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うーん、えいっ。

ほとんど捨てるということをしてこなかった。壊れてしまったり、破れてしまったり、ひどく汚れてしまったものを捨てることはあっても、とりあえず何でもとっておいた。

うーん、この本は誰かが勧めていたから買ってみたけど、最後までよくわからなかった。もう読むこともないなぁと思うけど、でもこの先、人生の荒波に揉まれて、いつか行間の深みがわかる大人になったときのために、一応、本棚に並べておこうかなぁ。人生の荒波って・・・暗くて長い夜で、激しい横殴りの雨だ。耳を両手で塞いだまま、その場にしゃがみこみたくなるくらいの大きな音で、ずっと雷が鳴っていて、僕は船の中にいるはずなのに、まるで巨人の手のひらにある野球のボールみたいに、どーにもならない力で何度も何度も真上に放り投げられているようだ・・・そんなイメージだから、絶対に揉まれたくないなぁと思って処分する方の山へ、えいっ。

収納ケースの形が変わるくらい渾身の力でぎゅうとやっても、いよいよ納まるところに納まらなくなってきていて、食卓の上に本やCDが並ぶようになってるし、使ってないイスの座面の上に服を重ねて置いちゃったり、背もたれにはズボンを何枚も掛けたりしてる。ずっと避けていたけど、大掃除のときにいろいろと処分することにした。

うーん、少し前に流行った形だし、この服をもう着ることはないよなぁ。でもマルクス先生も「歴史は繰り返す」と言ってるし、また流行が来るかもしれないから、一応、もう少しだけとっておこうかなぁ。んっ?この服は、僕には少し大きくて、買うときにも少し大きいなぁと思ったけど、見慣れたら何とかなると自分に言い聞かせるようにして買ったんだった。僕が大きくなったときのために、一応、とっておこうかなぁ・・・ないない、思ってもみないことが起こる世の中だけど、牛乳を毎日飲んだってこれから大きくなることは、きっとないから、えいっ。

うーんとえいっを繰り返して、古布のリサイクルに出す袋だけで2袋、本は30冊くらい、それと使わなくなった電化製品とおもちゃ類で3袋くらいを処分したら、驚くくらい気持ちがスッキリした。気持ちの中はいつもヤドカリみたいに、いろいろと持ち歩いているものなのかもしれないなぁと思う。

うーん、家庭用のポップコーン製造機。これは人から貰ったものだから、処分しづらいというのもあったけど、いつか使う時が来るだろうと思ってた。でも朝起きて天からの啓示のように「今日はポップコーンを作って食べよう!」なんて思い立つこともなかったし、ポップコーンが食べたくて、いてもたってもいられなくなる夜も来なかった。箱に書いてあるポップコーン王国の王子のような絵が可愛くて、後ろ髪ひかれたけど、えいっ。

今年は、先のことをあれこれと考えるより、今を大切にして過ごそうと思います。
うーん、えいっ。


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