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#95 医師が覗き見る「日本社会のイマ」

コロナ禍からの日本の脱出劇は世界に比べると成長に乏しく、喘いでいるようにも見える。どうすれば良いのだろうか?その辺のヒントになりそうな話題を覗いてみた。

10月の米国鉱工業生産指数は予想値0.7%を上回り1.6%
小売売上高も予想の 1.4%を上回り1.7%
これらの数字が軒並み上昇しているので米国の景気が順調に推移しているのだろう。景気の過熱からのインフレ懸念があるのであるが、一方で脱炭素ブームから皮肉なことに石油価格の上昇を引き起こし、供給制約と景気加熱の相乗効果でインフレは長期化しそうである。

海外物価の実感を示すマクドナルド指数で有名な購買力平価は米国と比べると16%である。日本で100円(消費税込みで店内飲食110円)のマックハンバーガーは116円(プラス小売売上税)出さないと米国では食べられない事になる。年末にはもっとマックは高くなりそうだ。これは米国の賃金、物価が上昇しながら、ドル円もドル高に推移しているために起こっている。
ここに来て、米国からは経済的に引き離され、取り残されている感があるが、日本の消費者物価の下押し圧力は企業努力により上昇が抑えられているだけである。我慢出来ない所まで来ると、消費者物価上昇を来すはずである。それがアカラサマに成ると、日本の賃金は上昇しない中で、物価高が併存する事になり、一気に不景気に陥る事になろう。
俄にそのようなスタッグレーションに陥る事をメインシナリオとは思っていない。然しそうならない為に日本の経済成長の刺激策を施し、成長の果実を国民が享受できる様にしたいのが本音で、具体的には賃金アップに繋げたいのである。

子供の頃は、年末には不景気風が吹いて、働き手のお父さんたちの赤提灯でのぼやき、背中を丸めて家路に着く姿が記憶に焼き付いている。
近くに米軍キャンプがあり、米兵の羽振りの良さとギブミーチョコレートもクリスマスと一緒くたに思い起こされる。

そんな時代も子供にとってはどうって事ないし、苦痛ではなかったように思う。
然し、大人はそうでなかったはずだ。そんな状況をバネに日本人は一生懸命働いたし、国際情勢も味方して日本経済は急成長し、結果、中間層が膨らみ日本の現在の基礎が築かれた。

中国の経済成長は周知の事実であるのだが、貧富の差が著しいようだ。日本を教科書にしているのだろうが、共同富裕政策と称して中間層を増やす事を目指している。これは周近平政権の1丁目1番地の政策と言われる。
昨今、中国の共同富裕政策は大きなビジネスチャンスになると言う人は多い。中国の中間層は徐々に増加するはず。
膨大な規模感のあるそこにターゲットした日本企業は長期的な展望も持てそうだし、日本経済の成長期待に繋がる。世界中がこの新たなビジネスチャンスに相乗りしてくるはずである。そこを先取りして、日本の地固めは集中と選択で早めに行うべきであろう。

翻って見るに、中国との関係は尖閣などもあり一筋縄では行かないのかもしれないが、一時的に吹き上がる政治問題はあくまで一時的なものと捉えて、良好な経済関係を維持して行けば良い。
一発ホームランを狙わずバント作戦でコツコツと長期的な視点に立ち中国国内で足場を築けば、岸田政権が1丁目に掲げている成長と分配の好循環を実現できるかもしれない。賢い日本の経済成長と繁栄は見えて来ると思う。

世界は渦を巻いてpost-コロナになだれ込んでいる。

コロナに密着して行きます。

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