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#139:息子の中学受験で危うく土下座させられそうになった話

我が家(息子)の中学受験は、先日(2023/2)無事終わった。試験の数日間は、親として普段味わえない緊張と不安の日々だった。

元々はよくある中学受験の振り返りを書くつもりだったが、後日談で色々あったのでそちらについて書こうと思う。

受験ダイジェスト

後日談を書くにしても、受験期間での出来事が発端なので少し振り返る。

やはりというか、予想以上に受験時期は親として緊張や不安に苛まれた。毎日試験が続く中、基本的に親として出来ることは何もない。ただ祈るばかり。本人にプレッシャーを与えないように努めて明るく、落ち着いた演技も必要。

そんなこんなで全部で計6回の試験があった。

1月に埼玉の前受校(本命の東京や神奈川受験の前に受けるので前受校)を2つ。本番である2/1から2/3までに4つ。

特に2/1は初日で午前と午後に別の学校で受験し、その日にネットで両校の試験結果を見る。その結果を踏まえて、翌日以降の受験校を決めて出願という慌ただしいスケジュールだった。

試験結果は全てインターネットで発表。

開いたページの結果に、一喜一憂。というか、合格したら感極まって涙した……、親だけが。本人は、嬉しそうだが案外ケロッとしている。

そして何とか第二志望の学校には合格した。
親としてもホッと一息である。

合格後の手続き

先ほど書いた通り、合格発表は全てネット上で確認し、その後の手続きに関しても全てネット上でやり取りになる。

そして、ここが1番の落とし穴になるのだが、まだ他校の受験は続行している期間、親として必要な手続きを取捨選択して確実に遂行する、というミッションになる。

我が家の場合、2/1に第二志望の学校(最終的に通う学校)に合格した。2/2、2/3には、第一志望校の受験日が連続している。

2/2に第一志望校を合格できれば、晴れて全受験が終了となり、最も理想的な形であったが、残念ながら不合格。

そうすると、翌日の2/3も第一志望校を受けるチャンスはあるものの、2/1に受けた第二志望校の入学金を振り込みが必要になる。なぜなら納入期限が2/3の昼12時のため、2/3の第一志望校の受験結果が出る前とはいえ、期限までに振り込まないと第二志望の入学が取消しになる。

ただ当初からそのパターンは覚悟していたので2/2の第一志望校の合格発表を夜22時になって確認次第、ネット経由で第二志望校の入学金は振り込んだ。

明朝も5時起きで受験会場まで息子と一緒に向かうため、「入学金の振り込み完了しました」という通知のメールをタイトルだけ確認して、携帯を閉じてすぐに眠りについた。

それから数日して、我が家の通う学校は結果的に入学金振り込み済の第二志望で確定した。

紆余曲折あったが、行き先が決まり心底ホッとした。まさに全身のチカラが抜けるくらいに。

そして、その時点で抜けてはいけないものまでもう既に抜けていた……。


が、これに気付くのは少し後の話になる。

合格後の日常

まず受験以外の日常が我が家に戻ってきた。

例えば息子は受験前の一定期間、学校を休んでいたため(感染対策等)、久しぶりに小学校に通い出した。すこぶる楽しそうである。

受験の週は両親とも会社を休んだので、休みに溜まった仕事やら、1月は出社を控え在宅勤務していたので久々に出社したり、親もバタバタと日常に戻った。

まだ受験期には休部していた息子のスポーツ部活に復帰したので、土日はずっとそこに参加。

唯一の中学に向けたイベントとしては、翌週に制服採寸があった。募集要項にも記載があり、合格後の最初の手続きとしてはっきりと書いてあったため、日程を選んで予約した。

これまで中学受験の手続きや塾、志望校決め等一切の受験担当は、過去に中学受験を経験した私の役割だった。しかし、制服採寸は母親の方が何かと目端が効くこともあるかと思い、妻が息子に同行した。これも受験翌週には完了。

これで本当にひと段落。

あとは小学校最後の春を満喫してもらって中学に進学すれば良いな、となった。

…のだが、安心するのは未だ早かった。

連絡が来ない

制服採寸から約1週間。2月中旬。

妻「ところで中学校から合格通知とか、今後の手続きに関する書類の連絡ないの?」
私「あれ?制服採寸の時になんかなかった?」妻「あれは学校生協主催だから、学校手続きに関する話は一切なかったよ」

そうすると、確かに今後について連絡ない。
でも巷の中学受験界隈の呟きを覗いていた私は余計な勘違いをする。

ちょうどその頃は、各地で繰上合格の話題で盛り上がっていた。繰上合格とは、複数校に合格した受験生が通う学校以外は入学辞退し、それを受けて辞退された学校が他の受験生を繰上合格をすること。中学受験直後のこの時期は、これが複数校で玉突き的に連鎖するらしい。

そのため、繰上合格が落ち着いてから纏めて連絡あるのかと勝手に納得してしまっていた。

とにかく入学金も払ったし制服も採寸したし、さすがに入学は大丈夫だろう、と。

それにしても未だ連絡はなく、挙げ句に、妻はその辺りから毎日悪夢を見るとのこと。悪夢の内容は手続きミスで息子が中学入学できない、という正真正銘の悪夢。

そんな馬鹿なと鼻で笑う私。一方で日に日に、少しシリアス度が増す妻。そんな日々だった。

悪夢の散歩

その週の土曜日。朝から夕方まで息子は部活。

お昼過ぎに妻と出かけて、家の近所を散歩中に前触れもなく妻の携帯が鳴った。

「もしもし(通う予定の)○○中学ですが。」「あ、はい」(妻)
「今日は新入生登校日ですが、いらっしゃってないようなので確認ですが、息子さんはこちらの中学に入学の意志はありますでしょうか?」

!!!!

気が動転する妻。

よく聞いてみると、今日は新入生登校日であり午後から新入生全員が学校に登校している、とのこと

!!!!!

「どうなってるの!?」

妻が私に絶叫するのも分からなくはない。

一旦、通学の意志があることだけは答えて電話を切ったが、混乱と動揺が収まらない。今度はこちらから電話をかけ直して、もう一度改めて登校日はどう知らされていたのかを聞く。

話を整理すると、どうやら入学金の振込完了とともに来たメールにあらゆる書類のリンクと、この新入生登校日の話が書いてあるとのこと。

…完全に私が見落としたのが原因と判明。

散歩で外出中の我々は、混乱を引きづりつつ、とりあえず家に戻ることにした。

家に着くまでの間、悪夢の散歩。

妻「○○(息子の名前)が可哀想!」
私「ごめん…ほんとにごめん…。」
妻「帰ったら○○に土下座して!」
私「………。」

まあ何の弁解もできない。

妻の悪夢が少し正夢になりかけて、なかなかのカオスな散歩となった。

沈黙の部屋

帰宅後に例のメールを探す。学校名で検索しても中々見つからず、?となる。(そういえば、悪夢を見ると言われた時も調べたような…)

仕方ないので、2/2や2/3に到着したメールをしらみ潰しに調べてやっと発見(結果、学校名は略称と正式名の僅かな違いでヒットしなかっただけであった…)

確かに新入生登校日のこと、またその日までに用意すべき書類のことなどが書いてあった。

まだまだ気が動転してる我々は、必死に書類を用意し始めていて、息子が部活から帰宅したらその足で学校に向かうつもりでいた。登校日の時間に間に合わないが、直後に到着できるので書類だけでも渡せる、と淡い期待を抱いて。

書類が何とか揃って後は息子が帰宅するだけ。

ここでやっと、そもそも勝手に学校押しかけて良いのかが気になり出した。

改めて先ほどの番号に連絡。



あっさり「来週来てください」と告げられる。

まあそれはそうだよね。あちらにも事情があるし、ましてや完全にこちらはお願いする立場。

また全身から力が抜けて夫婦共に腰砕け。


そんなところに何も知らない息子が帰宅。

再度テンションが爆上がりした妻が顛末をまくし立てる。息子は終始微妙な顔で聞いている。

結局、今日はこれ以上どうしよもない。

何とも言えぬ居心地の悪い沈黙が広がる。
まだ寒い2月の夕暮れに照らされ、家族一同、呆然とした沈黙の部屋だった。

iPhone 14

沈黙に耐えかねた私は、じゃあ、○○(息子の名前)の携帯買いに行こうかと話題をそらす。

中学受験で志望校に合格したら、中学生待望のスマホを買ってよいということにしていた。

両親は共にiPhone SE。
まあでも第一志望に受かれば、受験勉強を頑張ったご褒美ということで最新版のiPhoneを息子は手に入れる約束となっていた。

第二志望校だったので、最新機種とはいかないまでもiPhone13や12などの割と直近のモデルを買っていいよ、という話はしていた。

では、いつスマホを買いに行こうかと話していたところだったので(土日忙しくて買いに行けていなかった)、沈黙に耐えかねた私は、皆の気分転換を目論んで、携帯購入に出かける提案をした。

そもそも怒るキッカケを失っていた(母親が怒りすぎて)息子はすぐに食い付いて、しっかりスマホを購入させていただくこととなった。

iPhone12や13でなく、最新のiPhone14を。

息子は何より満足そうだった。

中学生活が始まる


翌週の土曜日に、私ひとりで学校に訪れて、必要な書類の提出と新入生登校日に配られた教科書やプリント一式を受け取り、この話は無事に笑い話となった。

振り返ると、第一志望の受験日を翌日に控えて寝る前にさっと入学金を振り込んだ後、ロクに返信されてきたメールなど見ていなかった。

…結果的に何とかなったから良かったが、もし色々と重なり入学辞退にまで至っていたら、と思うと震え上がる。

もはや土下座で何とかなる話ではなかったが、まあでもこうして、来週には息子の新しい中学生活が始まろうとしている。

何とかなったので大いに楽しんでもらいたい。

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