見出し画像

むにゅ!プチッ!と弾けて、クセになる食感の【低温調理イカ飯】

全国区の知名度を誇る北海道・森(や渡島地方)の郷土料理【イカ飯】。イカの胴にもち米を詰めて、醤油で甘辛く炊いたユニークな料理ですね。どうやら大正時代頃から食されていたそうで、北海道の料理としては伝統がある郷土料理です。

本来であればスルメイカを使用する郷土料理ですが、今回は鳥取産の白イカ(ケンサキイカ)で作ってみました。しかも白イカの新イカ(子どものイカ)で、さらに低温調理を施して。ユニークな郷土料理だからこそユニークにアレンジで応えたい!と思って作りましたが、これが予想以上のヒット作になりました。調理は楽々なので、オススメです。ご飯にも、酒肴にもなりますよー

ちょっと変な表現になりますが、低温調理で作った【イカ飯】は非常に「真心を感じる食感」になります。

画像1

イカのタンパク質組成と適切な設定温度について

調査したところ、一般的なイカのタンパク質組成は筋原繊維タンパク質77〜85%、筋形質繊維タンパク質12〜20%、肉基質繊維タンパク質2〜3%と、圧倒的に筋原繊維タンパク質が多いようです。
出典:下村道子、橋本慶子編『調理科学講座 動物性食品』、朝倉書店、1993

よって、通常ならば50℃で細胞間の結合が緩み、次第に硬くなるのですが、イカは他の魚介類とは異なり64℃が最適だと思われます。
出典:Thomas Keller, "Under Pressure: Cooking Sous Vide", Artisan, 2008

Thomas Kellerは"Per Se"を始めとする三ツ星レストランのオーナーで、"Under Pressure: Cooking Sous Vide"は低温調理のバイブルの一つとされる名著。ここは疑うこと無く従いましたが、小さな新イカでもバッチリ決まりました。詳しい感想は後ほど!

画像2

【白イカの低温調理イカ飯】についての詳細

【低温調理機の設定と使用する調味料】
設定温度:64℃
設定時間:25分
調味料:酒(煮切ったもの)大さじ1、醤油大さじ1、味醂大さじ1、ゴマ
砂糖を用いないのでサッパリ目の味付けです。

【調理の手順】
1. イカのワタとゲソを取り出し、軟骨を抜く
2. 炊飯器で炊いたもち米にゴマを混ぜる
3. 2をイカの胴に詰めて、爪ようじで閉じる
4. 3と調味料を真空パックに
5. 低温調理開始
6. 調理が終わったら30分以上漬けて味を馴染ませたら、完成

【注記】
1.
※胴に指を入れて探りながら外します
※ワタとゲソは別の料理に使いましょう(美味しい一例を後述します)
3.
※胴の奥までみっちりと詰め込んで問題ありません
※爪ようじ付きでパウチするのは少し不安ですが、何とかなります
6.
※可能であれば1時間以上置いた方が美味しいです

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

実食!【白イカの低温調理イカ飯】

新イカで一般的なイカの設定温度と設定時間で実行するのは少し勇気が必要でした。しかし、新イカらしい柔らかさを残しつつ、火入れによって独特のむっちり感を生み出しています!柔らかく、むちむち。イカはじっくり煮込んでしまうと硬くなり魅力を失うので、これは良い。

【イカ飯】は既存の調理法でも作れる料理ですが、【低温調理ならではなイカ飯】が楽しめるので、低温調理を行う必然性があると感じました。クラシカルな調理とは違った魅力があります。

おまけ:オススメおつまみ・イカのいしり炒め

副産物のイカのゲソとワタについては、イカの魚醤である「いしり」を用いて炒め物にすると美味しいです!

画像8

取り出したワタとゲソの他に、椎茸と生姜を使います。

画像9

そして、「いしり」ですね。

画像10

発酵調味料の「いしり」を用いることで強い旨味が付加され、ワタの風味との相性も抜群です。イカ飯と一緒に頂くと、幸せが倍増します。同一食材の別調理を同時に頂くのは楽しいですよね。

「いしり」についてのブログ記事もございます。ご参考までに!

低温調理に関心のある方は、【低温調理器についてのブログ記事】をご参照ください。

#フード #グルメ #料理 #白イカ #イカ飯 #レシピ #低温調理 #BONIQ

ご支援頂いた分は取材や執筆活動に投資します。より良い情報提供を目指します!