目標がないケンジ【不登校】
文科省の調査によると、不登校の要因として最も多いのが「無気力・不安」です。
学校の教室のなかには、自分の気持ちをうまく表現できずに、(もしくは表現したとしてもそれを受け止めてもらえずに)漠然とした不安を感じながら毎日を過ごしている子どもたちがいます。
そして、何かをきっかけにプツッと糸が切れてしまい、学校へ足が向かなくなる子も少なくありません。
このような子どもたちに、僕たち大人はどんなサポートができるのでしょうか。
西原町内の小学校に通う6年生のケンジ(仮名)はサッカー部のエースでした。
毎日学校には通っているものの、いつも行かされてばかりの毎日。
そしてひょんなタイミングで「学校に行きたくない」という日々が定期的にやってきます。登校しぶりです。
今日はそんなサトシが、登校しぶりがなくなり、自分の本当にやりたいことに気づけたお話をお届けします。
勉強はできる・・・けど・・・
ある日、僕の知人からこんな相談を受けました。
知人「サポショウは勉強以外の気持ちの部分もサポートできますか?子育てで悩んでる友人がいまして…」
僕「もちろんです!」
知人「では紹介するので話を聞いてみてください!」
さっそくサポショウを紹介されたケンジのお母さんから連絡がきて、無料個別相談をすることになりました。
ケンジ母「うちのケンジは勉強は一応できているようです。ただ、何ごとにもやる気がなく、時々学校へ行きたくないと言い出します。いろいろと自信がないのかもしれません。少しでも自信をつけて前向きになってほしいのですが、そんな息子でも入塾できますか?」
僕「もちろんです。サポショウは子どもの勇気と自信を育むことを一番のねらいとしてサポートしています。ただ、まずは本人の様子も見たいので、一度お子さんと一緒に見学にいらしてください。」
「やってみたい」
お母さんと見学に来たケンジ。
終始ずーっと無言でした(笑)
できる限りのコミュニケーションを取りながら
サポショウという場所と、僕という人を知ってもらえるように努めました。
ほぼ無反応のまま帰宅したケンジ。
帰りの車でサポショウについてお母さんにこう話したようです。
ケンジ「やってみたい」
優秀なケンジ
ケンジは周りから見ると、とても優秀な子でした。
学校のテストでは、あまり勉強しなくても90点以上を取っちゃうタイプでした。
また、お父さんの影響で小さい頃からサッカーをしていたので、サッカー部でもエースを務めていました。
周りから見たら勉強もスポーツもできる優秀な子です。
でも
ケンジ本人はなんだかずっとモヤモヤし
何ごとにもやる気が起きず
学校にも行きたくない日々が続いていたのでした。
チャレンジしないケンジ
サポショウで勉強をサポートしても、たしかにケンジは勉強がよくできました。
そこでこんな提案をしました。
僕「ケンジ、中学生の勉強にチャレンジしてみない?」
ケンジ「めんどくさい」
ケンジの心の声を聞く作戦
ケンジのお母さんとも相談し、
勉強のサポートよりも対話の時間を多くして
ケンジの本音を聞き出す作戦を試すことにしました。
僕「ケンジ、サッカー好きなの?」
ケンジ「普通」
僕「じゃあなんでサッカー続けてるの?」
ケンジ「お父さんにやれって言われるから」
僕「じゃあお父さんがサッカー辞めていいって言ったら辞めるの?」
ケンジ「・・・。」
そしてある日。
ケンジ「辞めたい時期もあった。正直、今もサッカーが好きかわからない。だけど、今は辞めたくない。もっとうまくなりたい。」
僕「そうなんだね。すごいじゃん。今でもレギュラーなのに、さらに上手くなりたいと思うなんて、ケンジまじすごいよ!」
僕「大会とかあるの?」
ケンジ「10月に新人大会があるよ」
僕「どこまでいけそう?」
ケンジ「決勝はいけるはず」
僕「マジ!すごいじゃん!優勝ねらえるさ!」
ケンジ「だけど主力メンバーがケガしてて、そのポジションをどう埋めるかが難しいわけよ。今の状態だとこのパターンとあのパターンとそれから・・・」
勉強なんて
サポショウでの個別サポートを通して、ケンジは自分自身とたくさん向き合いました。
父親の影響で始めたサッカー。
いつしか「やらされているサッカー」を辞めたくなることも。
でもそんなこと父親に言えるわけもなく。
勉強も授業もつまんない。
家では家族も忙しく、一人でゲームやYouTube。
そんな日々に実はモヤモヤしていたケンジ。
4ヶ月前、初めてサポショウの見学に来た帰りに
「やってみたい」とつぶやいたケンジは、そんな毎日を変えたかったのでしょう。
あのとき「やってみたい」とつぶやいたケンジ。
そしてそこに全力で応えたお母さん。
ケンジ親子は確実に大きな壁を乗り越えました。
ナナメの存在
ケンジは中学生になるタイミングでサポショウを卒業しました。
卒業するときに
「たまには連絡くれよ!」と伝えたのですが、一切連絡はきません(笑)
ただ、お母さんからはこんな連絡がきました。
目標もなく、毎日をただ親や先生に言われるがままに過ごすケンジにとって、
自分自身の心のなかと向き合い、思いや考えを口にすることはとても大事な時間でした。
サポショウがケンジが変わるきっかけになれたことを嬉しく思います。
今の子どもたちには
親でもない先生でもないナナメの存在が必要です。
それは別に誰でも良くて
おじさん、おばさん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、地域の人、塾や習いごとの先生・・・
それぞれの人や場所が、子どもたちに新しい気づきを与えます。
ケンジのように
今の自分を見つめ直し、
自分の好きや強みに気づけた子どもは
自ら次のステージへと進んでいきます。
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