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# 97 医師が覗き見る「日本社会のイマ」

オミクロンで世界経済が振まわされている。ワクチン二回接種後もtrans throughして感染する症例が各国で報告され、不安感につながる。

加えて、先進国のインフレ懸念が加わり、世間は跛行色というか、経済的には落ち着かない状況が続いている。

12月1日、パウエル議長はこの日の下院証言で、『「現在起きているインフレはなお、明らかにパンデミック関連の要素が関係している」と指摘。「ただ、それが経済のより多くの分野に広がっていることも指摘したい。インフレ高進が根強く続くリスクは明らかに高まったと考えている」』と述べた。

これまで、新型コロナウイルス禍を受けたインフレ率の急上昇は主に一時的な要因によるものだと繰り返してきた。
「一過性」の表現は4月の連邦公開市場委員会(FOMC)声明で最初に言及があって以降、これまで毎回の声明で使われて激しい論争の的となってきた。
ここに来て、パウエル議長は事実上の降参を認めた形だ。金融当局が引き締め気味の金融政策にシフトしつつある明確なサインとも言える。

その上で、『「物価安定は金融当局の2大責務の一つであり、もう一つは最大限の雇用確保だ」とし、「現在のようにこれら2つの責務が対立してしまうような状況では、両者のバランスをしっかり取っていく必要がある。現在起きている高インフレが定着しないよう、当局として手段を講じていくことを約束したい」』と語ったのである。

ここに来て供給制約からくると思われるていたインフレは予想に反して、他の要因も加わり、長期化するとの見解である。過去に起きたスペイン風邪では働き手不足からのインフレを正常化するのに3年間かかったという報告がなされている。時代背景も環境も違うのだが、その程度のスパンを想定すべきなのかもしれない。

いずれにしてもこのパウエル証言はオミクロンで俄に浮上した再度の金融緩和観測を打ち消し、引き締め傾向をあらわに、金融緩和はあり得ないと、意志表明している。
年末景気上昇を期待していた方々の失望を呼ぶかもしれない。

ここで、今と真逆であった昨年の7月10日、低インフレの状況下での世界経済を私のメモから振り返ってみる。
『世界中の中央銀行が国債を購入、お金を創造しており、市中にはお金がジャブジャブというイメージを持つ。
一方で、中央銀行で刷った紙幣は、実際の流通するお金の2割にも満たないと言われている。残りは民間銀行がお金を創造している。まるで偽造している様に捉えられが、民間に流通する電子マネーを民間銀行が膨らませせて、それが8割を占めているそうだ。これを信用創造という。
さて、with-コロナで中央銀行の刷ったお金(ソブリンマネー)は2割から3割と増えたかもしれない。しかしながらコロナ禍での景気下振れから企業の設備投資がダウン、融資がダウン、信用創造がダウン、総じて実際に流通しているお金の総額は増えているわけでなくて、あまり変わらないと考える。金融機関は出来るだけ現金を保留したくないので、中央銀行の口座に留め置く。だから、多くの使い道のないお金がそこの口座に眠っているのだ。
お金は多くの錯覚を生む。中央銀行がこんなにお金を刷るのにインフレにならないのは?という疑問が沸くのだが、この辺に源があるのかもしれない。』

現在はこれと真逆なことが起きていると考えるとわかりやすい。FRBは一過性という言葉に固執してインフレを見ていたのだが、実相は全面的な経済回復と景気加熱で、民間に流通するお金が膨らんでジャブジャブと言うことのようだ。

いずれにしてもコロナを克服したかに見えても変異株が次々に出てくるようで、post-コロナという概念はなくて、with-コロナの中でここ数年は過ごしてゆかなくてはならないだろう。そんな中で世界の金融正常化の潮流は変わらないと思う。
さて、日本はどうする?

コロナに密着して行きます。



 


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