直後にすぐS波が発生する場合もありますね。

上位層のSuスケールになれば、P波発生まで相当の時間が必要ですし、S波発生までにさらに数年必要な場合もあるでしょう。複数のDXプロジェクトが直列的に繋がって構成される場合もあるでしょうね。


●SuスケールとP波S波の使い方

このSuスケールとP波S波を使って、自社のDXの案件を整理することができます。経営層に向けたDX案件群の全体像と進捗具合も効果的・視覚的に説明しやすくなりますね。

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室長:
先日の役員の皆様からのご指摘を受け、進行予定のDX施策を洗い出しました。20施策のうち、残念ながら15案件は、Su-0,1で留まる案件であることが判明。Su-2以上のインパクトを持つ重要なDX施策は上記図表の5つです。
   :
施策B,Dにおいては未着手。それぞれの未着手原因は・・・・です。
施策CのP波はさらに前倒しすることが予算投下により・・・です。
施策Eに必要な実証実験ともなる施策Aは一部トラブルがあり、人的投下が・・です。
報告は以上になります。

経営層:
よし、では施策Cと施策Aに重点投資を。施策Dは3ヶ月前倒しできるよう打開策を・・・

っと、このような使い方です。

●最後に

皆様の進行中のDX案件、このSuスケールとP波S波を用いて一度整理してみてはいかがでしょうか??
え、難しそう??  

ならばご連絡ください。お待ちしておりますw


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