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高砂淳二『夜の虹の向こうへ』②自然に話しかける
カイポさんに、ハワイの智恵で一番大事なものは何か?と質問した。
「CREATION。いろんな違いを受け入れて、そこから新しいものを創り出すこと。そして創り出そうとする気持ちが一番大事なんだよ」
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ハワイには、いろいろな人々がやってきて、時には支配されたりした。しかし、彼らはそれを受け入れようと頑張り、そこから共に新しいものを創造することが大切だと捉えて生きてきた。
アロハの精神。違いに渡す虹の架け橋が、“虹の州”の異名を持つハワイの本当の叡智だという。助け合うには、まず違いを受け入れて、それを越えなければいけない。
それを実行するのは難しい。
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ネイティブアメリカンの物語「虹の戦士」。
白人がやってきて、先祖代々から愛してきた大切な土地を奪い、父や祖父にひどい仕打ちをしたことに、ある少年が怒り「神様はどうしてこんなことを許すの?」とひいお婆ちゃんに問う。
お婆ちゃんは答えず、ひ孫に大人になるための修行を課す。
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やがて、たくましくなったひ孫にお婆ちゃんは答える。
「白人は神の思し召しで、他の人種のことを学ぶためにやってきた。白人が快楽に溺れ大切なものを顧みなくなったとき、スピリットのある暮らしが素晴らしいと知ることになり、今度は私達が白人にそれを教えるようになる。これからはお前が、人種や宗教の間に愛と理解を広げる“虹の戦士”になりなさい」
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モロカイ島のフラのリーダーの話。
「虹の7色は、人間の肌の色の違いを表している。虹の各色がハーモニーを作って美しいアーチを生み出す姿は、われわれが仲良く生きていく姿の象徴なんだよ」
虹の架け橋は、肌の色、宗教、同性愛とストレートの違いに橋を渡し、尊重し合って生きていく象徴だという。
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ハバスパイ族のウクアラさんは、僕らをセドナの聖なる山に連れて行った。頂上に立つと、太鼓を叩きながら大地に語りかけ始めた。儀式が終ると「タバコか何かお供えして、悩みごとを大地に語りかけなさい。弱い面をさらけだして語りかけていいんだよ」と教えてくれた。
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ホピ族のロアンナさんは、鳥をWinged people、岩をRock peopleと呼んだ。母なる大地に暮らす兄弟姉妹というニュアンスを感じた。食事のたびに自分の食べ物の一部を小皿に残し、毎食後、それを持って外へ出て、大地に捧げていた。畑に水道を引かず、スピリットにお願いして、雨を降らせてもらっている。
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クリー族のデイヴィッドさんは、水蒸気を充満させた真っ暗なテントの中で、音が飛び回る儀式を体験させてくれた。外へ出ると零下20℃の満天の星空にオーロラ。彼らが太鼓を叩きながら夜空に向かって歌い踊ると、オーロラは大きく広がり、カーテンのように揺らぎ始めた。オーロラは先祖の現れだという。
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ハワイアンのカイポさんは、ヘイアウに行くとき、そのヘイアウの神様に合ったお供え物を作り、ティーリーフで丁寧に包んで持っていき、愛しい人に話しかけるように神への感謝や愛情を伝える。テレビ番組のロケで雨を降らせるように祈ったら雨が降ってきたそうだが、「謙虚にお願いするだけ」とのこと。
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僕がカメラマンになったばかりのころは、よくロケで雨が降った。ある時から雲の動きや風の強弱、移り変わる色の変化を観察するようにしたら、自然は少しずつ僕の心に浸透してきた。そして自然に話しかけながら撮影するようになると、それに並行して自然はさらに美しい表情を見せてくれるようになった。
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カイポさんは言う。
「ホオポノポノは毎日の生き方。自分がポノ(正しい状態)であるように生きること。人間は弱く、間違いを犯すし、人を傷つける。そんな時、天に心から赦しを請い、二度としないと誓って悔い改める必要がある。同様に他の人の間違いも赦すことが大事」
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「自分では気づかなくても、人を傷つけたり、自然を痛めつけたりしている。いつも謙虚に天にお願いして、赦しを請い、まっさらな気持ちで今を迎える。自分を赦すことで、周りも赦せるようになり、健康の維持にも繋がる。それを毎日続けると、天からのパワーが流れ出し、魂をピュアに強く鋭くする」
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ハレアカ・イオラニ・プレさんは雲を指差す。「あの雲の形や場所、飛んでいく鳥など、周りのものは自分の鏡で、自分を映し出している。私は朝起きるとまずスピリットに語りかける。信頼してコミュニケーションを取ることで、存在が感じられるようになり、絆が深まって、人生への恐怖がなくなってくる」
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『Tales from the Night Rainbow』が伝える光のボウルの話
「どの子も光で満たされたボウルを持って生まれる。その気になれば光は輝きを増し、何でも理解できるようになる。ただ、嫉妬や怒りを持つと、石ころをボウルに入れることになり、光は消え、その子は石ころになる。それが嫌になったら、いつでもボウルをひっくり返せば、また光を輝かせることができる」
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カイポさんは、ある家に悪いことが続いているので、ブレッシングを頼まれた。家中を見て回ったが悪霊はいない。彼は、心の持ち方が生活環境に影響を与えることを話し、みんなで手を繋いで輪になり、天に感謝とアロハを伝えた。すると彼の脳裏に虹が現れて、天の働きがあったことを示してくれたという。
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アカさんは3枚のマナカードを引かせてくれた。
①fool:子供のように無邪気にインスピレーションで動くように
②shaman:日本の伝統や宗教的な何かを大切に
③apprentice of feather:ゲートは開かれた。嵐も来るが、軸を持って始める時
体験を分かち合う時なのか……
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改めて、海の中からハワイを見たいと思った。
12月はじめ、ハワイ島のコナ沖で海に浮かんでいると、クジラたちがボートを取り囲むように集まってきた。海が微笑みかけてきた気がした。
帰り際に出合ったイルカの大群。白いイルカが近寄って来る。浮かんでいたヤシの実を放ると、口先で押して運んできた。
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カウアイ島のコンドミニアムのベランダに出ると、正面の海でクジラがジャンプした。
丸い虹を撮影するため、ヘリコプターを30分、チャーターする。ワイアレアレに入ると、雨が吹き込んできた。急にあたりがパーッと明るくなり、外に目を凝らすと、眼下には大きな、ダブルの、完璧な丸い虹が現れていた!
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その日の午後遅く、カウアイ島の西側にある渓谷に行った。
トレイルを歩き始めると、渓谷全体を霧が被いだし、いろいろな形に姿を変えた後、霧をスクリーンに白い虹が現れた。
真っ暗になるのを待ち、再び渓谷を撮影していると、優しい雨が降り注ぐ。
雨が止み、雲が動き始めると、渓谷の下方にナイトレインボー。
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その翌々年、ホオポノポノとコラボしたハワイの自然写真集を準備しているとき、東日本を大津波が襲った。
両親は無事だったものの、石巻の実家は全壊し、生まれ育った思い出の場所は廃墟と化した。
やがて世界中からの応援が届き、震災の陰で、人間はひとつになり、大事なことを思い出したのだと気づいた。
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高砂淳二『夜の虹の向こうへ』を語る
https://www.youtube.com/watch?v=IjRl0jP81n0
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