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【weekly post】2021年11月建設・不動産領域Pre-Seed~SeriesA資金調達inUS

先週は、一回お休みだったこともあり久々な感じですが、今月もいつも通り建設領域から見ていければと思います。
(すみません、完全に記事のアップが遅れておりますが、年内にもろもろあげてゆきますのでご容赦ください….)

今年も残すところ1ヶ月を切りましたが皆さんどんな1年だったでしょうか?
まだ振り返りをするには若干早い気もしますが、個人的にはweekly postがまさかの半年以上続いていると言うサプライズもありまして、年末かもしかすると年始になってしまうかもしれないのですが、「今年の海外建設領域スタートアップ個人的にお気に入りBestなんちゃら」みたいなのやりたいなぁとか思っております。

それでは、月初ということもあるので、今月の予定になります。

5日週:建設不動産11月調達@US(←今回)
12日週:建設不動産11月調達@欧州
19日週:教育11月調達@US
26日週:ヘルスケア(SeriesA)@US   (今回分以外は来年出すと思う….)

スケジュール的にはいつも通りと言う感じです。

で、今回ですが、印象としては、いつものアメリカの建設不動産領域とそこまで大きな変化ないなぁと思いつつも、10月に引き続きa16zが投資している案件があったり、Goldman Sachs AMがリードする大型案件があったりといつもと、投資家の顔ぶれという意味では違いがあったなぁと思うところがあったので、後ほど簡単にでも触れられればと思います。

それでは本編に入っていきますので、ショートカットして読まれたい方は、下記の見出しよりご覧ください。

11月のサマリー

今回のweeklyの対象になる企業は下記の通りで、該当する企業の数は16社でした

■対象企業

所在地:US
対象領域:建設・不動産領域
企業ステージ:プレシード~シリーズA
ファイナンス時期:2021年11月1日~11月30日まで

調達企業のステージ分布

先月は50%近くSeriesA企業があったのですが、今月はシードが中心という感じになっています。アメリカの場合、毎月調達している企業の数自体はそこまで変わってないのですが、ステージ分布はかなり変化がある印象で、月によってSeriesAが中心になったり、seed中心になったりします。Pre-seedが中心になることは流石にないのですが、それでも、かなりの割合がPre-seedになっているということも時々あり、一貫性はないかなという印象を持っています。

ステージ別平均調達金額

seedまでの平均調達金額についてはほぼほぼ例月並みと言った感じですが、今月はSeriesAのみかなり高い金額になっています。
これは、冒頭でも記載した通り、Goldman Sachs Asset Managementから1億ドルの調達をした企業がある影響になります。
ただその企業を除いても、$13.6Mほどになるので、いつもよりかは少し高いかなという印象でした。

調達企業の事業領域分布

先ほどのステージ別平均調達額を引き上げた要因でもあるかなと思っているのですが、今月は投資/資産価値管理系企業が多くなっていて、SeriesAでの調達企業における$10M以上の調達も4社中3社がこの領域の企業でした。
ちなみに、同数の調達企業があった不動産関連ソフトの領域では、a16zがリード投資家になった案件シード案件がありました。

それでは、今月もこの中から4社を取り上げていこうと思います。

①【小口不動産投資とプロセス簡素化】Doorvest(SeriesA)

設立:2019年
今回調達金額:$14M
調達総額:$42.5M
リード投資家:M13(SnapやLyft、ブルーボトルコーヒーに投資してた投資家)
サービス内容等
不動産投資に関する、物件購入から運用などフルパッケージ不動産投資プラットフォームです。
不動産投資系のサービスはこれまでもたくさんありましたし、資産価値管理のSaaSのようなものもかなりの数あったなぁという印象ですが、個人的に面白いなと思っているのは、「住宅購入時の物件パーソナライズ」と「購入した物件のリフォーム」の部分です。
サービス提供の仕組み自体は他のサービスでもあったような気がしますが、不動産投資をしたい投資家が頭金を支払うとDoorvestがひとまず物件を購入し、投資家はローンでDoorvestから物件を買っていくといった感じで、購入する物件を決める際に家についての好みなどを答えていくことで、厳選されたリストが送られてきて、その中からさらに好みの物件を選んでいきます。
ここまででも面白いのですが、そのリストに入ってる物件がまた面白くて、デモ的にTechCrunchに出ていたものを見るとリノベーションに入らなければ人がすめなさそうな物件が出てきています。つまり、今すぐ住める家を買ってきてそのまま運用するのではなく、そもそもベース安い家ながらも、回収さえすれば周辺環境などは優れていて価値が高くなるであろう物件を購入しその上で、Doorvestがリノベ費用込みの値段で投資家に販売をし、Doorvestがリノベを行うことで(一度決まった価格はリノベ費用が高くなったとしても投資家には請求しないらしい)安い価格で物件を仕入れ高い利回りを取ろうというサービスになっています。
サービスの中では、リノベ前とリノベ後のイメージも表示されており、期待利回りや物件そのものの期待評価益なんかも保守的なものと過去の推移ベースで算出されたものとをみれるようになっています。
実績としては、2020年4月よりスタートしてすでに170戸を販売しているとのことでした。
(下記サービスで出ている物件の写真)

リノベ前
リノベ後


②【請負業者向けキャッシュフロー改善】Struxtion(seed)

設立:2019年
今回調達金額:$5.5M
調達総額:$5.5M
リード投資家:North America Properties(不動産系事業会社)
サービス内容等
まさに地場の工事店の方から聞いたことある課題を解決するようなサービスだなぁと思いながら見ていたのですが、前提を念の為記載しておくと、建設業は売上入金が完成した後になるため、どの工事も一定期間かかってしまうという構造上、一時的に人件費や材料費を会社で負担しないといけないという状況になります。そのため、しっかりとした運転資本を持っておかないと資金繰りが簡単に悪化してしまったり、長期の工事を複数請け負ってしまった場合に、まだ取れる案件もあるしなんなら人手もあるぞという状態に仮になったとしても、運転資本が足りないから、案件が取れないなんてことも起こります。また、今年であればウッドショックなんかは話題になりましたが、その他にも鉄など価格変動する原材料の影響でキャッシュフローが赤足安かったりもすると思います。
そこに対して、いわゆる一般的なファクタリングのサービスを提供することで、資金繰りを改善してやろうというものになります。
一方で、ファクタリング的なサービスって別にそんな新しくないけどこのサービスは何が違うんだっけ?ってことになると思うんですが、基本的にはファクタリングを行う際の裏側の仕組み(支払い先や名義の変更など)が異なっており、既存のものと比べゼネコンの負担が小さく済むということや、一部のゼネコンなどとサービスが連携をしており、そのゼネコンなどごとの評価に合わせ手数料が決まっていくため、おそらく他のファクタリング以上に低コストで利用できるようになっているのではないかと思います。

③【IoTとリアルタイム予測分析による生産性・安全性改善SaaS】Kwant.ai(seed)

設立:2017年
今回調達金額:不明
調達総額:$903k
リード投資家:Serafund(中国のエンジェル投資家などの出資により今年8月設立されたファンド)
サービス内容等
人工知能を活用して建設現場などにおける、人員の予測とプロジェクト期間の予測を行うツールです。建設領域以外にも製造業などへの活用も可能なようで、労働生産性の20%向上や安全性の80%向上を謳っています。
仕組みとしてはAIを活用したSaaSに加え、作業員の方にスマートバッジのようなものをつけてもらうことで行動をトラッキングし、どんな行動にどれほどの時間を使っているかを可視化します。また、そのデータを元に新入してはいけないエリアへの立ち入りがあった場合や、資格を持っていないにもかかわらず資格が必要な機会を操作したりした場合にはアラートを上げるようになっていますし、バッジが転倒を検知した場合にも医療チームや安全管理者にSMSで通知がいくようになっています。
基本的には、生産性改善や安全性強化という目的が強そうですが、その他にも重機の場所の検知とそれに関連する重機の使用率の可視化により不要な重機レンタルコストを削減する機能もついていたりします。

④【交通関連データを活用した交通計画等支援ツール】Urban SDK(seed)

設立:2018年
今回調達金額:$2.1M
調達総額:$3.8M
リード投資家:Florida Opportunity Fund、DeepWork Capital
サービス内容等
このサービスは、若干建設と呼んではいけないような気がするんですがインフラに関わるものということで入れております。
交通計画であったり輸送システム、交通運用の合理化による渋滞解消などを目指すサービスです。
提供している機能は、「エリアごとの移動速度の可視化」「交通事故のデータ蓄積と解析(どこでいつどれくらいの事故が…)」「トラフィック(車、トラック、自転車、徒歩)の可視化」「旅行需要の可視化」と言った機能を提供していて、交通計画を行う方や交通機関の運用者、管理者向けにデータダッシュボードや解析結果を提供しています。
仕組みとしては、道路交通システムのセンサーデータや信号機データ、ビデオカメラ、モバイルアプリ、自動車業界の企業からのリアルタイムデータ提供や履歴データを繋ぎこむことでデータダッシュボードを表示し、モビリティパフォーマンスのライブラリを使用することで分析を行いレポートを提供したり、独自の分析ダッシュボードを提供しています。

編集後記

皆様お察しの通りでして、実はこのnote、随分前に大枠書いていたんですが、各社の詳細と編集後記を残したまま書き上げられておらず、最近になってわーっと残りを書き上げていった感じになっております。
なので、もう年越しまで半月切ってるけどとかいうツッコミはそういうことなのでそっと心の中にしまっておいてください。

ってのはさておき、本編でほぼ触れなかったので、GSとa16zの投資先について簡単にここで触れておこうと思います。

まずGoldman SachsAMが投資した会社はこちら

不動産購入フローを一気通貫でサポートするサービスを提供する企業で、【①エージェントを探す】【②家を買う】【③家を売る】【④融資を受ける】といった大きく4点をサポートします。

結構これ系のサービスはUS非常に多いような気がしてるんですが、サービスとしてはおそらくエージェントサイドに主眼をおいていて、エージェントが1つのサービス上でお客さんとのやりとりができるようになった(CRMを構築した)ことで、利便性を向上させていることが売りのようです。また、購入者側のUIについても作り込んでいるよ!とのことでした。(カラー的な問題もあると思うのですが、UberっぽいUIな感じがしました。)
(また、個人的には、ローン計算のappも面白そうだと思いました)

もう1社、a16zが投資した会社はこちら

不動産エージェント特化版AIチャットボットの進化系といった感じでしょうか。

このサービスではユーザーからの問い合わせを起点に内見のスケジューリングまでをメインで行い、スケジュール設定後から内見までの間にフォローアップもしっかり行うといったものになります。

このサービスにより、お客さんへのレスポンス速度向上(1時間以内にレスがあつとリード獲得可能性が60倍変わるらしい….)やテキストで対応しきれない場合のコールフォローアップと内見予約後から内見までの期間のフォローアップによる、予約キャンセルの抑止により、しっかりとリードを繋ぎ止めながらも、手間は徹底的に減らすといったサービスです。
チャットだけでどうにもならないところはしっかりと電話のフォローアップもついてるってのが、特化型ならではの強みだなと思いました。(顧客の既存行動において意外と電話の回数も少なくないっぽい)

今回本編で取り上げたところでいくと、個人的に興味が強かったのは①と②でした。
①については、正直投資そのものと言う観点については、かなり多くサービスがあるので特に目新しさはないなと思ったんですが、あえてリノベする物件を持ってきてることや、投資収益率等の予測をする仕組みというのは、「リノベ」というひと手間を加えることで、当然取得価格も抑えられるだろうし、収益率予測のシステムについても他社にはない仕組みになるんだろうってところで、後発ながらも先発とターゲットをずらすことで、真正面からの激突を避けてるところはいいなぁと思いましたし、リノベが必要だけど立地等に関しては良いといった若干マイナスはあるけどそれを上回れるポテンシャルがある物件を狙うってのも面白いなと思いました。
これは、日本国内の空き家活用の文脈でもある程度参考にできたりするのかなと思いました。

②については、領域的にすごくニーズが強そうだなと思っていて、日本国内でもジェネラルに取り組んでいる企業がありますが、特化系は少なく、まだまだ可能性があるところなんだろうと思います。一方で、特化することによって出る強みがどのようにあるのかってのはすごい大事なポイントになるはずで、その辺りは、もしかすると、需要のある工事店さんがやられている職種というかによってかなりニーズの分散があったりするのかなとも思いました。(個人的にはそこを深掘りたいなとも思います…)

長文になり過ぎてしまったので、今回はこの辺で終えようと思います!
この後、年内にほぼ出せず、年内最終はこれだったということになる気は薄々してるのですが、もし出せそうであればもう一本くらい出したいなと思っております。

それでは今回はこの辺で!

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