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「処理の仕方」によるシステムの分類~システムの性能指標(2024.05.23)

「処理の仕方」によるシステムの分類

  • システム
    これまで手作業でやっていた仕事をコンピュータを使って自動化する仕組み
    システムには「集中処理」と「分散処理」の2つの処理形態がある

  • 集中処理
    1台の大型コンピュータに複数の端末を接続し、端末から送られてくるすべての命令をその1台の大型コンピュータが処理する形態
    処理を引き受ける大型コンピュータを「ホストコンピュータ」という。

  • 分散処理
    ネットワークでつながれた複数のコンピュータが処理を分担して行うシステム。分散処理システムには主に次の3種類がある。

    • クライアントサーバシステム

    • 3層クライアントサーバシステム

    • Webシステム

クライアントサーバシステム

  • 複数のコンピュータをネットワークでつなぎ、クライアント(サービスを利用する側)が処理要求をサーバに出し、サーバ(サービスを提供する側)が処理を行う分散処理システム

  • 通常はクライアントとなる端末にあらかじめ専用のソフトウェアをインストールしておく必要がある

3層クライアントサーバシステム

  • クライアントサーバシステムを3つの層に分けたシステム

  • 3つの層の役割

    • クライアント
      アプリケーションサーバに処理を要求したり、アプリケーションサーバからサービスを受けたりする

    • アプリケーションサーバ
      データベースサーバに問い合わせをしたり、データベースサーバから受け取ったデータを加工した後に、クライアントに対してデータを返したりする。

    • データベースサーバ
      データベースを管理する

Webシステム

  • インターネットとWebブラウザを利用するシステム

  • 3層クライアントサーバシステムの一種

  • クライアントソフトに「Webブラウザ」を使う。

  • 端末に専用のソフトウェアをインストールする必要がない。

  • Webシステムのメリット

    • ユーザーは使い慣れたWebブラウザを利用できる。

    • Webブラウザを使うので、システムに変更があった場合でも、クライアントのソフトウェアをインストールし直す必要がない。

  • Webシステムの処理の流れ

    1. クライアントがWebブラウザを使って、アプリケーションサーバに対して処理を要求する。

    2. アプリケーションサーバはデータベースサーバとやり取りを行う

    3. 処理結果がHTML形式でクライアントに返される

    4. クライアントは受け取った処理結果をWebブラウザに表示する

  • 試験に出る部分

    • Webシステムとは、インターネットとWebブラウザを利用するシステム

    • 業務処理はサーバ側が実行し、クライアント側(Webブラウザ)はHTMLの記述に従って、処理結果を画面に表示する。

「システム構成」によるシステムの分類

システム構成による分類

  • 主に3種類に分類できる

  • シンプレックスシステム

    • 1つのコンピュータだけのシステム構成

    • システム構成の中で最もシンプルな構成

    • この構成では、システムのどこか1か所でも障害が発生すると、システムは停止する。

  • デュプレックスシステム

    • メインで動作するコンピュータ故障に備えて待機しているコンピュータの2つのコンピュータからなるシステム構成

    • シンプレックスシステムに予備のコンピュータを追加した構成

  • デュアルシステム

    • 2つのコンピュータが同じ処理を行い、結果を照合して正しいことを確認するシステム構成

    • 2つのコンピュータが全く同じ処理を行うので、処理能力はシンプレックスシステムとほぼ同じ

  • 試験にでる部分

    • デュプレックスシステムとは、1つのコンピュータが壊れても次のコンピュータが準備されているシステム構成

    • デュアルシステムとは、2つのコンピュータが同じ処理を行い、結果を照合するシステム構成

ホットスタンバイとコールドスタンバイ

  • 現用系
    通常動いているコンピュータのこと

  • 待機系

    • 待機している予備用のコンピュータ

    • 待機系の状態にはホットスタンバイとコールドスタンバイの2種類あり

  • ホットスタンバイ

    • メインで動作している現用系だけでなく、待機系にも常に電源を入れておき、現用系と同じデータやプログラムをコピーして保持しておく動作状態

    • 現用系に障害が発生した場合に、迅速に処理を引き継げる。

  • コールドスタンバイ

    • 待機系には、電源は入れず、停止した状態で待機させておく構成

    • 運用コストが安く済む

  • 試験に出る部分

    • ホットスタンバイでは現用系が故障した際は、待機系のコンピュータに速やかに切り替えて処理を続行する。

システムの信頼性と止めない工夫

  • 信頼性
    システムの障害への強さ

フォールトトレラント

  • システムが部分的に故障しても、システム全体としては必要な機能を維持する設計

  • フォールト(Fault)は障害、トレラント(Tolerant)は耐性がある

  • フォールトトレラントの設計思想で作られてたシステムを「フォールトトレラントシステム」と呼ぶ

  • コンピュータは電子機器なので、必ずいつかは故障する。大切なことは、あるコンピュータが故障しても、システムとしては稼働を続けられるようにすること。

信頼性に関するその他の用語

  • フェールソフト

    • システムの一部に障害が起きた場合に、たとえ性能が落ちたとしても、システム全体は動作させる設計

    • 例)飛行機はエンジンが1つ故障しても、飛行を継続できる設計

    • 故障などが原因でシステムが限定的に動作している状態のことを「縮退運転フォールバック)」という

  • フェールセーフ

    • システムに障害が起きた場合に、システムを止めてでも、安全を優先させる設計

    • 例)工場のロボットアームが動く範囲に人間が侵入した場合、ロボットアームを強制的に停止させる

  • フールプルーフ

    • 人間が間違った使い方をしても、システムに異常が起こらないようにする設計。

    • 例)ドアを閉めないと加熱できない電子レンジ

  • 試験に出る部分

    • フォールトトレラントシステムとは、システムが部分的に故障しても、システム全体としては、必要な機能を維持するシステム

    • フールプルーフとは、利用者が誤った操作をしても、システムに異常が起こらないようにする設計

RAID

  • Redundant Arrays of Inexpensive Disks

  • 障害に強いシステムを構築するために、ハードディスクの構成を変更する技術のこと

  • 複数のハードディスクをあたかも1つのハードディスクであるかのように扱う技術の総称

  • RAID0 からRAID6まで7つのレベルがある

  • レベルは性能の高さではない記憶方式の違いを表す。

  • 現在よく使われているのはRAID0、1、5

  • RAID0

    • データを複数のハードディスクに分散させて書き込む記憶方式

    • 別名「ストライピング

  • RAID1

    • 複数のハードディスクに同じデータを書き込む記憶方式

    • 別名「ミラーリング

  • RAID2
    データに「ハミングコード」という誤り訂正符号を加えて、複数のディスクに分散してデータを書き込む記憶方式

  • RAID3
    誤り訂正符号は、「パリティ」を用いて、誤り訂正符号は専用のディスクに書き込み、データはその他のディスクに分散して書き込む記憶方式

  • RAID4
    RAID3と同様の記憶方式だが、データの分割をブロック(セクタ)単位で行う記憶方式

  • RAID5
    データに「パリティ」という誤り訂正符号を加えて、複数のディスクに分散してデータを書き込む記憶方式

  • RAID6
    RAID5と同様の記憶方法だが、パリティを2重で生成する記憶方式

ストライピング

  • 別名RAID0

  • データを複数のハードディスクに分散させて書き込む記憶方式

  • データが多重化されていない

  • 複数のディスクをあたかも1つのディスクとして扱う技術

  • ディスクが1つでも壊れると、全体が動作しなくなる
    システムの信頼性は上がらない

  • ディスクが増えた分だけ、故障するリスクが上がるため、むしろ信頼性は下がる。

  • ハードディスクに並列でアクセスできるので、データの読み書きを高速化できる

  • 試験に出る部分

    • ストライピングRAID0)とは、データを分散して、複数の磁気ディスクに書き込むことによって、データの入出力の高速化を図る方式

ミラーリング

  • 別名RAID1

  • 複数のハードディスクに同じデータを書き込む記憶方式

  • 全てのデータが多重化されるため、万が一1つのディスクが破損しても別のディスクを使って処理を続けることができる
    システムの信頼性が上がる

  • 1つのデータを複数のディスクに保存するため、同じディスク容量で比較した場合に保存できるデータ量はストライピングの半分になる

  • データを同時に複数のディスクに保存するため、処理速度は遅くなる

  • 試験に出る部分

    • ミラーリング(RAID1)とは、複数のハードディスクに同じデータを書き込むことによって、システムの信頼性を高める方式

システムの性能指標

3つの性能指標

  • スループット

    • 単位時間あたりに処理される仕事の量

    • システムが単位時間当たりに処理する仕事の量

    • 何件できるかという指標

    • 例)プリンタの単位時間当たりの印刷ページ数
      「印刷ページ数」を「コンピュータに印刷の命令を出してから、プリンタで印刷物の最後のページが出力されるまでの時間」で割った値

  • ターンアラウンドタイム

    • 入力から出力が完了するまでの全工程にかかる合計時間

    • 入力 + 処理 + 出力」の時間

  • レスポンスタイム(応答時間)

    • 処理にかかる時間(入力や出力の時間は含まない)

    • 処理だけ」の時間

ベンチマークテスト

  • システムの性能を比較するために行うテスト

  • ユーザーがよく使うような標準的なプログラムやデータでシステムの性能を測る。

キャパシティプランニング

  • システムの稼働状況を継続的に評価して、システムに求められる処理能力を計画すること

  • システムの処理能力を向上する必要があるとわかった場合は、主に「スケールアウト」と「スケールアップ」の2つの手段を実行する。

  • スケールアウト
    サーバの台数を増やすことでシステム全体の処理能力を向上させること

  • スケールアップ

    • 個々のサーバに処理能力を向上させることで、システム全体の処理能力を向上させること

    • 例)CPUを高性能なものに変える。主記憶装置を増設したりする

進捗

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