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#177:落語のすすめ

誰かに何か薦めることはあまりないが、敢えてあげれば、知らない人には落語をすすめたい。

趣味は何ですか?

よく「趣味はなんですか?」と聞かれて、私が
「落語です」と答えると「…あ、はい」となり会話が途切れることが多い。(実際は、もう少し興味ある風のリアクションではあるが…)

落語ブーム、落語アニメやドラマがヒットなどの話もあるが、実際のところ、体感では冒頭のような感じ。どうしても認知度低い。

誰かに趣味を押し売りするのも無粋な話なのでその場はおとなしく黙って引き下がるものの、親しい人には落語のすすめを語ることもある。

過去、その想いが溢れてnoteにも書いたこともあったが、いつにもまして反応が薄かった。(落語ファンの方には刺さったようでコメントまでいただき嬉しかったが…)

いや、改めて読むと、落語を知ってる人には分かるが、興味のない人にはさっぱり分からない書きっぷりである。想いが溢れ過ぎ…反省。

落語音声のすすめ

コンテンツの溢れる世の中、新たなエンタメの落語に対して、いきなりお金を出して生で観に行くのはハードルが高い。(基本的には生/Liveで楽しむ演芸だとは思っているが…)

なので、少しでも落語に興味がある人は、まずYouTube等で音声だけを気軽に聞いてほしい。

ラジオやポッドキャスト、もしくは本の朗読(Audibleのような)を聴く人にとっては割と馴染みやすいコンテンツだと思う。

仕草や表情も大事だが、基本的には話芸なので話だけを耳で聴いても充分楽しめる。視覚でも楽しめる演芸だが、最初は落語サイズの時間を動画視聴する体力がない可能性がある。疲れるか、他の動画に移りたくなることもあるので、最初は気楽に音声で聴くことをおすすめする。

通勤や移動の電車の中でぼんやり聴くなんて、ほんとちょうどいい。

コンテンツ選択のこつ

どの芸人を選ぶかであるが、最初は古い名人(サムネイルが白黒や古い)は避けて、最近の人気のある芸人のもの(個人的おすすめは最後に書く)を聴いていただきたい。音質や言葉遣いで聞き取りにくいのは最初避けた方がよい。

昭和の名人芸は、気になり始めてから聴いても遅くはない。いまの芸人はいまの観客に向けて落語をしているので、言葉のチョイスや話の流れも今の我々に分かりやすく工夫されている。

また設定の古い話(いわゆる古典落語)がどうしてもとっつきにくい場合は、新作落語と呼ばれる現代の話を落語にしたものでもよい。

新作落語はより柔軟で幅が広いので、ちょっと芸人によって、かなりぶっ飛んだ話も時折あるものの、合わないものはすぐにスキップして、好みに合う芸人やネタを選べば良いと思う。

そうして耳で慣れたら、ぜひ生の落語を観に行くこと(寄席やらホール落語)を検討してほしい。動画視聴を挟んでも良いが、一度、落語を聴くしか他にやることのない場所に行ったら、動画の比ではなく色々と味わうことができる。

落語の副次効果

基本的にはエンタメなので、楽しんで終わりで問題ないのだが、落語にハマっていくとともに落語ならではの副次効果もあると思う。

それが落語をおすすめする理由でもあるのだが自ら生きているこの現世と落語の世界を並べることにより、俯瞰的かつ冷静な視点ができる。

あるべき論や正義に振り回される現代の世の中の真っ只中に居れば、その一員の私やあなたは一緒になって右往左往して一喜一憂する。

でも江戸時代の落語の世界(もちろん現実よりデフォルメはある)を観客として眺めた後に、ふと我々の今の世界も同じと気付いたりする。ましてや、新作落語では今の一部を切り取る。

観客の立場で俯瞰で見れば、我々の日常ですら笑い話(喜劇)だったり、少し笑える悲劇だ。

その視点があれば、自分が所属する社会(会社、学校、コミュニティ等)の息苦しさにも、少しは笑えるようになるものかもしれない。

私にとっては、落語の世界観は「自分の四角い生真面目で歪んだ認知」を緩めてくれる救いや癒やしでもあった。どんな嫌な奴も惨めなことも笑えるし愛せるし、そう見えた方が楽しいよと話しかけられた気がしている。

おすすめの落語家

大袈裟かもしれないが、これから落語に出会う皆さんにもそんな良いことが起きればいいなと思う。

最後に個人的おすすめ落語家を少しだけご紹介

☑️春風亭一之輔:最初に出会うなら笑いも多く入りやすい。笑点抜擢で益々チケットが…。
☑️古今亭菊之丞:落語の世界にさっと引き込む声の素敵な師匠。女将さん、若旦那が見える。
☑️瀧川鯉昇:静かに始まるマクラは、独特で笑えるので聴いてほしい。本編も聴きやすい。
☑️立川志の輔:試してガッテンの人としてしか知らないのは損だ。新作落語が最高に面白い。
☑️柳家喬太郎:新作落語の深い沼に引き込んでくれる師匠。ちょっと好き嫌いはあるかも。

落語初心者におすすめの落語家(2023年現在)

長文をお読みいただきありがとうございます。

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