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カルチャー週報 5/20~5/26

今週は人と会う用事が多く、1人でカルチャーを受容する時間がそんなにとることができませんでした。人と会うって時間を使いますね……そんな一週間のなかで、わたしが観たり聴いたり読んだりしたものをまとめました。

■5月20日~5月26日の週報

読んだ本

聴いた音楽(CD)

■今週の雑感

今週のテーマは……
今週の特集は、「選曲」でいこうと考えていましたが、けっきょく、関連本をいくつか読めずに、君塚洋一『選曲の社会史:「洋楽かぶれ」の系譜』(日本評論社)だけとなってしまいました。田中雄ニ『エレベーター・ミュージック・イン・ジャパン:日本のBGMの歴史』(DU BOOKS )も読もうと思ってたのですが……
 ↓ 今週読めなかった『エレベーター・ミュージック・イン・ジャパン』

「選曲」はイイ曲を並べれば良いというわけではない!
『選曲の社会史』では「選曲」というものを以下のようにとらえています。

忘れがたくすり込まれ、人生や生活のある場面とわかちがたく結びつけられる、そんな音楽が身のまわりにはいくつもある。そしてそれは、必ず「誰か」によって選ばれている。(『選曲の社会史』)
音楽を手にする人は誰もが「選曲」している。
音楽を手にする人は、曲を選び、発掘し、聴き、響かせ、並べ替え、語って、どこかで誰かに必ず影響を与えている。アーティストであれ、DJであれ、選曲家であれ、音響技師であれ、叔父や同級生や隣のお姉さんであれ、あるいは一人のリスナーであるあなた自身であれ、誰かが音楽を手にする行為は、そんなふうに大なり小なり「選曲をすること」にほかならない。(『選曲の社会史』)

この本のサブタイルは「『洋楽かぶれ』の系譜」としてあります。日本は、国産の音楽のほかに、洋楽という主に欧米からやってくる音楽もあります。しかも、洋楽は音楽の違いという意味だけでなく、舶来品的な文化的な意味をもっていて、そこもまた選曲のセンスに関わってくるところです。

おそらく、この本は、日本の「選曲」文化を指摘しようとしているのではないでしょうか。つまり、「選曲」という行為は、たんに良い音楽を並べるということ以上に、その音楽の持つ意味がさまざまにあり文化的にハイコンテキストな気がしています。

個人的にミックスCDを収集しているのですが、日本のものは、欧米のものに比べ、バラエティに富んでいる気がしています。

ミックスCDというのは、DJがクラブのブースでレコードをチョイスし、2つのターンテーブルでつないでいくのを録音したものです。今週聴いたミックスCDでも、ラブソングやラヴァーズ・ロックといったひとつのジャンルに限定したもの、クラブにおけるラウンジ・スペースでかかっているものを想定したものがありました。

日本では各DJのコンセプトの打ち出しっぷりがいろいろあり、文化として選曲が深く根差しているような気がしています。欧米やアジアの選曲文化はどうなのでしょうか。ここまで印象論で書いてみたので、さらにつっこんだ研究が知りたいところです。

プレイリストの時代?
この「選曲センス」は、現代においてけっこう求められているのではないでしょうか。現在、アップルミュージックのような定額のクラウド型の音楽サービスがじりじりと主流になろうとしています。

わたしも利用していますがかなり便利です。しかし、曲が膨大にあり過ぎて、何を聴くのか決めるのが面倒な気持ちになることが多々あります。そんなとき、専門的な人が考えた「プレイリスト」を頼りたくなるわけです。そんなわけで、選曲のプロ=DJがつくったミックスCDを集めているわけです。

これって音楽に限らず、書籍にも通じるところがあるのかな、と思っています。

現在、本当に多くの情報が入ってきます。そこから各自、好きな情報を選べば良いだけなのですが、その内容を精査することに時間がかかり、なかなか選びきることが出来ません。そんなとき、信頼できる「センス」でコンパクトに情報をまとめてくれたら……と思ったことありませんか。わたしはあります。そのとき、ひとつのセンスが貫かれた「プレイリスト」のように情報をまとめるものとして、本は可能性があると思っています。

引越し作業中に古い雑誌「relax」2001年1月号がでてきました。

特集はヒップホップグループ・ビースティボーイズです。こんな曲をつくっていた人たちですね。

3人グループでしたが、そのうちの1人であるMCAが亡くなってしまい、事実上解散のような形になっています。※ 6月号の「POPEYE」でメンバーのマイクⅮがインタビューを受けていました。久々に見ました。ラジオ番組を持っているそうです。

彼らは、グループの全盛期である90年代前半に雑誌をつくっていました。その名も「グランドロイヤルマガジン」。6号しか続きませんでしたが、この「relax」では、全号をレビューしてるのです。

「グランドロイヤルマガジン」の内容は本当に気ままで、俳優・ブルースリーや、バンド・キッス、ジャケ買いして失敗したレコードの紹介などで、一見、コンテンツは脈絡のないようですが、曰く言い難い形でおさまっているのです。まさに、これがひとつのセンスということなのだと思います。

これからの本はプレイリスト?
ネットに対して本は、紙幅に限りがあります。見方によっては、そこが強みで、多少コンテンツにまとまりがなくとも、本の形としてまとまっちゃうように見えてしまうのです。

今後の本の可能性として、中途半端に内容まとめようとするより、正味雑多なんだけど「プレイリスト」をつくるように、書き手がもつ、ひとつのセンスが貫かれていてそこを楽しむものになる、というのもアリなんじゃないでしょうか。

最近だと、若林恵 『さよなら未来:エディターズ・クロニクル 2010-2017』(岩波書店)というものがそれに近い形かな?と思っていました。これも、ちょっとずつ読み進めている本です。


来週は、どんなカルチャー出会うのでしょうか。

以上、今週のカルチャー週報でした。

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