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佐渡ヶ島 粟島の記憶と自転車

佐渡ヶ島は既に成人した二人の子供達が小学生の頃、夏休みになると毎年キャンプ道具を車に積み込んで、直江津港からカーフェリーで出掛ける事が楽しみだった。
台風が来ていたり、太鼓フェスティバルがあり世界中の人達が来ていたり、隣のキャンパーとトラブルがあったりと色々な思い出がある。
そんな恒例行事のある日、地図を見ていると佐渡ヶ島の北東に小さな島が一つ有るのに気付いた。
それが周囲20kmほどの粟島だと初めて知った。
その頃はMTBで息子と色々なところへ走りに行っていたので、粟島行は即実行となった。

佐渡ヶ島 素浜キャンプ場(当時の写真)
イエローとグリーンの
テントとタープが我サイト

粟島サマーキャンプ 2Days

Day1:2010年7月18日(日)

岩船まで北陸道が開通してとても楽になった。
(当時は新潟から北はここ岩船IC迄しか高速道路が繋がっていなかった) 
車を岩舟港に停めて、キャンプ道具を詰め込んだザックと自転車で乗船。粟島の内裏港に着くとなかなか自転車が降りてこない。
船のスタッフの方が自転車を降ろしてくれるので暫く待機した。
内浦キャンプ場迄は目と鼻の先で、途中夕食の買い出しにマリンストアーに寄り、冷凍肉があり購入。
「これ、半額にしておきますよ」とレジのおばちゃん。
砂浜にテントを張り、魚を探したり磯遊びをして楽しんだ。
その間購入した冷凍肉を自然解凍し戻ってみてみると、肉の色が変?ラベルを見ると消費期限が1カ月も前の日付けだ。
凍らせておけば良いといううもんじゃない!さすが島国かと思った。
普通なら廃棄するもんだ。
半額でも高かった。抵抗があったが返品するのも面倒くさいので、焼いて食べちゃいましたけど…何とも無かったので良しとしますか。
明日は此処を起点に島を一周する。星が綺麗な穏やかな夜だった。

岩船港に接岸した
フェリーあわしま

Last day:2010年7月19日(月) 

浜辺のテントサイトは本当に気持ちが良かった。
朝食を済ませ(何を作ったか覚えていない)いざ島一周(アワイチ)スタート。
たかが20km程だったがアップダウンが結構あって、小3の息子は駄々をこね始めた。
何とか宥め先を急いだ。
潮風をいっぱい吸い込んで見た事の無い景色に感動しつつキャンプ場に戻ってこれた。
すれ違う車も人影も無く秘境の貸切ができた。
お昼過ぎにキャンプ場へ戻ってきてテントを撤収、港の食堂で腹拵えして帰りのフェリーに乗船し粟島を離れ、サマーキャンプは終了した。

浜辺のキャンプ

佐渡ヶ島へ

あれから十数年、ロードバイクとMTBを改めて手に入れ、あちこち走りにいっていると久しぶりに佐渡ヶ島を訪れてみたくなった。
しかも自転車でサドイチを思い立ったのがお盆を過ぎた頃、新潟から早朝両津に上陸して1泊2日も考えたが、景色も満喫せずひたすらペダルを漕ぐのも味気がない。
自宅から直江津港まで1時間ほどで行けるので、ゆっくり2泊3日で9月のシルバーウィークを利用して計画をした。
1日目小木港から相川まで50km、2日目相川から両津ま100km、3日目両津から小木港まで60km、その都度民宿やホテルに泊まり、海の幸と地酒とできたら温泉。
当初はシルバーウィークの前半、9月19日(月)から21日(水)の予定で船、宿泊場所を予約したが、台風13号14号と立て続けに上陸して天気予報と睨めっこでキャンセル。
改めて14号が過ぎたあたりの21日(水)からの佐渡ヶ島上陸の決定をした。
宿の予約を取るにあたり、新潟県民割りキャンペーンをやっているので、1泊あたり7000円の割引きになると教えてもらった。
条件は、コロナワクチン接種証明か陰性証明ができるものと、身分証明書が必要とのこと。
僕はワクチンは絶対に打たないので、これは利用するしかないと慌ててPCR検査所へ行って、出発する前日にギリギリ陰性証明書を手に入れた。
当日予想通り台風14号は加速しながら温帯低気圧に変わっていった。

小木港に接岸した
ジェットフォイル「ぎんが」

サドイチ1周目 3Days

Day1:2022年9月21日(水)

距離55km  時間2:52:50
早朝、高速道路をとばし直江津港に向かう。
上越市に降りると朝の通勤ラッシュにはまる。
ちょっと焦ったが問題はなかった。佐渡汽船の駐車場は有料で3日も駐める事になるので料金が心配。
ググってみると1kmほど離れた場所に無料の「みなと風車公園駐車場」を発見。
自転車をフェリーターミナルにデポして車をそこに停めフェリーターミナル迄歩いた。
8:55出港。
台風の影響でジェットフォイルは多少揺れて、目を開けていると酔いそうなので寝た。
10:10小木港着。
風は多少あるが寒くは無く、青空も少しずつ見えてきて午後は晴れそうだ。
今日は宿泊地の長手岬の「民宿七浦荘」までの約50km、自転車を組み立て、初めての自転車旅行のスタートである。
佐渡地域振興局が佐渡一周した人先着100名に、認定証や記念バッチを贈るサドイチ認定事業をやっているそうなので、せっかくなのでやってみる事にした。
条件は佐渡一周のコース上にある4地点、長者ケ橋、夫婦岩、大野亀、風島弁天を背景に本人、自転車の写った写真データの提出である。
早速、今日は長者ケ橋を渡るので写真に納めた。
民宿七浦荘に着くと、職人が4、5人連泊していたて、風呂に入ると全身刺青の人が入っていてちょっとビビった。
食堂で晩酌している職人達の会話を聞きながら、僕もビールと日本酒を頂いた。
翌朝は早出をするので、おにぎりを握ってもらった。

長者ケ橋で
深浦海岸の入江を渡る綺麗な橋。

Day2:2022年9月22日(木)

 サドイチ1周目(Day2)距離98.4km 時間5:24:33
今日は両津の「ホテルニュー桂」まで約100km。
天気は午後から曇り、雨は降らない予報。
7:30パッキングを済ませ出発。
朝方は寒さを感じたがだんだんと暑くなってきた。
本日のミッションはサドイチ認定写真、夫婦岩と大野亀の2ヶ所。

夫婦岩
右が夫で高さ22.6m 左が妻で23.1m
七浦海岸線はこんな感じの岩だらけなので、看板がないとどれがどれやら分からない

佐渡ヶ島の北部に位置する外海府海岸は、海岸段丘が発達していて奇岩が多く、アップダウンが激しい。
小木港から東側の内海府海岸で大野亀までは来たことがあるが、相川から大野亀の区間は初めてで楽しみ。しかもサドイチの定番スポットZ坂(跳坂 はねざか) がある。
真野湾の広い海岸を過ぎて尖閣湾も過ぎてそろそろお腹も空いてきたので、握ってもらったおにぎりを食べる場所を探しながら、なかなか適当な場所が見つからなくて、やっと見つけた高千小学校前の海岸沿いの駐車スペースで休憩。
潮風を浴びながら食べたおにぎりと漬け物、梅干しはとても美味かった。
暫くすると写真で目にした事のあるZ坂が見えてきた。
確かにアルファベットのZである。
橋の付け替え工事をしていて片側交互通行となっていた。
Z坂を登りトンネルを潜りまだ上り坂が続く。
勾配は4~7%、上部で10%位だったが少々キツかった。
やがて峠となりここを下ると、今度は道が180°ヘアピンカーブで海岸へ降りて行く、方向が違うので道を間違えたかと思ってしまう。
また180°方向転換し小さな漁村を過ぎて坂を登り切り素掘りのトンネルを潜ると、目の前に突然167mの大野亀の巨岩が飛びこんできた。
まさにグレイテストとしか言いようが無い。

大野亀、正に巨岩。
すぐそばで見ると圧倒される。
クライマーなら岸壁を登りたくなるんじゃないか。

また暫く登りが続き大野亀ロッジを通り、昔キャンプに来た二ツ亀を過ぎて暫く下ると道が狭くなる。
途中、ダンプに煽られながら急いだせいか12:00前には両津港に到着した。
チェックインは15:00なので「佐渡アウトドアベース」で食事したり、両津の古い街並みや加茂湖周辺をポタリングして時間を潰した。
15:00、チェックインの時間に着くと「ホテルニュー桂」は大きく立派なホテルだった。
自転車はパントリーに置いていいよという事で有り難く置かしてもらった。
おまけに従業員用の洗濯機も貸してもらって洗濯もできた。
洗濯の間、貸切状態の大浴場の温泉に入って、ゆっくりしていたら雨が降り始めた。洗濯物を取りに行き、部屋に戻ると窓から霧雨に霞む加茂湖がすぐそこだった。
夕食には真野鶴と北雪金星生貯蔵酒を頂いた。

しいざき温泉 ホテルニュー桂での夕食
豪華なホテルだった

Last day:2022年9月23日(金) 

距離60.1km 時間2:52:10
最終日、余裕を見て朝食はいらないつもりだったが、小木港発15:45のジェットフォイルなので余裕である。
しっかり朝食を頂いてパントリーに自転車を取りに行くともう一台ロードバイクが置いてあった。
そういえば直江津港からジェットフォイルに乗る時輪行の人がもう一人いたことを思い出した。
準備をして7:30に出発した。
サドイチ今日のミッションは風島弁天。
午後から雨予報なので少し急ぐ。
風は向かい風となり強風で自転車の全輪が持っていかれそうになった。

風島弁天で認定写真を撮った。

ポツリポツリと雨が降り出してきたが、大した降りでも無くて「松ケ崎ヒストリーパーク」でゆっくり休憩を取っていると、同じホテルに宿泊したであろうローディーが、通り過ぎて行った。

松ヶ崎ヒストリーパーク 
真っ白な鴻ノ瀬灯台

ここから赤泊まで道は狭くて追い越される車に気を使った。
雨は大したことも無く風も止んだ。

日本一長い都道府県道
佐渡一周線(新潟県道45号)


赤泊港に寄り、後は広い道を小木港まで17km程。
このままだと昼前に着いてしまう。ゆっくり行けば良いのだが、やっぱりペダルを踏み込んでしまう。

赤泊港の御座船の大きなモニュメント(北前船かと思っていた)


11:00小木港に到着。
サドイチ完了、昼飯にしよう。
そういえば新潟県民割のクーポンがあと、1000円分残っている。
貰った4000円の内、3000円は宿の酒代に使った。
食堂をググってみると「稲よし」という割烹が良いらしい。
ナビで辿り着くと空いている。
天丼を頂きクーポンで支払うと何と50円のお釣りをくれた。
うちはお釣りを出していますよと、これはお客さんのお金でしょと立派な女将さんであった。

小木の食堂割烹稲よし
天丼の写真は忘れたが良心的なお店であった。


2日間泊まったそれぞれの宿は、お釣りが合計1000円分ほどある筈なのに、回数券の様にしっかり取られた。
ターミナルに戻り、自転車をパッキングしてお土産を見たり、待合室で時間をつぶし、定刻通りジェットフォイルに乗船して雨が降り始めた直江津港に着いた。
自転車を組み立てずぶ濡れになりながら車を回収に行き帰路についた。
楽しい3日間であった。

佐渡ヶ島一周認定書 4地点(大野亀、風島弁天、長者ヶ橋、夫婦の背景写真を事務局に送ると
後日認定書が送られて来た。

サドイチ2周目 1Day

2023年9月23日(土) 

距離201.3km  時間9:55:14
昨年も同じ9月のシルバーウィーク。懲りづにまた来てしまった。
この時期は平日を繋げば長期に休めるのと自転車には暑くも無く寒くも無く最適な季節だ。
今年も台風が上陸して直前迄天気が読めず、台風が通過した翌日急遽宿を仕切り直して直江津港に向かった。
出港が14:00なので港近くの食堂で食事をとり、再び「みなと風車公園駐車場」に車を停め、ツーリングスタイルのままフェリーターミナルまで自転車を漕いだ。
直江津港から小木港カーフェリーが再開され、自転車を分解する事無くそのま乗船出来る事になったのは良いのだけれど、早朝上陸便が無く一日で一周するには小木港で結局一泊の時間調整をする事になる。

小木港に上陸
カーフェリーからいきなり走り出せるのは嬉しい

定刻通り16:35に小木港に到着。
予約した「やまと旅館」はすぐそこだった。
今回のミッションは200km+を帰りのフェリーの最終便が17:20なので、それまでに戻って来る事である。
前泊する小木の旅館を朝4時前に出発することにした。
宿泊客は僕と老夫婦の二組だけで静かな夜だった。
食堂で老夫婦の聞こえてくる何気ない会話をつまみに晩酌をした。
翌朝は3時に起床、4時前玄関で準備をしていると、暗い中旅館のおばちゃんが起きてきて「気を付けていってらっしゃい」と見送ってくれた。
感謝感激でありました。

旅館の玄関に駐めさせてもらった。
唯一の楽しみ 旅館での夕食。
天ぷら、刺身、サザエの壷焼き、カサゴの塩焼き、味噌汁、グラタン、香の物と豪華。

旅館を出発するとまだ暗くて肌寒いが、前回通った道を思い出しながら辿りペダルを回す。
潮の香りと静けさ、すれ違う車も無い。
暫くすると明るくなってきて、前回間違えて直進した道も覚えていて右折した。
そろそろお腹も空いてきて真野のローソンで朝食を取った。
西側の外海府から内海府の両津迄は信号も無く、自転車には最高のロケイションだ。
海岸線を周るので基本時計周り。
高低差はさほど無いと思うが、佐渡一周道路の総上昇量は1720mもある。
真野湾に拡がる遮るものが何一つとして無い佐和田海岸と青空、Z坂(跳坂はねさか)から振り返る海岸線の絶景、その先に見えてくる大野亀の偉大さに再び言葉を失なった。

佐和田海岸で一息ついた
佐渡一周線県道45号線
山肌にZ坂

天気に恵まれ、なんとか16:00前には小木港に戻って来れた。
今回は特に観光も無くて大野亀ロッジで奮発して海鮮丼を食べただけで、ひたすらペダルを回し続けた。
少し熱中症と足の筋肉痛があるが200kmこぎ続けた疲労が心地良かった。
17:25定刻通りに出港、夕陽がとても綺麗だった。
客室の畳で横になるといつの間にか眠ってしまった。
船内放送で目が覚め車両置き場で待機、20:05直江津港に到着。
車を回収して帰路についた。
I will definitely come here again.

一周したサイコンの表示

Bird's-eye view(GPSの動画)

あとがき

僕が小学生の頃は夏になると臨海学校という学校行事があり、柏崎市の鯨波海水浴場へ連れて行かれた。
当時は工場などの排水は河川や海に垂れ流しの時代で、各地で公害が問題となっていて、鯨波海水浴場も砂浜はゴミだらけ、油やごみが浮いていて我慢してイヤイヤ海水浴をさせられて、海は汚くて大嫌いだった。
あれから海や河川は綺麗になったけど、そのせいもあり山育ちの僕はだんだんと海から遠ざかっていった。子供達が小学生の頃、毎年夏になると佐渡ヶ島旅行の割引券が小学校に配られる様になった。
それはカーフェリー自動車航送運賃の無料と乗船運賃の割引だった様に記憶している。
それ以来毎年、夏になると佐渡ヶ島へキャンプに出かけた。
それも中学生になった年に途絶えてしまったが。
それから数十年が経ち子供達が離れていくと、何故か無性にもう一度、今度は自転車という手段で佐渡ヶ島へ行きたくなった次第である。
2回ほど外周ばかりに拘ってきたが、大佐渡スカイライン、ドンデン高原などの横断道路、佐渡金山、北沢浮遊選鉱場跡、千畳敷、トキ保護センター、小木海岸の入江集落の宿根木など、まだ訪れたことが無い場所が沢山ある。
歴史を勉強しつつ、次回はディープな佐渡ヶ島を探察に行こうと計画を練っている。
毎年キャンプに出かけた時の様に、また暫く続いて行くのかは分からないけれど。

       完


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