見出し画像

数学オリンピックの予選の解説をしてみる④

前回の続きです。実際の問題はここから飛べます。
↓前回

第7問

正の整数$${a,\ b,\ c}$$は
$${\displaystyle\frac{(ab-1)(ac-1)}{bc}=2023,b\le c}$$
を満たしている。$${c}$$としてありうる値をすべて求めよ。

パッと見た感じ変数が3つもあってダルそうな感じがする。この数式を少し変形して、

$${\displaystyle\left(a-\frac{1}{b}\right)\left(a-\frac{1}{c}\right)=2023}$$

っていう感じにすると、$${b,\ c}$$は両方とも正の整数だからこの式は「$${a}$$より少しだけ小さい数をかけたら2023になる」ということを表してるともとらえられるね。条件で$${b\le c}$$だから、

$${\displaystyle\left(a-\frac{1}{b}\right)^2\le2023\le\left(a-\frac{1}{c}\right)^2}$$

ってなって、ここで$${44^2<2023<45^2}$$だから、$${a=45}$$が求められる!元の数式にこれを代入すると、

$${\displaystyle\frac{(45b-1)(45c-1)}{bc}=2023}$$

ってなって文字が減らせたね。ここで、左辺が整数だから右辺も整数にならないといけなくて、$${45b-1}$$は$${b}$$の倍数から$${1}$$を引いてるから$${b}$$では割り切れなくて、同じように$${45c-1}$$は$${c}$$の倍数から$${1}$$を引いてるから$${c}$$では割り切れない。

だから$${45b-1}$$は$${c}$$で、$${45c-1}$$は$${b}$$で割り切れないといけないってことがわかるね!

自然数$${m,\ n}$$をつかって$${45b-1=cm,\ 45c-1=bn}$$と置いて両辺に$${bc}$$をかけると、

$$
\begin{aligned}
cm\times bn &= 2023bc\\
mn &=2023
\end{aligned}
$$

ってなるから、あとは$${m,\ n}$$を求めれば解決!

ここで、$${2023=7\times17^2}$$なんだけど、今年の西暦は地味に素因数分解がしにくいんだね(笑)

考えられる$${m,\ n}$$は、

$$
\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|c|} \hline
m & 1 & 7 & 17 & 119 & 289 & 2023\\ \hline
n & 2023 & 289 &  119 & 17 & 7 & 1\\ \hline
\end{array}
$$

あとはこれを$${45b-1=cm,\ 45c-1=bn}$$に代入して連立方程式で解けばよい!$${b\le c}$$に注意すれば、$${c=82,\ 167,\ 1034}$$

第7問の感想

数式が1つしかないのにどうやって3つの変数の値を求めるんだ!って感じもするけど、少なくともこの問題に答えはあるから必ず求める方法があると割り切ってとりあえず手を動かすことが大事!

整数問題を解く方法で

  • 範囲を絞る

  • 倍数、余りに着目する

  • 因数分解をする

っていうのがあって、この問題ではまず$${b\le c}$$を利用して$${a}$$の値を求めたし、その次に$${b,\ c}$$の倍数に着目したからやっぱりこの3つは意識したほうがいいね。因数分解も$${2023}$$を素因数分解したからある意味つかってるのかな?問題によっては文字式をうまく因数分解することもあるよ!

第8問

図のような15個の円と20本の線分からなる図形があり、これらの円のそれぞれに$${0,\ 1,\ 2}$$のいずれかを1つずつ書き込むことを考える。書き込み方の美しさを、20本の線分のうち、その両端にある2円に書き込まれた数の差が1であるようなものの個数とする。美しさとしてありうる最大の値を$${M}$$とするとき、美しさが$${M}$$となる書き込み方は何通りあるか。
ただし、回転や裏返しにより一致する書き込み方も異なるものとして数える。

第8問の図形

この問題も少しめんどくさそうだしマロは組み合わせの問題があまり好きじゃないからやる気が起きなかった(笑)

とりあえずここで2つ適当に書き込んでみて何か特徴がないか探してみると、

赤線が条件を満たす線で、(少し線を太くしてみたよ)左の美しさは16、右の美しさは17で、ここでの$${M}$$は$${17}$$だけど、本当に$${17}$$かな?

ここで五角形を抜き出して考えてみると、なるべく美しさが大きくなるように数字を選ぶと絶対に条件を満たさない線分が1つ出てくるんだよね。

一部分

ここで$${0}$$と$${2}$$は$${1}$$との差はどっちでも$${1}$$なので自由に変えられるとして、条件を満たさない線分を残りの五角形と共有すれば美しさを大きくすることができることに気が付いた!

だから美しさの最大は$${17}$$だし、その美しさが$${17}$$のパターンは、

考えられるパターン

$${a}$$は$${0}$$か$${2}$$で、この図形それぞれを$${72^\circ}$$回転させればいいかな。

ここから計算すると、左の図は、$${2^7\times 5 = 640}$$通り、右の図は$${2^8\times 5=1280}$$通りだから、答えは$${640+1280=1920}$$通り。

第8問の感想

問題見ただけで何も思いつかなかったけどとりあえず条件の範囲内で例を作り出せば少しづつ方針が固まっていくだろうから何回も言ってるけど手を動かすことが大事だね(笑)

この問題の難しいところは美しさの最大値$${M}$$を求める事なきがするけど、8問目にしてはあまり難しくなかったような気がする。どちらかといえばまだ7問目のほうが難しかったかな。

全体を通しての感想

まず、マロにとっての1~8問目の難易度順としては、

$${1 \to 3 \to 2 \to 6 \to 5 \to 4 \to 8 \to 7}$$

かな?純粋な難しさより第一印象のインパクトの大きさとか手順のめんどくささも踏まえた主観的な順番だけど、全体的に見てあまり「こんなん思いつかんやろ(笑)」みたいな問題はなかったしほかの年と比べて数学らしいきれいな解き方ができるような問題少なかったかな?

でもこんな年こそ計算ミスとか緊張に負けて解き方が思いつかなかったりとかがあるかもしれないから本番になったら自分に自信をめちゃくちゃ持つことが大事だね!

最後に

マロ:こんな感じで数学オリンピックの解説は終わり!

ミケ:おぉ!やっぱ学校で習わないような系統の問題ばかりで楽しい!

マロ:でも二年連続予選突破のボーダーが8点だったから来年はもうちょっと難しい問題が来るかもしれないね。

ミケ:それはそれで楽しみだな~。

マロ:それにちょっと話変わるけどTwitterで予選とか本選が終わったときにみんな成績良すぎてびっくりしたよね(笑)

ミケ:(笑)

マロ:とりあえず次から何するかまだ決まってないけどとりあえずもっと数学オリンピックとか大学入試とかの解説ができるように勉強するからその途中で役に立ちそうなことを紹介していこうかな。

ミケ:じゃあ楽しみにしとく!


間違い等ありましたらコメントで教えてください。感想や要望などコメントしてくださるととてもうれしいです。
byマロ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?