見出し画像

僕の2021年は、30分遅れで始まった。

何も聞こえない。誰も教えてくれない。
そもそも家にテレビがねえし、ラジオもねえ。

僕は、毎年V6たちやお坊さんを画面越しに見ながら新年を迎えていた。
でも今年は、そのどちらも見ることがなく、気づいたら30分も2020年に取り残されていた。

世の中が2021年を迎えている頃。
僕はちょうどスマホの画面を眺めていた。
とはいっても、Twitterを見ていたわけでも、Radikoを起動していたわけでも、LINEを見ていたわけでもない。
スマホの向こう側では、パンツ一丁のはげちゃびんが、ベッドに縛りつけられながら、地中海沿いの道を爆走していた。

あ、はい、そうです。Amazon Prime Primeを見ていました。

実写版と聞くとそれだけで吐きそうになる人もいると思うけど、これは最強の実写版だった。
頭からっぽムービーの最高傑作。
シティ・ハンターを知らない人も見て欲しい。
というか僕もそんなに知らない。

それはさておき。

年が変わるということを一切感じなかった正月は、人生で初めてだったかもしれない。
いろいろなことが重なった。
『年末年始に友達とわいわい過ごす』みたいなことは、めんどくさくてやりたくない。
それに、今年は帰るにも帰りづらく、実家に帰ってもいない。

でも、なんだかんだ一番大きかったのは、スマホに一切の通知が来かったからかもしれない。

僕のOPPOのスマホには、おやすみ機能がついていて、指定した時間以降は通知が来ないように設定できる。

今となっては、たまに聞かれた時に『夜中になってまで通知に悩まされたくないから』とそれっぽく言えるのだけど、そもそもそれを設定したのは違う理由だった。

『気になる人のLINEを待たなくていいから』

本当はそんな理由。

スマホを変えた当時、気になる人がいた。
恋愛的な意味ではなく。あ、でも、恋愛的な意味もあったかもしれない。

当時、めちゃくちゃ人に飢えていたので、手当たり次第に知り合いにLINEを送っていた。
今となっては申し訳なさしかないのだけれど。

いろいろ書こうと思ったら年始からダウナーになりそうなので、簡単に結論だけ言うと

『朝まで返事が来ようと来まいと通知が来ないから、朝まで待ってても今見ても変わんないよ!』

っていう状況を作り出そうとしたのだ。

今思えばガバガバ理論だし、一歩間違えれば、『通知来てないけどLINEは来てるかもだよね!』と思って何回もスマホを見ていたかもしれない。
でも、当時の僕はガバガバ理論に納得して、夜中にLINEを見ることがなくなった。
それからずっと習慣化して続いている。

僕はずっと、人に依存して、人に勝手に振り回されてきたし、それが好きだったと思う。
依存といったら過剰に聞こえるけど、実際、人から返信が来なければちょっと凹んだし、みんながしていることだったらしなきゃと思ったし、割と季節のイベントごとは地味に気にしていた。
土曜の丑の日とかちゃんとうなぎ食べたし、勤労感謝の日にはなんかわかんないけど感謝したし、体育の日にはちょっと多めに歩くようにした。
いや、書いたら規模ちっさいな。

去年はあらゆることでそれが無かった一年だったかもしれない。
人に依存することをやめたんじゃなくて、人に依存する機会がなかっただけではあると思う

ただ、高校生の頃から15年くらい、ずっとカウントダウンしてきた年越しに、今年は30分も遅刻した。
なんか年越し感をとりあえず得ようと思って、3ヶ月ぶりにあつ森を起動し、写真を撮った。

初めて自分のタイミングで新年を迎えた。

だからといって、生活は何も変わらないし、誰に影響があるわけでもない。

ただ、ちょっとだけ、『してやったぜ』な気分が、ちょっとだけ、心に残っている。

今年は、ちょっと自分勝手になってみようか。そんな気持ちになっている。

忘れないように、その日思ったことを書いていきます。ちょこちょこ文体変わると思います。