人はいつも、少し死にたい
『情報化社会になる』という言葉を聞いたのは、確か小学生の家庭科の本。巻末に近いところでこれからはコンピューターが各家庭に一台ずつあるのが当たり前になって、情報化社会が訪れます。と書いてあったことを覚えている。今になるとかなり的確に未来予測をしていたんだなと感じる。
『情報』を再考しようと思ったのは、お金について考えていたことがきっかけになる。タイトルにお金の文字を入れないのが、我ながらひねくれているなと感じる。タイトルは防御壁だ。
私は発信活動をして暫くなる。特にバズるみたいな事はそんなにないのだけれど、それでも金を稼ぐ気はあるかと声をかけてくる大人たちは一定数いる。いつも疑問なのだ。『なぜ声をかけてきたのか』と。そういう人は、私がダラダラと書く文章なんて読まない。忙しそうだった。その人はその人の正義の中で生きていて、私もそうなのだろうと思っている。
お金は色んなものと交換ができる。ここで、改めてまとめて考えてみると大きく『顔、スキル、労働力、マインド』があるのでは無いかと思う。逆に全部持ってる人も世の中にはいるかもしれない。(そういう人はもう既にお金持ちかもしれない)この中でひとつでも突出していれば交換していく事ができるかもしれない。
少し横道に逸れるけれど、芸能人と金持ちってなんか至近距離にいるよなという話をする事があった。芸能人の一番の売りは『顔』だ。『顔の認知度』と言ってもいいかもしれない。造形の善し悪しと言うよりはいかに色んな媒体で認知されているかの方が重要であると思う。
顔は非常に便利だけれど、一度でもしくじるとSNSやネットニュースで袋叩きに合うというリスクも孕んでいる。若い子からよく『有名になりたいんです』と言われるのだが、なんでこんなリスクのある事を選ぼうとするのかが私にはよくわからない。耐えきれずに自殺してる人だって目の前で何人も見ているはずなのに。
よく見るのだ。素晴らしいバンドマンが東京に出てメジャーデビューし、自分のマインドが広められる、世界平和のために貢献するんだ!と意気込んでいたら大人たちが寄ってたかって『顔を売りなさい』だとか『スキルを磨きなさい』だとかそういう事ばかりを言って、肝心のマインドの事は丸無視なのだ。それに耐え抜いたものが何かを提示したところで、届いているような届いていないようななんだかコスパが悪い感じになっている。もちろんそんな戦場を勝ち抜いたソルジャーの存在は極わずかだ。
タレントという言葉は直訳すると『才能』だ。昔は歌唱力があるだとか演技力があるだとかを才能という定義にしていたと思う。しかし、今や才能は『有名になる覚悟』でしかない。露出を色んなSNSですればするほどそれはスキルがなくても『才能』と呼ばれていく。ま、そんな世迷言誰も聞いてやくれないだろうけれど。
話を戻そう。先述した4つの区分の中でも若者と女性は『顔』と『労働力』を特に求められる。求めているのは『マインド』と『スペック』で金を持ってしまった人なのかもしれない。ここでいうマインドはゲーム性があるものなので少し真理から離れているかもしれない。心理や感情はマインドゲームによって操作できる可能性があるからだ。そういう人は自分以外はマインドがないとなぜか思っていて、計画をひたすら話してその計画に当てはめようとしてくる。いや、私もそういう節があるので同族嫌悪に陥っているのかもしれない。誰かの計画にのっかっていくというのが私はどうやら至極苦手なようなのである。騙すなら完璧にして。
マインド系の人は人を焦燥に追い込む術を知っている。『これが人気ですよ』『これが売れてますよ』『あなたはまだ手に入れてないんですか』『経済は破綻するので保険に入りませんか』と四六時中、終末を語るのだ。そんなに人類を滅亡させたいのかなと疑問に思うほどに。
片やスペック派の人はやたらとメンタルが強くて繊細という文字からは遠く離れていく。きっとこういう人が人をガス室へ送り込むだろう。
そう考えると全てが揃うと簡単に戦争が出来てしまう。ヒトラーという顔、保守派のマインド、軍隊というスキル、そして反抗できない国民。何時だって戦争と隣り合わせに生きているのだと感じる。経済活動とはもはや戦争の下準備なのでは無いだろうかとすら思えてしまう。
翻るとチャップリンが顔を潰し、ヒッピーがマインドを変え、軍隊は燃料が枯渇し、国民が革命を起こしたから今の平和があるのかもしれない。なんという事だろう。こんな事に気づくなんて。やはりこの世は陰陽一体なのだろうか。
赦し。
私が一番欲しいのは赦しなのかもしれない。
顔も持たず、マインドもスキルもなく、嫌なことは嫌だと赤子のようにいってみたいのだ。
それは死ぬときにしか貰えない
贅沢品なのかもしれないけれど。
人は何時だって少し死にたいのだろう。
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