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「・・・でした。」の「た」は、相手に渡そう!の巻

今日も朗読について話します。

「・・・でした。」「・・・しました。」の語尾ですが、自分に引いて来ないで、相手に渡しましょう。


朗読をしている方の中には、本が大好き、読書が趣味という方がとても多いです。なので、好きすぎて、自分に読んでしまいがちです。

自分に読んで、自分で納得して、自分だけで楽しみながら進んでいきます。

それも、自分にとって一番読みやすい、楽な生理でもって読みます。


いえいえ、違います。

楽してはいけません。

聞き手に分かって貰えるように、集中しなくてはなりません。

すべては、聞き手のために、です。


誰かに聞いてもらいたいことがあった時、相手に伝えようという意識が自然と働きますよね。っていうか、そこが最優先のはず。

聞き手に向かって読む以上、言葉は前に飛び出していかねばなりません。


たとえば、

「昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。」

ました、の「」を自分に持ってくるのと、相手に言うのでは違ってきます。

微妙なのですが、ここが肝心。表現するには、勇気と覚悟。


特に語尾は、包装して、りぼんをかけて、はい!と相手の手に渡すつもりで丁寧に読んでみてください。

バッサリ切り捨てて、そうらしいよ、私はどうでもいいけれどね、にならないように。

余韻が残るように。

そして、読み手も聞き手も今一緒にそこにいるという感覚が持てるように。


「・・・でした。」の「」の置き方は、本当にむつかしいです。


それは、この語尾に読み手の思いや考えが表れるからでなんです。

無味乾燥ではなく、ただの説明でもなく、読み手はそのことをどう思ったか、どう聞き手に言いたいのかを出すのが、語尾になります。

「昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。」

住んでいたことが嬉しいのか、なんなのか、何が言いたくて、こう切り出したのか、これからいったいどんな話が始まるのかが、住んでいましたの「」にかかってくるのです。


この話は、またあらためて。

今回は、とにかく聞き手に「」を渡す意識で。

練習方法として、目のあるもの、お人形、ぬいぐるみを前に置いて、読んでみてください。


全部がひとりごとにならないように、自分を開いて、前に出していきましょう。聞き手とつながりましょう。


以上、お相手は秋元紀子でし!!






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