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#254:テニスマネージャーの憂鬱(6)

前回は大会選びの憂鬱を中心に書いたが、そんな春休みも終わり中学2年の4月になった。

休みが終わり通常授業期間に入ると、大会出場も土日しかなく(息子は土曜授業もあり日曜のみ)選択肢はなく、大会選びの悩みは軽減された。


中学選手権(地区予選)

そして、この時期には中学校のテニス部としての試合が組まれる時期であった。春の中学選手権の地区予選(シングルス、ダブルス)があった。

シングルス

徐々に試合でも勝てるようになってきたものの、いわゆる経験を得るための試合形式が多く、この地区予選はトーナメント形式として久々の試合。

緊張して当日を迎えたが初戦、2戦目までは4-0、4-0で危なげなく勝ち上がる。やはり部活のみの選手も多く、ジュニアテニスの世界(選手登録する人達の世界)とは少しレベルが違うようである。

1Rは対戦がなかったので、次の対戦では4R。あと2つ勝つと地区の本戦出場、および都大会出場。

第4R

しかし、ここで運悪く昨年の大会で都大会に出場している3年生と当たる。

試合開始前に相手の試合を親子で観ていたのだが体格は逆三角形、サーブは速かったり跳ねたり。ストロークも打球音が違う。まさにレベチ。

結果は0-4で完敗。デュースありのルールだったので何ゲームかはデュースで粘ったものの、その時も冷静に押し切られて万事休す。

ただあまりに相手が強すぎたせいか、悔しいより息子はケロッとした顔で「強い相手と戦えてよい経験になった。色々試してみた。」とのこと。

うん、それならばまあよいか。

ダブルス

次の日曜は3年生の先輩と組んでダブルス。

一緒にダブルスを組む先輩は少し気分屋らしく、試合中も息子が「落ち着くように」と度々先輩に声をかけていた。(笑)仲良しペアらしい。

なかなか良いコンビでシングルス同様、4Rまでは順調に進む。しかし、そこで両方とも身長180cm越えで都大会出場経験ありのペアに遭遇。

えげつないサーブに加えて、中学生でありながらちゃんとサインプレーを交えてのダブルスペア。これも全くつけ入る隙はなく、0-4で完敗。

ただ、何本かエグいサーブを返してラリー展開で打ち合えたことが、息子には刺激になった模様。終わった後に「この試合はビデオ撮影して見直したかった」と直訴された。

(すまん、ダブルスのビデオは撮ってません…)

地区本戦(観戦)

そうして息子の地区予選は終わったのだが、次の日に行われた地区本戦と都大会出場に向けた順位決定戦を親子で観戦した。

たまたま家の近所の市民公園で開催されていて、誰でも観戦自由だったのとその側を通りかかったことで、息子がぜひ観たい!との要望に応えた。

各予選で5回勝ち上がってきた猛者たちは間違いなく、皆さんジュニアテニスの世界の人達。
少しプレーを観ただけでその実力は歴然。

そんな様子を食い入るように観る息子。どんなプロの卓越したテニスを観るより、目の前に広がる1番近い目標の人々のテニスが刺激になる様子。

親としても、息子がこの選手たちと渡り合うのはいつ訪れるのかを想像し、少しワクワクしながら観戦した。

同じスクールの先輩達

観戦している中で、より身近に感じられる試合が何試合かあった。

同じテニススクールに通っている先輩たちが対戦する試合が幾つかあり、それはどちらが勝っても最初から最後まで目が離せなかった。

練習と同じクオリティーで打ち込む場面もあれば練習では見たことないテクニックを駆使することもある。逆に練習では滅多にしないミスが試合で出て、そういう場面が直接勝敗に繋がっていく様子を目の当たりにした。

「直近の目標は、公式戦であの先輩たちの誰かに勝つこと」と明確にターゲットを定めた息子。

「おー、それはいいね」と答えつつも、本音では未だテニスマネージャー的には勝てるイメージが湧かないまま、地区本戦の観戦を終えた。

練習の変化

実際その後からスクールで先輩達とゲーム形式で勝負する時、練習とはいえ、これまでとは違う気迫と集中力で挑む姿を見せるようになった。

もちろん技術や経験値が違うので一蹴されることも多いのだが、それでも何とか息子がポイントを取る頻度は着実に増えてきた。

スクールの先輩達という目標ができて、あと少し勝てば近い将来に試合できるチャンスはあると、リアルに感じたことで行動が大きく変化した。

単純にたくさん練習して、たくさん試合に出ていれば強くなると思っていた。もちろんその要素は大きいものの、それだけがキッカケではない。

今回の試合観戦は普段の練習や試合よりも息子のテニスに大きな変化を与えたように思う。

思い返すと、息子のテニスギアが上がった瞬間は試合以外にもいくつかあるので、次回はその辺りを書いてみようと思う。

お読みいただきありがとうございます。(続く)

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