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映像感想文『隔たる世界の2人』

Netflixで公開されている短編映画だ。
オススメとして上がってきてて30分程の短い作品だったので観てみる事に。


この作品、2020年のアメリカのミネソタ州ミネアポリスで起こったアフリカ系の黒人男性であるジョージ・フロイドが偽札の使用により逮捕された際に、警察の過剰な取り押さえが原因で窒息死させられる事態になったという事件が大きく関わっている。
アメリカの人種差別とは、日本人には考えつかない位に根深い問題なんだと痛感した。


主人公であるカーターは黒人のグラフィックデザイナーでお金はある。けれども、白人の警察官に黒人だという事で何度も何度もタイムリープしては毎回殺されてしまう。
彼も色々と策を考え、違う事をするがそれでも必ず殺されてしまう。そしてまた同じ朝を繰り返す。

99回目の彼の死がとても印象的だった。
白人の警察官にタイムリープして何度も殺される話を信じさせ、家まで送って欲しいと頼む。送ってもらう車の中では、人種差別の話など色々なことを話しながら警察官と少しはお互いの人種を超えて理解し合えたかに見えた。
そして、警察官と共に家の前まで辿り着く。
もう家は目の前、そこで白人の警察官は拍手し「最高だったよ」とカーターの今までの行動が素晴らしい演技だったと、笑いながら、逃げるカーターに銃を向ける。
99回目も、カーターは殺されてしまう。
何をしても、結果は変わらないのか。やりきれない気持ちになる。

人種差別の根深さ、恐ろしさと、正義と勘違いする事で人はこんなにも残酷になれるという事を感じ、考えさせられた。

それでも、カーターは次の朝も「何度だって繰り返して、愛犬の待つ家に帰るんだ」と明るく前向きに外へ出ていく。
これは、何をしても変わらないとしても、それでも何度も諦めずに立ち向かうというカーターの強い意志を感じる。

終わらない人種差別を、終わらないタイムリープで表現しているのが凄く怖い。そして同時にとても悲しい。

エンドロールに流れる、同じように白人の警察官に殺された黒人の死因と名前。
それぞれに生活があり、命があった。
ベッドの上で寝ている時に殺されるって本当に意味がわからない。
確かに、ジョージ・フロイドの様に悪事を働いた人もいたかもしれない。

でも「黒人だから」それだけで、殺されてしまった人たちがいるのも事実だ。

日本に居ると、人種的な差別に遭遇する事は少ない。
何度か海外に行っているけれど、少なくとも僕は「日本人」として差別された事はない。
アジア系は最近は差別されたりするのをニュースで見たりするけどどうなんだろうか。

でも、差別がきっかけで命を落とすことはあってはならないと思うし、やはり差別は良くないと思う。区別は必要だけど、差別は必要ないんじゃないかな。



この映画、とても悲しい話だと思う。
それでも、前向きに生きてる人たちが居て、少しでも世界を変えようと頑張っている。

こういう事を忘れないように僕も生きていこうと思う。


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