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アディダス・アディゼロプロのインプレッションと、今の私の練習にフィットする理由。

7月に私がFacebookに投稿した内容が以下である。

【昨日の練習】
・3×3000s at easy CV effort, R2'10, 3'30
Results:10:15, 10:17, 10:00(3:20/km)

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7/23発売のadidas adizero proの新色を履いて本来テンポ走で行うワークアウトを分割して、クルーズインターバル走として行っています(夏は暑いので工夫が必要)

adios proとのダブルリリースで話題になりましたが、こちらの製品はしばらく前から開発されていた中厚底のカーボンシューズ。今のトレンドのロッカー系のシューズではないですが、速めのジョグ、ロングラン、インターバル走、10km〜マラソンまで幅広く使える汎用性の高い1足だと思います。

鯉のウロコようなアッパーのデザインですが、アディダスが昨年のモデルからアップデートした"セラーメッシュ"のメッシュ素材は、軽量かつフィット感とホールド感のバランスが良いですね。

フィット感とホールド感どちらかが優れている商品も多いですが、どちらも両立するバランスをとるのも難しいものです。

カーボンプレート入りのシューズということで、他メーカーの新シューズと同じく、シューズの構造や走りごごちが注目されると思います。

よく「カーボンプレートが反発をうむ」という声をきくのですが、カーボンはあくまで接地時の安定感(スタビリティ)を保つための補助の認識で、ミッドソールのマテリアルとカーボンの組み合わせによって、前方への推進力に変えていると認識しています。

このカーボンプレートを挟む、という構造からは「足首の屈曲の適切なポジション」を得られるのかな、と思います。ただ、その感覚を掴むのは難しいです。

皆さんは、タイムの伸びや走る感覚でカーボンがどうたらと言うのかもしれませんが、バイオメカニクス(生体力学)の視点では、ロッカー系のシューズやこのカーボンシューズによって(こちらはロッカー系ではない従来のレーシングフラットに近い中厚底)、足首の屈曲の角度に若干の変化が見られます。

その結果何が変わるかというと、疲労する部分に差が出てきます。

具体的にいうと私の場合は、下腿三頭筋(ふくらはぎ=ヒラメ筋、腓腹筋)の張りが少なくなり、臀部(中臀筋、大臀筋)の張りが増しますが、それ自体はプラスと捉えています。

ミッドソールに使用されている"ライトストライク"のフォームは、これからのアディダスランニングの新製品で核となっていくのではないかと思わせるフォームですが、まだ1回履いただけでは全容は掴めてません。

軽量で反発性があって着地時の安定感がある、ということですが、まだ、3×3000mという練習でしか履いてないので、今週末のロングラン(後半ファルトレクの20km程度)で履いてみたいと思います。

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その後ロングランやファルトレク、速めのジョグでも使用。

アディゼロプロの汎用性の高さとスタビリティ、心拍数の上昇についてのテスト

【8/14の練習】
HR Test run + Weight Training
・2km WU on road(ave.4:11/km)Max:155bpm
               ※ at 34℃(93°F)
【HR Test run】on Treadmill at Gym
・8' Moderate(2.0km, 15.0km/h)Max:143bpm
・3' Aerobic-P(1.0km, 19.5km/h)Max:171bpm
・4' Moderate(2.0km, 15.0km/h)168 → 149bpm
Total.4km(2k4:00/km → 1k3:05/km → 1k4:00/km)

【Weight Training】
・RDL: 3×6, 50kg
・Back Squat: 3×6, 70kg
・Back Lunge: L,R 3×6, 45kg

・2km CD on road(ave.5:02/km)

今回(8月14日)は高温下の外で走るときと、室内のトレッドミルで走るとき、トレッドミルの速さを3000mのレースペース(3:05/km)にした時などの心拍数の推移のテスト(ガーミンの心拍ベルトで測定)を1人で行った(その後にウェイトトレーニングも行った)

また、汎用性の高いアディゼロプロの走速度ごとの、気温ごとの環境を変えて実際の感覚にどう変化が出るかのテストも兼ねている。

アディゼロプロは、同時期に発売された厚底のアディオスプロの話題にかすんでしまった感があって(もともと2月発売だったのがコロナの影響で中国の工場が閉まってしまい出荷の準備ができなかった??)、あまり話題に挙がらないのかもしれないが、それでもかなり良いシューズだと感じている。

シューズにはそれぞれ、目的を果たす機能性があり、全てのシューズが同じ機能を持っているわけではない。ヴェイパーフライがシーンに登場してからというもの、カーボンプレート搭載のシューズが反発性を生む!と平面的に曲解されてきたが、そうではない。

アディゼロプロのカーボンプレートは、剛性の高いネクスト%のカーボンプレートとは違って柔らかいものを採用している(CARBITEX)。

その結果、カーボンプレートの本来の目的であるスタビリティ(安定性)を高めつつも、脚に馴染みやすくあらゆる走速度で走ることをサポートする1足であると感じている。

このことから、アディゼロプロは、スティフネスを高めてバネ機能を高め、結果的にパフォーマンスを高めるヴェイパーフライのようなシューズではない(それを果たすのがPebaxマテリアルのZoom Xと剛性の高いフルレングスの湾曲したカーボンプレートの組み合わせなのであるが)。

しかし、自分の実力以上の動きを比較的長い時間保つことのできるヴェイパーフライとは違って、ランナーの自力を高めるためのトレーニングシューズとしての位置づけとしてはアディダスプロはかなり重宝できると感じている。

実際、私は速めのジョグ、適度なペースのロングラン、ファルトレク、ロングインターバルなどでこのシューズを使用してきたが、どれもカバーできる優れものの1足であると思う。

難点は少し重さを感じることである。もしかしたらライトストライクのマテリアルはもう少し改善の余地があるかもしれない。これからアディダスのフォーム開発が従来のブーストフォームからどう変化していくかは注目である。

重さが少しあるということは、パフォーマンスを高めるシューズというよりかは、レジスタンストレーニングの観点からみても、自力を高めるシューズとしての機能に優れているように思う。


私を正しい方向性へ導くシューズ

オーバープロネーションである私の走法では横ブレに弱いシューズを履くと足底、すね、腸脛靭帯が張りやすいが、このシューズの柔らかいカーボンプレートのおかげでそういった課題も解決できると感じている。

アッパーのセラーメッシュは軽量性、通気性、フィット感、ホールド感のバランスに優れ、このようなアッパーはネクスト%のヴェイパーウィーブのアッパーの感覚に近い(李寧のFei Dianのアッパーもそれぐらい良い)。

そしてこのアディゼロプロの良さは、そのライド感にあり、どちらかというとヴェイパーフライやメタレーサー、エンドルフィンプロといった高ドロップのロッカー系のシューズではない、従来のレーシングフラットに近いシューズであるが(Adios5の延長線上にある)、その操縦性の高さが練習内容を問わない汎用性の高さに繋がっていると感じている。

また、シューズの耐久性も高く、汎用性の高さも含めてトレーニング用のシューズとしては最適である。値段は定価で税込24,200円するが、耐久性が高く長く使えることや汎用性が高いことを考えるとそこまで高くないと感じる(むしろ中長距離の基礎練習の多くを長期間カバーできる1足にお金をかけるべきである=基礎構築に1番、時間とお金をかけるべきである)。

※とはいえ、私は1,900円のワークマンのシューズも愛用しているが...(良いシューズとの使い分けが重要)

以上がこのシューズに関する私のインプレッションであるが、シューズにはそれぞれの機能性があるので、すべてのカーボン搭載シューズをヴェイパーフライと比べるのはお門違いかもしれないし、全くの同じものを作っても意味がないというのもアシックスを見ていればわかる(アシックスはライド系と従来のレーシングフラットのミックス系)。

それぞれのシューズにはそれぞれの良さや目的があり、ランナー各々がそれに気づければトレーニングの幅やシューズ選択の幅が広がる。

アディゼロプロの良さは色々あるが、実はライド感、レーシングフラットに近い接地感があり操縦性が高いにもかかわらず、乗り味が非常によい。これは、カーボンプレートの柔らかさと、インソールの分厚さからきているものだと思われる。

これこそがこれまでのアディダスのシューズに見られなかった部分であり、純粋な走ることの楽しさを感じさせてくれる1足だと感じている。

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(3.5mmぐらいある分厚い固定式のインソール)

インソールはフワフワしているのだが、実はそれが心地よいし、そのようなシューズは他にそこまで多くない。そのようなことからロングランでも乗り味の良さを感じることができるが、かといってマラソンのパフォーマンスを最大化できるシューズでもないことを加えておく。

アシックスのノヴァブラストやグライドライドなども、走ることを楽しくさせてくれるような感覚を得ることができる。このように、それぞれの目的に合ったシューズを見つけると、走る楽しみがまた増える。

今の私はミニマリストシューズ(低ドロップのベアフット系シューズ)をガンガン履いて脚を鍛えていくような学生時代のスタイルではない。

しかし、加齢に伴って路面の選択やシューズの履きわけでトレーニング刺激を分散することによって筋腱の強化と故障の予防とには非常に重要であると感じている一方で、ランニングを楽しく長く続けるためにシューズのバリエーションで気分転換することも大切だと思っている。

今のトレーニングのスタイルは基礎構築とその後の段階なのでじっくりと時間をかけていて、低・中強度の練習がメインなので、このような汎用性の高いシューズは重宝できるし、シューズが途中で履き替えられないファルトレクのような走速度が多彩な練習ではかなり重宝できると感じている。

そして、そのファルトレクこそは私の今の練習の要となっている。このファルトレクは今後、高強度練習を増やしていってもコンスタントに消化したい練習である(ボリュームも強度も負荷も自由に変化させやすいし、そもそもタイムに縛られずに走る感覚を最大限磨ける、基礎的な練習であると感じている)。


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