各メーカーのカーボンシューズ計39足の比較(2022年新作23足+2023年新作:14足)
前回は“2021年秋までのカーボンシューズ32足の比較”を書いたが、今回の記事は2023年最新版で2022年以降に発売されたシューズを中心に紹介する。
【更新履歴】
※ 2/22:飞电3 ELITE / 飞电3 CHALLENGERを追加し24 → 26足に
※ 3/2:UA Flow Velociti Elite / Deviate Nitro Elite 2を追加し26 → 28足に
※ 3/10:ROCKET X 2を追加し28 → 29足に
※ 3/22:ZOOM X VAPORFLY NEXT% 3を追加し29 → 30足に
※ 4/3:Endorphin Elite / 飞影PB 3.0を追加し30 → 32足に
※ 4/9:FuelCell SC Elite v3を追加し32 → 33足に
※ 4/18:飚速2 Pro / 芷境1.0を追加し33 → 35足に
※ 5/6:Fast-FWD Nitro Eliteを追加し35 → 36足に
※ 9/9:飞影Plaid / Cloudboom Echo 3 / Adizero Boston 12を追加し36 → 39足に
今回掲載のカーボンシューズ一覧
太字は2022-2023年の新作シューズ。★ 新規掲載
ZoomX Vaporfly Next% 2(NIKE)
ZoomX Vaporfly Next% 3(NIKE)★
Air Zoom Alphafly Next% 2(NIKE)
METASPEED SKY+(ASICS)
METASPEED EDGE+(ASICS)
Adizero Adios Pro 3(ADIDAS)
Adizero Takumi Sen 9(ADIDAS)※ グラスファイバーロッド
Adizero Boston 12(ADIDAS)※ グラスファイバーロッド ★
Cloudboom Echo 3(On)★
Fast-R Nitro Elite(PUMA)
Deviate Nitro Elite(PUMA)
Deviate Nitro Elite 2(PUMA)★
Deviate Nitro 2(PUMA)
Fast-FWD Nitro Elite(PUMA)★
UA Flow Velociti Elite(Under Armour)★
WAVE REBELLION PRO(MIZUNO)※ カーボン配合ナイロンプレート
Endorphin Pro 3(SAUCONY)
Endorphin Elite(SAUCONY)★
UP30 ELITE(匹克 / PEAK)
飞电2.0 ELITE 䨻丝(李宁 / LI-NING)
飞电3 ELITE(李宁 / LI-NING)★
飞电3 ULTRA(李宁 / LI-NING)
飞电3 CHALLENGER(李宁 / LI-NING)★
飞影PB 2.0(乔丹 / Qiaodan)
飞影PB 3.0(乔丹 / Qiaodan)★
飞影Plaid(乔丹 / Qiaodan)★
飞飚(361° / 361 Degrees)
飞燃2(361° / 361 Degrees)
飞燃ET(361° / 361 Degrees)
飚速2 Pro(361° / 361 Degrees)★
芷境1.0(鸿星尔克 / Erke)★
160X 3.0(特歩 / Xtep)
160X 3.0 PRO(特歩 / Xtep)
KD900X(KIPRUN)
Carbon X 3(HOKA)
ROCKET X 2(HOKA)★
SAFERUN 200X(YONEX)
FuelCell SC Pacer(New Balance)
FuelCell SC Elite v3(New Balance)
2023年の新作シューズも加えつつ、今回は中国ブランドの2022、2023年新作15足もピックアップ。
シューズ評価要素の10項目について
客観的評価に基づく項目
反発性(弾性)軽量性(重量)クッション性(硬度)コスパ(販売価格+α
反発性:ミッドソールのフォームの反発性能。フォームが地面反力を吸収して鉛直方向に跳ね返す力(バネを想像してください)。押しつぶす厚み(幅)が大きいほどフォームのリバウンドが増すので、フォームの反発性能×厚みというところ。ヴェイパー4%とネクスト%を比べるとよくわかる。
軽量性:ランニングエコノミーに関係する部分で、一般的に軽いシューズほどランニングエコノミーが高い。実際の重量と走った感触の重量に差を感じるシューズもあるが軽いシューズはケイデンス(ピッチ)を出しやすい。
クッション性:硬度などクッションの性能を評価する指標はいくつかある。日本では不整地ではなく日常的に硬い路面(ロード)で走ることが大半であるため、ハイクッションシューズの需要が大きい。比較的、剛性が高いカーボンシューズには超臨界PEBAなどの最新ミッドソールが採用されているが、その素材や成形方法によってクッションストロークの長さなどに差がある。
コスパ:費用対効果。単に販売価格の安さを指すのではなく、支払った金額でどれぐらいの価値を得ることができるか。例えば、18,000円と28,000円の2つのシューズから得られる価値がほぼ同じであると仮定するなら、前者の方がコスパが良いことになる。パフォーマンス点の指標だけでなく、長く持つという意味では耐久性、広く使えるという意味では汎用性とも関連する。
主観的評価に基づく項目
ランナーの走法や足の特徴などによって人それぞれにシューズの感じ方、感想が微妙に違う(再現性が高くない)のが以下の6項目。
推進力:シューズの構造(厚底の高反発フォーム×縦方向の曲げ剛性が高いカーボンプレートの形状・剛性×ドロップ差を用いたロッカー性能など)でもたらされる前方方向への推進力(いわゆる助力感)。感覚的には少ない出力でスーッと体を前方に移動させる力。ランニングエコノミーだけでなくストライド長の向上にも貢献。ランナーの走法で感じ方に少し差が出る項目。
汎用性:例えば、ペガサスターボのように「どのレベル・走法の人も広く履きこなせるオールラウンドシューズ」を汎用性が高いと表現することができる。それに加えて「どのような速度帯でも履きやすい」という意味も+αで。
耐久性:アウトソール、ミッドソール、アッパーの耐久性。アウトソールの耐久性が低いと削れた部分からミッドソールが消耗していく。アッパーの耐久性が低いと、スパイクのように破れた状態で履くこととなってしまう。ミッドソールの耐久性が低いと、消しゴムのように摩耗してしまって削れる。アウトソールやミッドソールの減り方はランナーの走法に影響を受ける。
柔軟+安定性:走行中の足関節の捻れ、ロードレースの折り返しやトラックのコーナーでの斜め / 横の動きに対して、フレキシブル(柔軟)に軌道を安定させられるか(グラつかせないか)。例えば、初代アディオスプロは柔軟+安定性が低くコーナーで曲がりにくいシューズ(過度の捻れに弱く足底のダメージが大きかった)。そして、アディオスプロ2でその点が改善された。
フィット感:ラストの足長、足幅、足囲、アッパー素材の肌触り、伸縮性、ホールド感、ヒールカウンターやその他補強部分などを総合評価した数値。ハイブリッド素材のアッパーなど高品質のアッパーを概ね高評価している。
グリップ+通気性:カーボンシューズの多くがロッカー性能を備えていることを考えると、スパイクのように高グリップでトラクション(地面を掴むことで生み出される推進力)を高めるような構造ではない。雨の路面で滑らないグリップ性能が備わっている程度でOK。また、最近はアッパー織り機の技術向上で高い耐久性と通気性を両立するアッパーが増えている。
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