追憶にたたずむ少年
深山のようなもったいぶった静けさのなか
懇々と雪がふるこの胸の
はるか奥にあるくすみを隠すように
そうっと瞳を閉じて
痛み
感傷
肌に馴染むことばを指折り探せば
西空にもたれかかって暮れてゆく秋の陽
空が青と赤のあいだで揺れている
吐息はその半分だけが白くなって
ジャックパーセルのつま先に冷気が溜まってゆく
(もう夕暮れ)
輪郭のほとんどが暗闇に溶けた後に
無灯火で細い道を下ってゆくのは危ない
プロパンを引いた角の家から夕食の香りがして
にわかに家路を急がせる
果たしてひと呼吸の間に家まで帰られるだろうか
星が落ちたように光が減衰して
俄に立つ孤独に冷気は寄り添う
太陽と月が出会うようなその瞬間に
いつかの少年は情感と出会う
I appreciate your brilliant photo,Pexels
https://pixabay.com/ja/users/pexels-2286921/
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?