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【weekly post】2021年9月建設・不動産領域Pre-Seed~SeriesA資金調達in欧州

先週の米国に引き続き今回は欧州をやっていこうと思います。

最近建設領域といいながらも不動産領域が多くて、罪悪感もありタイトルに"不動産"という言葉も入れたのですが、今回はしっかり建設領域中心なのでぜひ、建設にしか興味ないという方も見ていっていただければと思います。

また、何回か前のweeklyで欧州は「建設×環境」の領域が多い気がするという話を書きました。今月も建設資材系で環境配慮系があったのですが、ちょっと今回は"The建設"って気分だったので、欧州感弱めになります。

3日週:建設・不動産領域9月の調達@ 米国
10日週:建設・不動産領域9月の調達@ 欧州(←今回)
17日週:<New>教育領域@米国
24日週:Brick&Mortal Ventures,Building Ventures投資実行案件チェック

再掲になりますが、上記が今月のweekly postの予定になります。

すでに1本目の米国については公開済みですのでよろしければこちらからご覧ください

あと、宣伝になってしまうのですが、現在meetyで資金調達や事業に関するディスカッション、雑談したい方を募集しております。

30分のMTGになりますが、本当にどんな内容でもOKです!(建設領域に関するディスカッションでも他領域でも、阪神の自力優勝が消えた件でも)

ご興味ある方はMeetyまたはTwitterDMよりご連絡ください!

興味あるけどメッセージ送るのハードル高いなという方は下記のTweetをfav頂ければ、僕からDMお送りしますのでfavいただければと思います。

それでは、9月の欧州建設領域の調達を見ていきましょう!

いつも通りそれなりのボリュームになると思うので、お好きなところに下記より飛んでいただければと思います。

9月のサマリー

今回のweeklyの対象になる企業は下記の通りで、該当する企業の数は17社でした

■対象企業

所在地:フランス、エストニア、UK、ドイツ、スイス、スペイン、ルクセンブルク

対象領域:建設・不動産領域

企業ステージ:プレシード~シリーズA

ファイナンス時期:2021年9月1日~9月30日まで

資金調達まとめトップ画

毎月、資金調達額が突出した企業が1-2社あるのですが、今月は大きなばらつきがなく、公開されてるもので対象企業17社中最も高かったのが€1,200万(≒$1,392万)でした。

サービスとしてはオフィスビルのテナント向けのフォローアップやコミュニティー活性化を行うappを提供している企業です(witco)

資金調達まとめトップ画

今回は冒頭でも記載した通り、建機、建材のような建設現場に絡むようなスタートアップも調達をしており、建機もリースだけでなく機械そのものを開発している企業もありました。

建設関連ソフトについても施工管理などは毎月何某かあるんですが、今回は建設の計画に関連するようなところの企業もあったので、そういったちょっと珍しいものを中心に4社ほど取り上げてみようと思います。

①【借主審査と家賃保証】Homeppl(seed)

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設立:2017年

所在地:UK

今回調達金額:$1.36M(Pre-valu:$11.83M)

調達総額:$7M

リード投資家:Venionaire Capital、ParticleX

サービス内容等

今回取り上げる唯一の不動産系サービスです。Fraud Techという言葉を初めて聞いたんですが(Fraud領域は弊社のILでいくつか投資先があった気がしますが....)サービスとしては不動産貸主向けのテナントチェックと家賃保証に関するサービスを提供しています。

審査アルゴリズムに強みを持っており、しっかり危険なテナントを弾くのもそうですが、弾く必要がないテナントをしっかり拾うところにも強みを持ち、承認率は、他と比べ25%高いとのことでした。

家賃保証のサービスについては、借主・貸主の両方にサービスを提供しており、借主には家賃保証人のサービスを、貸主には家賃保険のサービスを提供しています。

簡単に調べただけなので、あれですが、イギリスの場合賃貸契約の際に様々なリファレンス(銀行の推薦状、会社の上司の推薦状、以前の家主からの推薦状などなど)を取るようです。が、これが取れなかったりするとまとまった家賃を先に払わないといけなくなるようで、このサービスで保証人の契約をするとその前払い家賃を節約できるようでした。(だいたい£1,100(≒$1,500)程度の節約になるらしい)

②【建機リースと車両ステータス管理ソフト】Flexcavo(seed)

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設立:2020年

所在地:ドイツ

今回調達金額:$5.8M

調達総額:$8M

リード投資家:VR Ventures、Redstone

サービス内容等

大規模な建設プロジェクトを行う工事会社をターゲットとしており、通常の建機リースに加えて、リースを受けた建機の車両管理ができるソフトウェアがついたサービスになります。

車両管理機能については、故障の管理はもちろんですが稼働時間などもトラックでき、プロジェクト管理などとの連携を行うことで、作業の変更・調整なども併せて行うことができます。

貸し出される建機については、様々なメーカーと提携し提供されており、そのまま購入することも可能です。

このサービは欧州っぽさもあるサービスで、リースをした建機の利用状況からCO2排出量を推計し、サービス側でコストを負担しオフセットを行ってくれます。

③【現場内資材物流-インテリジェントロボットホイスト】KEWAZO(SeriesA)

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設立:2016年

所在地:ドイツ

今回調達金額:$5M

調達総額:$9.1M

リード投資家:True Ventures

サービス内容等

ホイストというのは荷物を持ち上げる際に用いられる装置のことです(建設領域の方が読んでくださってることが多い気がするので用語の説明は不要な気がしますが念の為...)

現在は、足場にフォーカスし足場資材を運ぶ際のホイストを作っています。インテリジェントってどういうことなんだと思ったんですが、どうやら、自律制御になってるようで、資材を積み込んだり荷下ろしをすると自動的にそれを検知して元の場所に戻るようになっており、作業員の人はホイスト操作をせずに作業に入ることができます。

このほかにも、設置時間が20分で済み、スペースも最小限であること、人件費を20~44%程度削減できること(28以上のプロジェクトで検証)、などのメリットが挙げられていました。

サービス自体とは関係ないのですが、面白いデータだなと思ったのは、ドイツの数値ですが、

・足場に関係するコストに占める人件費の割合:73%

・足場に関する作業のうちの手作業比率:80%

・足場組み立てにかかる時間のに占める輸送時間の割合:80%

・ドイツにける年間の足場関連事故件数:6,000件

これを見ると"なるほどな"と思わされる製品でした


④【AR×BIMによる情報共有と現場管理】GAMMA AR(seed)

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設立:2019年

所在地:ルクセンブルク

今回調達金額:$1.16M

調達総額:$1.16M

リード投資家:Husqvarna(事業会社)

サービス内容等

BIMで製作されたデータをスマホを通してAR表示し、施工前に内容を現場で確認できるスマホappとwebサービスになります。

BIMデータのAR表示だけでなくスマホを通して現場作業の進捗状況の確認も行えるようになっています。

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現場ではスマホを使いオフィスではPCからタスクの振り分けを行うという形で使われることを想定しています。

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価格は、12ヶ月分まとめて購入した場合で$46/月となっています。

編集後記

さて今回は欧州の建設領域を見ていきました

個人的にすごく好きなのは③のKEWAZOでした。個人的に初期から大きな投資が必要になるけれど、狙えるマーケットも大きいと言った感じの事業は好きで、よくモジュール建設は取り上げていますが、建設機械領域や現場の自動化につながるようなものは割と好きです。(無闇に大きい金額集めればいいとは思ってません。ソフトウェアに比べコストのかかるものでもやはり最初に改善インパクトが出るのかを最小限の投資で試すというステップを踏むのは大事だと思っています。)

建設機械や大きめのハードウェアを開発するスタートアップにとってはもしかすると参考になるかもしれないので、KEWAZOの調達を昔から遡ってみると調達金額の推移は下記のようになります。

2018年4月:€1.1M
2020年1月:€2.5M
2021年9月:€5.0M                    (€1≒$1.16)

初回ファイナンスを受けた2018年4月ごろのネット記事を見てみると、まだ足場用の資材を運ぶカゴはついていませんがホイストの部分はある程度形になっていた画像が見つかりました。

2020年のファイナンスの際には人員を追加しており、KEWAZOが参入する足場の業界にいたメンバーを1名、販売やサービスネットワークの構築を行うメンバー1名が目立った追加メンバーで、製品を市場に投入する直前といったようなタイミングだったのではないかと思います。

今回の2021年9月時点ではすでに40以上のパイロットプロジェクトを完了して、ドイツの土木系企業Bilfingerなど主要顧客にロボットが納入されている状態でした。また、このラウンドでは、ハードウェアだけでなく、実施に納入も進んでいるということで、データ分析を行い現場の効率化を目指すとのことでした。

なので、まとめると

2018年4月:€1.1M→プロトタイプ製作やチューニングのための資金
2020年1月:€2.5M→パイロットPJや販売に向けた基盤整備のための資金
2021年9月:€5.0M→現場でのデータ分析のための資金(新たな強みを作る)

といった感じですね。

理想的な調達の刻み方になってるんじゃないかなと側から見るとそう思います。建設領域のハードウェア系は比較的大きめのものが多い印象があるので、資本政策は割と気を使って組んでいかねばならんのかなと思ったりしています。(そもそも、時価を大きくつけてもらわないといけないので、大前提として狙う市場が大きくある必要はあるような気がします。その上で業界圧倒的No.1を取れるような提供価値を作れるのか、利益率が圧倒的に高くなる仕組みがあるのかなどなど....)

また、研究開発を伴うようなものの場合は助成金やNEDOの各種制度なんかもあったりするので、そのあたりも組み合わせて放出を抑えれるようにしていくのも大事なのかなぁと思いました。

ちょっとこの辺はもう少し個人的にも深堀をしておこうと思います。

今回も長文になりましたがここまで読んでくださりありがとうございました!

次回は、初めて教育領域に触れてみようと思います。

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