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KIPCHOGE「THE LAST MILESTONE」を観賞

リドリー・スコットが監督を務めたエリウド・キプチョゲのINEOS 1:59(マラソンサブ2へのチャンレンジ)の様子を収録したドキュメンタリー映画、KIPCHOGE「THE LAST MILESTONE」が2021年の夏から公開された。

世界ではこの映画がオンライン配信やDVD販売など展開が進んでいるが、日本での配信に関しては現時点で公式アナウンスがされていない。

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そこで、英国に住む知人にDVDを送ってもらって日本で観賞してみた。

80分程度のドキュメンタリーで、前半はケニアでの普段の練習の様子、キプチョゲやコーチ、トレーナー、トレーニングパートナーなどのインタビュー。ケニアのトレーニングキャンプでの生活と練習中の映像が中心となって構成されている。

彼の普段の練習や生活、食事やマインド、哲学などはあらゆる記事や、NNランニングチームのYouTubeでの動画配信でも紹介されているので、それらをチェックしている人であればこの映画を観て真新しく感じることはそこまで多くないかもしれない。

しかし、それらを実際の映像でまとめてみることによって「点と点が線となり」さらに理解が深まるし、何より映画はランニングに興味がない人も見る可能性があるので、より多くの人の記憶に残る可能性もあるだろう。

ケニアの高地に住むエリート長距離選手の生活。

「睡眠、トレーニング、食事、仲間との談笑、昼寝、読書、トレーニング、入浴、食事、睡眠」

といたってシンプル。そして、トレーニングパートナーとの関係性。特にキプチョゲのメンターであるコーチのパトリック・サングとの関係性は20年来のものであり、映画の中でそれが理解できることに大きな意味がある。また、トレーナーや理学療法士、トレーニングパートナーからみたキプチョゲ、という視点も興味深い。

普段の練習やINEOS 1:59でのサブ2に至るまで、彼が周りの人間たちからどう思われているかを知れるのはこの映画ならではの見所かもしれない。

後半は非公認大会でのサブ2チャレンジの内容に迫った映像。実際のINEOS 1:59チャレンジの当日にはキプチョゲやペーサーを正面から捉えた映像が配信されたが、この映画では他アングルからの映像が散りばめられている。

例えば、観客席からの見え方、ペーサーや自転車で並走するマネージャーからの見え方など。INEOS 1:59は長い直線の折り返しコースで行われたが、折り返しの時のコーナリングを自転車で並走するマネージャーからの視点で撮影された映像はとても臨場感があり見応えがあった。

マラソン大会の映像で定番となっている正面からの映像ではスピード感をイメージさせるのは簡単でないかもしれないが、バイクから選手に並走するような映像はとても臨場感がある。

この映画を観てキプチョゲの斜め後ろからのアングルや、観客席からの斜め/真横からのアングルからの映像からサブ2ペースのスピード感をイメージすることができた。

また、INEOS 1:59チャレンジはマラソン大会と同じように企画・運営する人たちがいる。キプチョゲだけでなくペーサーも含めてINEOS 1:59チャレンジを支えた人たちにもスポットが当たっているシーンもあり、このイベントに尽力した人々の様子を見ることができる(ペーサーとして日本からは村山紘太が参加した)

ペーサーやキプチョゲ、マネージャーとの打ち合わせ、INEOSのプロの自転車チームで培われたノウハウを基に考えられたペーサーのフォーメーションなど、事前準備のシーンもこの映画の見所の1つである。

この映画を観て、非公認大会とはいえこのプロジェクトの壮大さと、キプチョゲという選手の偉大さを再確認できた。

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